私たちが日常的に耳にしているあらゆる音楽。提供された楽曲を歌うタイプの歌手もいれば、作詞作曲すべてを自身でおこなう歌手もいます。今回ご紹介する「シンガーソングライター」という職業は、後者のアーティストです。自らの想いを曲と歌詞にのせ、同じ想いを抱える人に届ける仕事です。 音楽作りは誰もが一度は憧れることでしょう。しかし実際に職業として目指すには、仕事内容や適性、年収など不安な点はいくつもあります。本記事では、そうしたシンガーソングライターに関する疑問を徹底解説。 記事の最後にはシンガーソングライター初心者に向けた指南書もご紹介しますので、ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね。
ギター1本で活動しているイメージの強いシンガーソングライター。広く人々の好みに訴えかける大衆音楽のジャンルで、作詞作曲から歌唱までをおこなう人のことを、シンガーソングライターと呼びます。
実は、シンガーソングライターには明確な定義というものがありません。
個人の活動とは別でバンドを組んでいる方もいますが、基本的には複数人ではなく「主に個人名義で活動している人のこと」「自分の言葉で歌詞を紡ぐこと」がおおよその定義となっています。なかには、自らピアノやギターを演奏しながら歌うスタイルの方もいます。
メジャーなシンガーソングライターをあげてみると、この仕事がイメージしやすいのではないでしょうか。
女性目線の恋愛ソングを長年発信し続けており、男女問わず絶大な人気を誇っています。代表曲には『カブトムシ』『花火』などがあります。
ジブリ作品の『風立ちぬ』では「ひこうき雲」、『魔女の宅急便』では「ルージュの伝言」が起用されるなど、子どもから大人まで幅広い世代に認知されているシンガーです。日本を代表する女性シンガーソングライターの一人です。
参照:Yumi Matsutoya Official Site 松任谷由実 オフィシャルサイト
この記事を読んでいる世代にも、楽曲『ガッツだぜ!』を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
彼は、ロックバンド・ウルフルズのボーカルとしても活動していますが、トータス松本名義で単独での活動もしている男性シンガーソングライターです。俳優業も行っており、マルチに活動しています。
アメリカを中心に活動し世界中で人気のある彼女も、シンガーソングライターです。彼女もトータス松本さんと同じく、女優業・音楽プロデュース業などもおこない、マルチな才能を発揮しています。
参照:Lady GaGa | レディー・ガガ - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
意外にも多くの方がシンガーソングライターとして活動しているのです。
シンガーソングライターには、「プロ」と「アマチュア」の2パターンがあります。本章では、その違いを解説します。両者は、収入を得る方法や活動内容には多少の違いが見られます。
ライブハウスやストリートで楽曲を披露し、自作CDの販売をおこなったりします。アマチュアだから稼げないということはありません。人気が出てライブも定期的におこない、固定ファンを獲得することができれば、きちんと収入を得ることも可能です。
音楽事務所や芸能事務所とマネジメント契約をしています。アマチュアが自費でCDを作成したりするのと反対に、制作にかかるお金は「事務所」や「音楽レーベル」が負担してくれます。
テレビ・ラジオ・雑誌をはじめとしたメディア出演のチャンスも、アマチュアと異なり多くなります。高収入を得ているような人気のシンガーソングライターは、CD発売・ネット配信・ライブまたはコンサートも定期的におこなっています。
今回は、プロとして活動している人のケースをご紹介します。
単に楽曲制作だけをおこなうのではなく、CDやライブの売り上げをあげるためのプロモーション活動もシンガーソングライターの仕事のひとつです。その他にも、知名度をあげるためのテレビやラジオ出演、雑誌のインタビューなど、その時々によってあらゆる仕事をこなしています。
プロとしてCDを販売した場合は、作詞・作曲の印税が入ってきます。売れれば売れるほど、お金が入ってくるということです。
たとえば印税は、カラオケで自分の曲が歌われても入ってきます。最近では音楽配信サービスでのサブスクリプションでの1再生ごとに印税が支払われる仕組みにもなっています。
ただし、CDの売り上げは全額自分のものになる訳ではなく、大半は所属プロダクションに持っていかれるケースが多いようです。(契約内容によってパーセンテージは異なる)
プロダクションに所属したから毎月決まった給料が支払われるわけではなく、売れ続けなければ収入は不安定になります。ちなみに、前章でもご紹介した「松任谷由実さん」の推定年収は、約2億円と言われています。印税だけでも相当な金額を得ていそうですね。
特別な資格や学歴は必要なく、独学の方がほとんどです。しかし作詞作曲を自らおこなうため、多くの方は幼少期から何かしらの楽器を嗜んでいることが多いようです。
たとえば、実際のシンガーソングライターには「幼少期からピアノを習っていた」「家族が音楽関係の仕事をしていた」なんていう方もいます。また、オーディションに応募する、レコード会社に売り込む、といった方法でデビューへの道が開かれることもあります。
とにかくまずは1曲作ってみること。その曲を多くの人に知ってもらう方法を考え、行動することがシンガーソングライターへの第1歩となります。
おすすめは「音楽専門学校」「音楽スクール」、4年制大学であれば、音楽大学などを目指すと強みになるでしょう。
