華やかな職業で、特に若い世代で憧れられているバックダンサー。アーティストの後ろで踊るため、注目される機会は少ないかもしれません。ですが、バックダンサーとして活動できる方は、ダンススキルが高い方々ばかり。バックダンサーとして活動するには、事務所所属とフリーランスと2つの選択肢があります。働き方によって収入にも違いがあるので、バックダンサーを志す方なら知っておきたいところでしょう。 本記事では、バックダンサーを職業にされている方にインタビューをした情報もあわせて、どんな職業なのか、ダンスの種類なども解説しています。 おすすめの書籍もご紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
まずはバックダンサーとはどんな職業なのかについて、詳しく解説していきます。
バックダンサーとは主役を引き立てるためにダンスを踊るパフォーマーのこと。バックダンサーという職業の定義はありません。
バックダンサーを目指してダンサーになる人もいますが、もともとは自分がメインで踊るダンサーを目指していたという人がダンスに携われるお仕事の一環としてバックダンサーをするということもあるようです。
今はメインのダンサーとして活躍する方々のほとんどが、バックダンサーを経験しています。一人前のダンサーになるため誰しもが通る道と言ってもよいでしょう。
ダンスにはJAZZ、チアダンス、タップダンス、ヒップホップ、ロック、レゲエなどさまざまなダンスの種類があります。
その時の音楽の流行などによって、バックダンサーとして要望されるダンスは異なる傾向にあります。ですので、ジャンル問わずさまざまなダンスを踊れる人ほど、バックダンサーとしての需要は高くなるといえるかもしれません。
バレエがダンスの基礎という話は、ダンスを習っている方なら一度は聞いたことがあるでしょう。
バレエは一つひとつの動作を美しく見せる、体の持つ美しさを最大限に活かすダンスです。そのためバレエ出身者が他のダンスを踊ると不格好、綺麗すぎるという意見も少なくありません。ダンスではそれぞれ使う筋肉も姿勢も異なりますし、合わせる音楽の種類も違います。
ですがジャズダンスはバレエから派生したものと言われていますし、ダンスの種類によってはバレエで培った技術をベースにして他のダンスを習得することも可能です。何よりターンの美しさや、手足の先までを意識した体の使い方は、ダンス全体の美しさを底上げしてくれます。
踊る様が美しいと言われるダンサーのなかには、バレエレッスンを受けたことがある方も多いのです。
バックダンサーの仕事依頼で最も多いのは、歌手がテレビでパフォーマンスをするときに後ろで踊るという場面です。CMなどで主役の方の後ろでダンスを踊り、世界観を作り出す仕事も多くあります。
他には、歌手のコンサートに帯同してバックダンサーとして踊ったり、テーマパークのショーなどで踊ったりすることもあります。想像しているより活躍の幅が広いのが特徴です。
バックダンサーとして活動するには2つの方法があります。
1つ目は、芸能事務所に所属し、その事務所のアーティストが活動するときにバックダンサーとして仕事をする方法です。所属事務所は、ダンサー専門の事務所から、幅広く芸能タレントを扱っている事務所までとさまざまです。
2つ目は、フリーで活動して仕事をおこなう方法です。プロのダンサーにはフリーで活動する人が多くいて、そのほとんどがバックダンサーとしての仕事の他に、振付師やダンス教室の講師をおこないながら生計を立てています。
最近ではInstagramやYoutubeをはじめとするSNSを通して仕事をすることも可能となり、仕事の幅は広がっています。
バックダンサーの収入は、1回の舞台に対する出演料という形で発生します。舞台相場は6000円〜1万円程度といわれていますが、有名アーティストの場合には、リハーサル代で1日万円〜、コンサート1回3万円〜ともいわれています。
そのため、同じバックダンサーという職業でも、メインで活躍しているアーティストの知名度によって収入には差が出てくるということになります。
フリーで活動しているバックダンサーの場合は、バックダンサー以外にも振付師としての仕事、自分がメインで踊るパフォーマーの仕事、ダンス教室の講師など、複数の仕事を並行しておこなっている方が多い傾向にあります。
複数の仕事の収入を合わせると、月収は大体20万円前後になることもあります。時間管理やスケジュール管理が大変になりますが、さまざまな仕事を通してダンスの技術を磨きながら、一般の方にダンスの面白さを広める活動も出来るやりがいも感じられるようです。
バックダンサーになるためにはどうしていけばいいのでしょうか。この章では、バックダンサーのなり方についてご紹介します。
バックダンサーは年齢不問、資格不要です。オーディションを受けて合格したり、バックダンサーとしての仕事が入ったりすれば、バックダンサーとして活動できます。
近年ではバックダンサーを育成するための専門学校なども増えてきているため、学校でダンスレッスンを受講しながらオーディションを受け、在学中にバックダンサーとして活躍することもできます。
バックダンサーは実力勝負の世界です。そのため、ダンスの経験が長くても、実力があればダンス経験が浅い人がよいポジションを取ることもあります。
学生時代にダンスを習っていた、あるいはダンス部に入っていて大きな大会に出場するなどの好成績を収めてきたという場合には、その経験が評価されます。特に芸能事務所の所属などは、過去の経歴や実績を重視する傾向にあるようです。
バックダンサーの働き方には、ソロとグループの2種類があります。
