5分でわかるスタントマン!年収事情やスタントマンへの近道、必要な素質などを解説!

更新:2023.11.9

映画やテレビなどで、ド派手に車にひかれたり、高いところから海に飛び込んだり。男性ならば小さい頃の特撮ヒーローのスーツアクターの演技は強く記憶に残っているのではないでしょうか。そんな派手で危険な演技をしている役者さんは、主にスタントマンと呼ばれます。出演する俳優の代役としてアクションシーンをおこなうため顔は映らず、国内外で活躍することが可能です。もちろん女性のスタントマンも活躍しています。今回は、そんなスタントマンの実態を調査。仕事内容、養成所での訓練期間、年収事情などを網羅しています。スタントのお仕事に興味のある方、必見の内容ですよ。

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スタントマンとは

スタントマンとは、映画やドラマなどで高度かつ危険なシーンを演じるスタント専門の俳優のことです。

実際に出演している俳優の代役として、スタントが必要な場面で起用されます。車に轢かれるシーンや、ビルの高層階から飛び降りたりと危険度の高い場面を担当するため、常に怪我とは隣り合わせの職業です。

特に、アクションがメインの映画やドラマで重宝されており、特別な資格は不要で高い運動神経を持っている方であればスタントマンになることができます。

スタントマンの仕事内容

スタントマン養成所に入り、一通りの技術を身につけたら、自分の得意分野にあわせて、スタントの仕事をこなしていきます。養成所でのあっせんや、自分自身でオーディションを受けて役を勝ち取るなど、方法はいろいろあります。

一瞬の気のゆるみが事故につながる仕事

スタントの仕事は常に危険と隣り合わせです。どの現場でも気を抜くことはゆるされません。気を抜いてしまえば、大けがや大事故につながることもありますし、最悪の場合、死にいたります。

それでも、まだ自分の身に起こるだけならよいのですが、状況が悪いと撮影現場のほかのスタッフにも迷惑が掛かります。自分と周囲への安全も背負っているので、いつでも気を引き締めなくてはいけません。

観客の印象に残る派手な演技が必要とされる

映像としての面白さを出すために、派手に演じる必要があります。たとえば車にはねられるシーンでは、車にはねられてボンネットの上に飛び乗り、ゴロゴロと弾き飛ばされる……。これだけでも確かに臨場感は出ますが、これに加え手持ちのカバンを思いきり放り投げて、手荷物が四方八方に飛び散った演技が加わえたりして観客の印象に残るシーンにする努力が必要です。

スタントマンはこのように、自分自身と周囲の安全を守りつつも、観客をストーリへ引き込めるような演技や工夫を常におこなうことが求められるのです。そ派手に見せながらも自然な動きを表現しつつ、自分と周囲の身を守ることが求められる仕事だといえます。

また、これらの演技を事故なくやり続けるために、自己研鑽や演技の勉強、体力づくりや体の柔軟性を高めるトレーニングなども日々欠かさずおこなっています。

スタントマンには「ボディスタント」と「カースタント」の2種類に大別される

スタントにはボディスタントとカースタントに大別されます

ボディスタント

ボディスタントとは、おもに体を主体として演技をするスタントです。俳優さんのかわりに階段を転げ落ちたり、火だるまになってみたり。高い崖から海に飛び込むシーンなど、自分自身の体を最大限使用してスタントをこなすのが仕事です。

かの有名な『仮面ライダー』など戦隊ものと呼ばれる作品のスーツアクターもボディスタントといわれています。

カースタント

カースタントは、自転車やバイク、水上スキーなどの乗り物によるスタントをおこなう演技をするスタントマンです。テーマパークでの演技のほかに、カーチェイスなどもおこないます。テレビのバラエティ番組でカースタントの演技をする場面もあり、よく観る大事故の再現映像などもカースタントの仕事です。緊張感のある瞬間を、より臨場感をもって伝えるのが役どころとしては難しい部分です。

その他にも、中国憲法やロープアクション、乗馬など、アクション演技をするうえで想定できるさまざまな技術を身につけていきます。この養成所での訓練も大変厳しく、とあるスタントは「30人いた内の同期が自分ともう1人だけになってしまった」というほど。