将来的に安定した収入を得たいなら、音楽専門学校やスクールの講師を目指すのもおすすめです。学校の専属教師になるため、会社員と同じような生活を送ることも可能です。もちろん、楽器の技術・作詞作曲の技術や経験がなければ講師にはなれないので、その点はプロとは違う形であっても努力が必要です。
シンガーソングライターという職業に憧れている。でも自分につとまるかどうか不安な方は多いでしょう。この章ではシンガーソングライターに向いている人とはどんな人なのかを解説していきます。
シンガーソングライターは、自分で作曲もおこないます。最低でも、自由に操ることのできる楽器が1〜2種類あると望ましいでしょう。また、他のスタッフとやりとりする際、専門用語でやりとりをしたり業界内の話をするときのために、音楽に関する知識も必要です。
伝えたいことが多いほど、創作の材料が多いということになります。ちょっとした出来事からもたくさんの刺激を受けるタイプの人は、シンガーソングライターとしての素質があるかもしれません。プロとして一定の人気を獲得し続けるには、気まぐれに曲を作るというよりは、コンスタントに曲を発表し続ける必要があります。
自分の経験からいろいろな刺激を受けて、歌詞を書きたいと思っても、語彙力がなければ相手には伝わりません。参考書籍では、そんな悩みの解決を手助けしてくれる本もご紹介していますので、後ほどチェックしてみてくださいね。
以前は、スカウトやプロダクションのオーディションを受けてCDデビューする流れが一般的でした。しかし、ネット配信の普及や動画サイトの発展にともない、現在CDの売り上げは右肩下がりです。そういった背景もあり、いろいろなデビューの仕方が出てきました。
「ニコニコ動画」や「YouTube」に自分の制作した楽曲やプロモーションビデオを投稿し、再生回数が増えることで、音楽レーベルや芸能事務所に発見されることもあります。代表的なのは、日本男性シンガーソングライターの米津玄師さん。彼はもともと、ニコニコ動画などで楽曲を配信していたことで有名です。
一昔前は、シンガーソングライターで売れたい人たちがこぞって路上ライブをおこない、実際にそこからスターが生まれたこともありました。
しかし、今は「道路交通法」も以前より厳しくなり、公園や駅前での路上ライブが厳しく規制されるように。ルールを守った活動をおこなう必要があり、チャンスも減っているため、ネットをうまく使う人が増えているようです。
活動方法のひとつである路上ライブのチャンスが減り、オンライン化したことは悪い面だけではありません。動画サイトに投稿することで、海外から注目されるチャンスは逆に増えています。
便利な時代になり、お金をかけずにネット配信する・自分のチャンネルを持つということが、誰でも簡単にできるようになりました。
自分のチャンネルでは、その場で応援したい人に「ギフト」と呼ばれる、投げ銭システムを使うこともできるようになっています。投げ銭を現金化したものだけで生活することは難しいかもしれませんが、まとまった金額を手にする人もいないわけではありません。
- 著者
- 長井 英治
- 出版日
眺めているだけでも飽きない、オールカラー本です。発売当時のCDジャケットなども載っており、作品を作る上でインスピレーションを受けることも多いはず。日本の女性シンガーソングライター史に触れたい方におすすめの1冊となっています。
2013年発売なので最近のシンガーソングライターは入っていませんが、中島みゆきや松任谷由美、今井美樹をはじめとして長年愛され続けている方々がピックアップされています。
一時の人気ではなく、長きにわたって人を魅了し、愛され続けるにはどんな理由があるのか。その理由を知りたい方におすすめの内容が詰まっています。
- 著者
- 学研辞典編集部
- 出版日
自分のなかにあるメッセージを、自分の言葉で発するのがシンガーソングライターです。創作で言葉のチョイスに行き詰まったら、ぜひこちらを開いてみてください。
スマホサイズの書籍となっており、持ち歩きにも便利。「気象」「自然」「草木」「生き物」「人体」「色」「時・季節」から、探したい言葉が見つかるようになっています。
創作の場だけでなく、自分が素敵だと思った一瞬に言葉をつけるならどんな表現がいいだろうか。日常的に言葉の選択肢を増やしていきたい方におすすめの1冊でしょう。
- 著者
- ["monaca:factory", "10日P"]
- 出版日
挫折を経験した人にもおすすめといわれている、面白い1冊をご紹介します。
一度はシンガーソングライターに憧れ、曲を作ろうとした経験がある方は多いのではないでしょうか。また、作ろうとしたけど、失敗に終わった方もいるはずです。そんな挫折した経験を持つ方におすすめなのが本書です。
もちろん、まったくの初心者の人も曲作りの仕組みを一から学ぶことができます。シンガーソングライターを目指すすべての方に読んでほしい1冊です。
シンガーソングライターの収入だけで生活できるようになるまでには、たくさんの苦労があるでしょう。しかし、今はオンラインの仕組みをうまく使えば、最低限の生活ができるくらいは音楽で稼ぐことも可能な時代です。
ご紹介した書籍には、一度シンガーソングライターの道を挫折した人向けのものもあります。まだ夢を追いかけてみたい方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。路上ライブもルールや場所を守ればおこなうことができるので、力試しと思って挑戦してみるのもよいでしょう。
ぜひ、自分のセンスや実力を素敵な音楽にして世の中にアウトプットして、音楽の世界に新風を吹かせてください。あなた独自の感覚や創造力を待っているリスナーが必ずどこかにいるはずです。