ソロ活動とは、個人でオーディションを受けて1人でバックダンサーとして踊る、あるいは合格者を寄せ集めてグループを結成します。
一方、グループ活動とは、所属しているグループみんなでオーディションを受けます。グループでの活動には、一緒に踊ってきた仲間とともにお仕事をし続けることができるという魅力があります。
バックダンサーの仕事は、複数人でフォーメーションを組んで踊ることが多いです。なのでグループでのダンス活動を通して、どんな人とも踊りを合わせられるスキルは磨いておくとよいかもしれません。
最後に、バックダンサーに向いている人の特徴をご紹介します。あくまで向いている人ですので、参考として覚えておいてくださいね。
1つ目の特徴は、協調性がある人です。
先ほどもご紹介したように、バックダンサーはソロとグループがあります。どちらの活動スタイルを持っているかは個人で違いますが、いずれにせよ仕事をおこなう際はグループを作り、ダンスを披露しなければなりません。
そのため、いろいろな人と協調できるという人はバックダンサーに向いているといえます。
2つ目の特徴は、表現力があり、表情豊かな人です。
同じダンスを踊っていても表現力があったり、表情が豊かだったりする人がオーディションを勝ち取る傾向にあります。表現力が高く、表情が豊かな人、魅せ方のパターンが多い人は、メインダンサーとしても、バックダンサーとしても素質があるといえるでしょう。
3つ目の特徴は、コミュニケーション能力が高い人です。
バックダンサーは、コネクションが重要とされる職業とも言われています。
全ての舞台においてバックダンサーとして踊るためにオーディションが設けられているというわけではありません。なかには、知り合いの間でのみおこなわれるオーディションがあったり、コネクションによってオーディションを受けずに大きな仕事を得られることもあります。
コツコツと実績を積み重ねつつ、1回ごとの人付き合いを大切にしていくことが必要であるといえます。
4つ目は体力のある人です。
バックダンサーは、パフォーマンスの本番までに練習やリハーサルでとにかく踊り続けます。踊り続け、全体のパフォーマンスを磨きあげる必要があるからです。
踊り続けた体で本番を迎え、最高のパフォーマンスをしなければなりません。体力があり、一定のパフォーマンスの維持が必要となるといえます。
- 著者
- ユーコ・スミダ・ジャクソン
- 出版日
日本人で唯一、マイケルジャクソンのバックダンサーとして世界28カ国でおこなわれたワールドツアーに帯同した女性ダンサーの著書です。
誰もが知っているビックな歌手のバックダンサーとして踊るためにひたむきに努力をし、夢を勝ち取った著者が、バックダンサーとして踊るということだけでなくオーディションを勝ち取るために努力することの大切さを教えてくれます。
また、「THIS IS IT」振付・演出の方との対談もあり、マイケルジャクソンファンの方は特に読みごたえがあるでしょう。
バックダンサーとしての道を考え始めている方だけでなく、バックダンサーになりたいと考えてレッスンやオーディションに打ち込まれている方にもぜひ読んでほしい1冊です。ダンスの魅力をより深く知り、バックダンサーになりたい気持ちがさらに高まるでしょう。
- 著者
- ["大前光市", "今井ヨージ"]
- 出版日
2016年リオパラリンピックの閉会式ほか、世界の舞台でも活躍しているダンサー、大前光市さんが書かれたノンフィクションです。
ダンサーという職業を夢見て幼少のころからひたむきに頑張り、夢をつかんだところで交通事故にあってしまったことで、ダンサーとして必要不可欠ともいえる片足を切断することになります。
そんな逆境のなかでも夢を諦めず、自分のできることをひたむきに頑張ったことで、さまざまな義足を使い分けながら再び輝かしい結果を残し始めます。
バックダンサーは、オーディションに受からなければ職業として成り立たせることはできないシビアな世界で生きています。オーディションに落ち続けることで自分に自信をなくしたり、バックダンサーを諦めて別の道をと考える方は少なくありません。
これからバックダンサーを目指す方、現在オーディションを受けている方は、本書を通して夢を諦めないことの大切さを感じてもらえればと思います。
この本は総ルビのため、すべての漢字に振り仮名がふられています。本を読むことが苦手、漢字が不得意という方でも読みやすいというところもポイントです。
- 著者
- 浩史, 須田
- 出版日
小学校では以前からダンスなど、表現運動系の授業が必須となっています。平成20年3月には、中学校1学年、2学年で必修となり、中学校3学年は選択履修が可能となるよう定められています。
この本は、主に小学校で教えるダンスを網羅したダンスの教科書です。
ヒップホップにロック、コンビネーション、創作ダンスなど、ストリート系のダンス指導では定評のあるダンスインストラクター協会が指導・監修をしているため、内容も濃く、専門的な視点でまとめてあります。
ダンスの技術を本とDVDで説明しているため、初めての方も自宅で技術を習得できるのではないでしょうか。
創作ダンスのノウハウも書かれており、ダンサーとして必要な表現力を磨く練習にもなるでしょう。ダンス初心者の方にはぜひ活用していただきたい1冊です。
学歴や経験は不問であるため、誰でもチャレンジはできるものの技術が勝負となるバックダンサー。
バックダンサーを目指す人は多いため、夢をつかみ取りさらに大舞台に立てる方はほんの一握りともいえます。ですが、諦めずに練習を積み重ね実績を積み重ねていくことで、大舞台に立てる日が少しずつ近付いてくるはずです。
記事の最後にご紹介した書籍にも目を通してもらい、バックダンサーとしての夢をつかみとってください。