養成所に入ったからといって安心ではなく、そこからいかに食らいついていけるかも、スタントマンへの厳しい道のりであるといえるでしょう。

スタントマンの平均年収

スタントマンの仕事内容は危険をともなう業務内容であることは明らかです。そんな仕事を生業としているのだから、その年収が気になる人も多いのではないでしょうか。

1回の演技に対する報酬が支払われる

スタントマンは1回の演技に対していくらという報酬制が設けられていることが多いです。

一例ですが、階段から転がり落ちるシーンで3~5万円ほど、車にはねられるシーンでは1~7万円ほどといわれています。特に高額なのが火だるまになる演技で、1回100万円の場合も少なくありません。命がけでおこなう迫真の演技を求められるのだから、高額報酬にも納得です。

どんなアクションができるかで年収は変わる

アクションの危険度によって1回あたりに発生するギャランティが異なるので、自分自身がどのくらいのアクションをこなしていけるかによって年収は大きく変わるのが実情です。さらにいうと、撮影現場で安定した演技を見せることが重要なので、アクションとはいえ安全な演技をこなし、安定した撮影ができる経歴がある方が、同じ案件でも若干ギャランティは高く設定されています。

駆け出しのスタントマンはアルバイトと並行している

どの程度スタントの現場に携われるかというのも、年収だけではなく収入の安定性にもつながるところ。コンスタントにお仕事の受注があればよいのですが、若手の下積み時代には、1つの撮影が終わった後に次の仕事が決まっていないケースも多々あるようです。ですので、アルバイトと並行しながらスタントのお仕事をしている例も数多くあります。

一般的な年収は200万〜700万円と開きがある

さまざまな経歴を積み、より派手なアクションスタントができて、安定して撮影を進行できるスタントマンであれば、収入が高くなります。スタントマンの一般的な年収は200万~700万といわれていますが、収入に開きがあるのはこのためだと考えられます。

駆け出しの10代~20大前半の人はやや年収が低く、20代後半から30代がスタントマンのボリュームゾーンで、その後はゆっくりと低下します。

理由として年齢を重ねる方がケガや事故のリスクが上がるためといわれていて、若くて体力があり、経験値がある年代が最も好まれるということが、スタントマンの年収の推移につながっています。年齢が上がってくると若手の育成やマネジメントにキャリアチェンジすることもできます。

特に人気のスタントマンは年収が数千万になったり、ハリウッド進出したりして、高額報酬を得られる機会もあるようです。

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スタントマンになるには。養成所所属が一番の近道

スタントマンになるには、まずはスタントの養成所に入るのが一番の近道です。そのほかには、すでにスタントマンとして活躍しているスタントに弟子入りして学ぶ方法もありますが、最近では養成所を経ているケースがほとんどです。

養成所で最低限のスキルを磨いていく

養成所に入るにも、希望すればだれでも入れるわけではありません。スタントの仕事は率直にいって、大変危険なお仕事です。養成所では、その危険を最小限にするための体づくりや身のこなし、技術や知識を取得する場ですが、最低限それらをこなせると思われる、ベースとなる運動神経やセンスなどを問われます。

動体視力や瞬発力、平衡感覚、跳躍力など、スタントをおこなう上で身を守るために必要なスキルがあり、より派手なアクションをおこなえる体のベースがあれば、なおよしです。

アクションが学べる養成所

一流のスタントマンになるために必要なアクションが学べる養成所は、東京や大阪にはいくつかあります。芸能事務所によってはアクションのレッスンを受けられたり、アクション部門を設けていることもあるので、芸能事務所に所属するのもよいでしょう。

たとえば女優の清野菜名さんは、アクション女優としての評価も高く、実際にアクション養成所に1年通っていたこともあるそうです。専門的なスキルを身につけるために1年ほど期間を設けてしっかりと基礎を作ることが大切ですね。

