教育や医療、難民、孤児などさまざまな方面からサポートをおこなう国際ボランティア。国境なき医師団、青年海外協力隊など、ボランティアをおこなう団体名を聞いたことある方は多いはずです。団体にもよりますが就職・転職に年齢制限はなく、専門職以外では必須の資格もないため、さまざまな人に対して機会がひらかれている職業です。 本記事では、そんな国際ボランティアの活動内容、収入事情、魅力を詳しく解説しています。記事の最後には国際ボランティアを目指すうえで役に立つ本を3冊紹介していますので、こちらも合わせてご覧くださいね。
国際ボランティアとは、貧困や戦争によって安心・安全に日常生活が送れない方を支援する活動のことです。国際ボランティアに関わる方々は、アジアやアフリカを中心に教育や医療を提供したり、水道や道を作ったりして活躍しています。
国によって困っていることはさまざまなので、自分の専門分野を活かす働き方ができます。
国際ボランティアはどんな国でも働けるわけではありません。人々が暮らしていくための医療の環境や、子供が勉強する制度が整っていない国などで支援活動をおこないます。
この章では、例としていくつか国をご紹介します。
カンボジアは東南アジアに位置しており、比較的行きやすいことから旅行としても訪れる人が多い国です。近年では高層ビルなども建ち、開発が進められているカンボジアですが、田舎の方だと貧困によって教育や医療が受けられない人も多くいます。また、教育が受けられないだけでなく児童労働も問題となっています。
教育に関するボランティアが多く募集されており、1週間など短期でも受け入れていることから、国際ボランティアに関わりたい大学生にもおすすめの活動先です。
アフリカでは、貧困により飢餓に苦しむ人や、医療、教育が受けられない人がたくさんいます。環境が整っておらず水が飲めない所もあるため、水道を作るボランティアとして活躍している方もいます。
他にも、アフリカ諸国には多くの動物が存在していることから環境保護に関わるボランティアも募集しています。飢餓に苦しむ人や環境面で協力したいという方は、アフリカでのボランティアに協力してみてはいかがでしょうか。
インドで国際ボランティアをすることの最大の魅力は、マザーテレサ施設でボランティア活動ができることでしょう。施設はコルカタに位置しており、事前に登録を済ませてから、各自配置されたマザーテレサ施設へ向かいます。福祉に興味がある方にはとてもおすすめのボランティア先です。
国際ボランティアは、数日から参加できる短期ボランティアから、数カ月~数年かけておこなう長期ボランティアの2種類にわかれます。
これから国際ボランティアに関わりたい、国際ボランティアについて知りたい方に向けて、国際ボランティアの種類をご説明します。
学生や社会人など、まとまった休みがあまり取れないという方は、短期ボランティアがよいでしょう。短いものだと土日で行けるものや、一週間程度のものもあります。ツアーとセットになっているボランティアもあるので、旅行と兼ねて行ってみるのもおすすめです。
国境なき医師団とは、戦争や貧困によって十分に医療が受けられない人を助ける活動をされている方々のことです。
国境なき医師団に応募したい場合は、ホームページを確認してみると募集要項が出てきます。書類審査、面接を通って正式に国境なき医師団の一員として働くことができます。二次試験の面接では、英語やフランス語の能力があるかも問われます。海外で活動するうえで、日常会話程度の英語力は身に付けておきたいものです。
時には、戦争や災害で苦しむ人々のもとへ向かうこともあります。強い精神力と困っている人々を助けたいという気持ちが重要になります。
参考:国境なき医師団
青年海外協力隊は、教育や医療、福祉だけでなくモノづくりや地域開発などさまざまな分野で活躍しています。一度、社会人経験をしてから自分の得意分野で開発途上国の支援に挑戦する方も少なくありません。
主に貧困で困っている国へ派遣されることがほとんどで、安全面に関してはその国によって違います。あまり治安のよくない地域へ行く場合にはボディーガードがつけられることもありますが、自ら安全管理をするのが基本です。
青年海外協力隊に参加できるのは20歳~45歳の人と、年齢制限が有馬す。46歳以上の方は、海外協力隊に参加することになります。
必要な資格に関しては、職種によって異なります。看護師や助産師などはそれぞれ国家資格が必要ですが、専門職以外に関しては資格は不要なことも。しかし、外国語のスキルはどの職種でも重要となります。英語が通じない地域もあるため、現地に行く前に言葉の訓練を受けることもあります。
参考:JICA青年海外協力隊
ボランティアと名がついているだけあって、気になるのは収入事情です。すでに国際ボランティアに参加している方はどのように生計を立てているのでしょうか。
先ほどご紹介したボランティアの種類ごとに収入事情を解説します。
1年目の月収は、医師、看護師に関係なく15万3106円が振り込まれます。年数を重ねていくごとに昇給していく仕組みです。
国境なき医師団もあくまでもボランティアなので、日本で働く場合より給料は少なくなります。しかし、渡航費用やビザ取得費用、必要書類費用、予防注射などの医療費用は支払われるので生活に困ることはありません。
国境なき医師団の活動資金は、そのほとんどが民間からの寄付で成り立っています。公的資金の割合をおさえることで、国境なき医師団としての活動の自由を確保しているのです。
参考:国境なき医師団/活動資金
青年海外協力隊の任務期間中は、家賃や光熱費のほかに訓練期間は4万円、派遣期間は5万5000円が毎月の手当てとして支給されます。また、任務終了後には月額2万円が任務期間分、支給されます。年間だと約200万円ほどがひとりの隊員に支払われています。
手当以外にも月々生活費が支払われるので、安全できちんとした暮らしが保証されています。
