「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今井書店出雲店の「島田賞」について紹介します。 「島田賞」について担当者の島田優紀さんにお話を伺いました!
「島田賞」は、今井書店出雲店の書店員・島田さんが、「この一年で一番面白く、“売りたい!”と心から思った小説」を展開する、毎年恒例のフェアです。
きっかけは、「本屋大賞」に投票しても、自分が推した作品がノミネートに残らず、店頭で紹介する機会が得られなかったことでした。
それならば自ら紹介しようと、最近話題になっている「書店員個人賞」という形式を取り入れ、以前勤めていたブックセンタージャスト大田店で「島田賞」を立ち上げました。
その後、今井書店出雲店に転職後も企画を引き継ぎ、今年で第6回目を迎えます。
フェアでは、オリジナル帯や特製パンフレットが用意されており、初めて訪れる方でも楽しめる内容となっています。
「島田賞」の魅力は、今年の受賞作品に加えて過去5回の受賞作も並べることで、フェア全体が年々成長していくのを楽しめることです。
また、第4回までは毎年1タイトルだけを選出していましたが、第5回は前職閉店前の特別展開として3タイトルを選出。
第6回では「長編小説部門」「短編小説部門」「翻訳小説部門」とカテゴリ別に3作品を展開し、より多くの作品と出会うことができるようになりました。
ちなみに、島田さん自身が最も思い入れのある作品は、第1回受賞作の『透明な夜の香り』とのこと。
「島田賞」は、「いつも行く書店の書店員が選んでいる」という特別感があり、地域の方にとっては、全国的なランキングや賞よりも、より親しみを感じられる存在となっています。
きっと、あなたにも“気になる一冊”が見つかるはず。ぜひ、実際に訪れて、フェアの雰囲気を味わってみてください。
島田賞は、2024年12月から2025年5月頃まで展開される予定です。
今井書店出雲店は、出雲市内を走る農道沿いに位置する、地域密着型の大型書店です。
TSUTAYA出雲店や喫茶店も併設されており、複合施設としても楽しめる空間になっています。
広々としたフロアには、ジャンルごとに豊富な本が並び、どんな読者でも「これだ」と思える一冊に出会えます。
また、地域コーナーでは郷土本や地元の歴史・文化に触れられるラインナップも充実。
さらに、ワークショップや子ども向けイベント、季節ごとのフェアなども盛んに開催され、地元の人々にとって“ふらりと立ち寄れる憩いの場”として親しまれています。
お近くにお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。
今井書店出雲店の情報は公式Xからご確認いただけます。
何か本を読みたいけれど、特に目当てがないとき。そんなときこそ、書店員たちは“これ、読んでほしいな”という思いを胸に、店頭に立っています。
ぜひ気軽にお声がけください。もし声をかけづらい時は、店内に並ぶ担当者おすすめの本を手に取ってみてください。
島田賞も、そんな“おすすめしたい気持ち”から生まれたコーナーです。
ここからは「島田賞」にノミネートされた本を紹介します。
イグアナの花園
2024/9/5
動物の言葉が聞こえる少女・美苑は、父を失い、植物園で出会ったイグアナ「ソノ」と心を通わせながら成長していきます。
母の病と向き合いながら、婚活や人間関係に挑む彼女の姿を描く本作は、ファンタジーと現実が交錯する中で、家族愛や自己肯定の大切さを優しく問いかけます。
魂婚心中
2024/6/19
死後結婚が当たり前になった未来社会を舞台に、人間の欲望や倫理を鋭く描く短編集『魂婚心中』。
推しアイドルと死後に結ばれるため、自ら命を絶とうとする女性を描いた表題作をはじめ、SFとミステリーを融合させた6つの物語を収録。
ウェイワードの魔女たち
2024/6/26
異なる時代を生きる三人の女性が、社会の抑圧や暴力に抗い、自らの運命を切り拓いていく姿を描いた物語です。
「魔女」と呼ばれた血筋に連なる彼女たちは、自然と命の力を受け継ぎ、時代を超えて結ばれます。
透明な夜の香り
2023/4/20
引きこもりがちな一香は、天才調香師・朔と出会い、依頼人たちの「香りに託した想い」に触れていきます。香りが記憶を呼び覚まし、心に癒やしや痛みをもたらすさまを、静謐な筆致で描く一冊です。
ようこそ、ヒュナム洞書店へ
2023/9/26
ソウルの静かな街・ヒュナム洞にある小さな本屋を舞台に、本と人との温かな交流を描いたエッセイ集。店主が綴るのは、本屋を開いた理由、本を選ぶことの意味、そして訪れる人々との静かな物語。
本と向き合う豊かな時間を、丁寧に紡いだ一冊です。
取材にご協力いただいた、今井書店出雲店の島田優紀さん、ありがとうございました!
ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。
次回もお楽しみに!
特集
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