基礎ができて初めてオーディションを受けられる

養成所入学に際し、最低限のレベルを見極めるオーディションが設けられ、そこでスタントマンとなる素質を見出されるのです。

スタントマンに求められるのは、体力と怪我をしない柔軟性です。もしスタントマンを夢見るあなたが、まだ10代前半の若い年齢のようならば、今から体力づくりと体の柔軟性を高めるためのトレーニングやストレッチをおこなうとよいでしょう。継続し取り組める精神力も重要です。

そして何よりもスタントマンになりたいという強い気持ちが大切です。養成所に入った後も過酷なトレーニングは続きますので、それを乗り越えてでもスタントマンになりたいという気位を試されています。

スタントマンの苦労

スタントを生業とする人が必ず言うスタントマンの苦労は、誰しもが口をそろえて「痛い」ことが辛いと言います。本当に体を張って、私たちに素敵なエンターテイメントを見せてくれているとおもいます。

痛い、危ない、怖い。それでもなぜかカチンコが鳴らされ本番になると、恐怖心や痛みはふっとなくなるのだとか。役者としてアドレナリン全開の状態なのでしょう。

そのぶんケガとは縁が切れない職業ですが、うまくいけば年齢に関係なく高い年収を手に入れられると、ひそかに人気の職業でもあります。

最近では、事務所に所属しているスタントマンも多く、けがをした際に労災扱いとなるケースも増えてきたようですが、一昔前までは個人で活動しているケースも多く、また保険加入も難しい現実もあったのだとか。やはり基本はケガをしないように努めることが前提のお仕事といえそうですね。

スタントマン養成所では何をするの?

オーディションに合格し、スタントマンとなるためにはれて養成所に入学することができました。しかし、当然ですが、それで終わりではありません。日々過酷なトレーニングや訓練をし、危険なアクションでも自分の身を守るための体づくりや身のこなし、受け身の取り方を徹底的に習得します。

それだけではありません。演技をするうえで、やはり演技の勉強もしますし、ダンスや殺陣など、スタントをおこなう上で必要な技術を身につけていきます。

著者
["園村健介(ユーデンフレームワークス)", "小野寺廣信"]
出版日

こちらの書籍は、アクションポーズをいかにかっこよく躍動的に見せるか、ボディスタントの参照となるようなポージングを写真としてまとめた本です。スタントのプロたちが魅せるアクションのその瞬間を写真にしているので、目で見て学ぶことができるでしょう。

どのようにしたらカメラの向こう側で見ている視聴者に対して伝えることができるのか、悩んでいる場合に参照となり得る書籍ではないでしょうか。

スタントマンの仕事の実際は?

著者
["早瀬重希", "飯能整形外科病院院長木川泰宏医学指導"]
出版日

こちらの書籍は、実際にアクション業界で活躍している早瀬重希氏が著作した書籍です。医学指導者として木川泰宏氏も参入しており、彼は整形外科医でありながらも、自らもアクションやスタントをおこなうプレイヤーでもあります。

アクションスターやスタントマンを目指すための心意気や知識を、絵や写真付きでわかりやすく説明しています。医師の監修があれば、より身体的機能をもとにしスタントの理解を深めることができそうです。スタントマンを目指す人にとっておすすめの1冊ですよ。

スタントマンの仕事の実情とは

著者
別冊映画秘宝編集部
出版日

映画「るろうに剣心」や仮面ライダー、ウルトラマンシリーズのアクション映画最前線の現場を支える監督や役者、スタントマンの仕事の実情を知ることのできる1冊です。最近放送されたものばかりなので、目にしたことのある方も多いのではないでしょうか。

そんな撮影現場を知るためにおすすめの1冊となっています。

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今回は、エンターテイメントの立役者でもあるスタントマンの職業についてまとめました。訓練も厳しく、危険もともなうお仕事ですが、その分やりがいや生きがいが感じられ、うまくいけば大きな収入を手にすることも。

何より自分の身体能力を活かし、映画やドラマなど作品で印象的なシーンを演じることができるので、やりがいも感じられるでしょう。最近では主演する俳優自らアクションシーンを演じることも増えましたが、まだまだ需要の高い職業です。

興味のある方はぜひ一度紹介した書籍も手に取ってみてくださいね。

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