国際ボランティアとして働くために必要な資格はありません。働きたい方は、各団体がホームページで公開している募集内容から応募しましょう。ただ、医師や看護師など、職種によっては国家資格が必要です。
この章では専門的な国家資格以外のおすすめ資格をご紹介します。
国際NGO、国際機関で働きたい方におすすめの資格が「国際ボランティア実務士」です。この資格を取得することで、ボランティアに関する基礎知識・専門知識をはじめ、国際協力・技術協力の計画や運営などの実務能力を身に付けている証明になります。
資格を取得するにはJAUCBに入会している4年制大学・短期大学に入学し、規定の科目・単位を履修します。そのうえで必修科目・選択科目をあわせて30単位以上を取得することで、国際ボランティア実務士の資格を得ることができます。
資格を取得できる大学は全国に3つと数が少ないため、なかなか難易度の高い資格といえるかもしれません。
国際ボランティア実務士の資格は、さまざまなボランティア活動で活かすことができます。すでに将来はボランティアとして社会・世界に貢献していきたいと考えている方は、資格の取得を検討してみてもよいでしょう。
国際ボランティアの仕事は、誰にでも向いている仕事とは言い難い部分があります。慣れない土地で、慣れない言語を使いながら仕事をおこない、目の前の現状を少しずつでも変えていくための努力が欠かせません。
この章では、国際ボランティアに向いている人の3つの特徴をご紹介します。
国際ボランティアは、給料が支給されることが少なく、まだ開発が進んでいない場所へ行くため不便なことも多いです。軽い興味から行ってみたいと思っている方にはおすすめできません。
多少の不便はあっても、開発途上国の助けになりたいと心から思っている方でないとうまくいかないことも多いでしょう。
慣れない土地で生活する以上、初対面の人とのコミュニケーションが苦ではないと、国際ボランティアとしての活動は難しいかもしれません。語学力に自信がなくとも現地に溶け込もうとする姿勢や、現地の価値観を理解しようとする姿勢が重要です。
国際ボランティアの派遣先は衛生面が整っていないことが多く、その分、いつもより体調を崩しやすいことは否めません。また、安全面も確実に保障されているわけではないので、きちんと自己管理できるタフな人でないと厳しいでしょう。
国際ボランティアは教育や医療、施設づくりなどさまざまな関わり方があります。国際ボランティアとして働くことは「世界を救う」ということにもつながるのです。手当が支給される国際ボランティアであれば、世界をよい方向に導く手助けをしながらの生活も可能です。
「国際ボランティアに興味はあるけれど、もっと調べてから行ってみたい」という方におすすめの本がこちら。
- 著者
- 山本 敏晴
- 出版日
山本敏晴氏著作の『「国際協力」をやってみませんか? 仕事として、ボランティアで、普段の生活でも』という本です。こちらの本では、国際ボランティアとして豊富な経験を積んだ山本氏が「いつ、だれが、どこで、なにを、どのように、なぜ、国際協力をやるのか?」という視点で、ボランティアの活動を詳しく解説しています。
世界の発展のために何かしたいと考えている方には、ぜひ一度読んでほしい1冊です。
皆さんは、シエラレオネ共和国という国をご存じでしょうか。シエラレオネ共和国は西アフリカに位置する貧困国のひとつで、平均寿命は日本の約半分の34歳です。国民のほとんどが貧困によって十分な生活が送れていません。また、内戦が10年以上続いており医師や看護師も国外へ逃げてしまい、十分に医療を受けられていないのです。
このような貧困国の現実を知り、あなたも国際ボランティアとしての一歩を踏み出してみませんか。
- 著者
- 山本 敏晴
- 出版日
山本敏治氏著作の『世界で一番いのちの短い国: シエラレオネの国境なき医師団』は、世界の現実にきちんと目を向けたいという方におすすめの1冊です。
この本の著者である山本氏は、医師としてアフリカや中東で医療活動をおこなっています。目の前の命を救うだけでなく、自分が帰国した後も大丈夫なように現地スタッフの教育にも取り組んでいます。
「本当に意味のある国際協力」とは何なのか。自己満ではなくて本当に世界の人たちの助けになる活動とは何か。国際ボランティアが目指すべき姿、活動の内容についてあらためて考え直したい方にとって、学びある内容が詰まっています。
貧困や病気によって教育を受けられない子どもたち、故郷から命からがら逃げだしてきた難民たち。世界のどこかで貧困や病気・紛争によって苦しんでいる人がたくさんいます。このような現実を知って立ち上がった女性がいます。
- 著者
- 栗山 さやか
- 出版日
栗山さやか氏著作の『渋谷ギャル店員 ひとりではじめたアフリカボランティア』という本です。筆者の栗山氏は元渋谷ギャル店員で、バックパッカーとして世界を旅し、たどり着いたアフリカ・モザンビークにて世界の現実を目の当たりにし、たったひとりでNPO「アシャンテ・ママ」を設立しました。
彼女の勇気ある行動は、国際ボランティアに踏み切れない方々の背中をそっと押してくれます。大きなことをいきなり出来なくてもいい。まず自分にできることとは何か。想いを行動にし、形にしていくためのヒントがほしい方におすすめの1冊です。
国際ボランティアの活動は、誰しもが一度は耳にしたことがあるはずです。しかし、その活動内容や収入事情、どのように国際ボランティアとして活動するのかは、本当に関心のある方しか知りません。ボランティアが必要な貧困国のことは、もはやその国に関心のある方だけの問題ではありません。世界に住む全員にとって、解決すべき問題です。
この記事を読み、そして紹介した書籍を通し、国際ボランティアという職業への関心が高まった方がいれば幸いです。あなたが踏み出した一歩の勇気が、貧困や病気に苦しむ人たちを救う、大切な一歩となるかもしれません。ぜひ想いを行動に移す勇気を踏み出してみてください。