5分でわかる歌舞伎役者!屋号って何?歌舞伎役者になるには?働き方や年収なども解説!

更新:2021.12.9

日本のみならず世界中で愛されている伝統芸能「歌舞伎」。近年では歌舞伎役者以外に、バラエティやドラマなどテレビで活躍する方も多いため、興味があると考えている方は多いのではないでしょうか。また、歌舞伎役者になるには歌舞伎家系出身でないとだめというイメージは強くありますが、実は一般家庭出身でも歌舞伎役者になることは可能です。約2年間の修業を積むか、師匠に弟子入りして歌舞伎役者を目指します。本記事では、そんな歌舞伎役者の仕事内容や年収、なり方などを解説。また、最後には歌舞伎役者について知るうえで役に立つ本を3冊紹介しています。こちらもぜひご覧ください。

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歌舞伎役者とは

「歌」「芝居」「踊り」を掛け合わせた伝統芸能である「歌舞伎」。その歌舞伎を演じる方のことを「歌舞伎役者」といい、歌舞伎役者はすべて男性です。そのため芝居のなかで女性役が出てくる場合にも男性が演じます。これを「女形」といいます。

近年では日本のみならず世界でも人気となっており、「KABUKI」とそのままの名前で浸透しています。

屋号とは

歌舞伎には「○○屋」という屋号があります。屋号とはその家のことを表す象徴・看板のことです。

有名な歌舞伎役者のひとりに市川海老蔵さんがあげられますが、彼の場合は「成田屋」という屋号です。古くから歌舞伎をしてきた家が屋号の格式が高いとされており、成田屋は最も格式高い家のひとつです。ほかに、「中村屋」「音羽屋」「成駒屋」「高麗屋」も、格式が高い家として知られています。

歌舞伎役者の仕事は歌舞伎を演じることですが、修行中の期間は師匠の身の回りのサポートや舞台の裏方として舞台づくりをします。歌舞伎役者として経験を積んだ後は、歌舞伎の演出などに携わったりテレビやドラマに出演したりと、さまざまな場面で活動するようになります。

歌舞伎役者の年収事情

歌舞伎役者の年収は経験や人気度によってさまざまで、トップ歌舞伎役者だと年収1億円の方もいます。このような役者を、歌舞伎界では「千両役者」と呼びます。千両役者とは一両(10万円)を1年間で千両稼いでいるというところからきているようです。

初任給は月収20万円前後と、一般企業と同じくらいの給与水準です。経験や努力次第で1本の出演料などが変わり、年収数千万円~数億円も夢ではありません。

このように多く稼いでいる方は出演料が高いのはもちろんですが、弟子からのレッスン料やテレビなどへの出演料、歌舞伎舞台の演出料などさまざまな分野で活躍し、収入源が複数あるのが特徴です。

歌舞伎役者の働き方

歌舞伎役者の働き方は、一般企業とはまったく異なります。歌舞伎の公演は1回につきき25日間あり、その間のお休みはありません。そのため、公演が終わった後の25日間の間で、テレビ出演や稽古がない日がお休みとなります。年間の公演数は人にもよりますが、年間10公演が一般的です。

歌舞伎役者になるには

歌舞伎家系でなくても歌舞伎役者になることはできる?

歌舞伎役者になるには歌舞伎家系でなくてはいけないと思われがちですが、一般家庭出身でも歌舞伎役者として活躍している方はいます。

歌舞伎にドラマにと、多方面で活躍する片岡松十郎や片岡愛之助も一般家庭出身者です。一般の家庭から歌舞伎役者になるには、伝統芸能伝承者養成所で2年間修業を積むか、師匠に弟子入りすることでなれます。

最近では、歌舞伎業界の人出不足の影響から子役の芸能事務所にスカウトがくることもあるのだそう。今後、歌舞伎役者になるチャンスは増えるでしょう。

歌舞伎役者に向いている人の特徴

歌舞伎役者はハードな職業です。25日間の公演を休まずにできる体力や精神力がまず必要です。また、伝統芸能ですから芸を磨き続けなければなりません。追求心の強い、職人のような精神を持つ方が向いているといえるでしょう。

この章では、歌舞伎役者に向いている人の特徴を解説します。

体力・精神力がある

歌舞伎の公演は、1回につき25日間と約1カ月間休みがありません。また、2部制で午前午後と公演があるほか、空き時間には稽古をします。25日間の公演が終了した後も休みの日以外は次の公演に向けて準備や稽古をおこなうため、その期間も完全に休みとなるかというと、そうではありません。

また、歌舞伎はダイナミックな動きが魅力の伝統芸能なので、それを演じきるタフさが必要です。

伝統芸能を守りたい想いが強い

現在では、歌舞伎界の人出不足や伝統芸能に興味を持っている若い世代の減少によって歌舞伎界は衰退傾向にあります。そのため、歌舞伎を残したい、自分が担い手となって守っていきたいという想いが強い方は向いているといえるでしょう。

アイディアが豊富

歌舞伎を演じるうえで、どうしたらお客様の心に刺さるのかを考えることができる歌舞伎役者は成長スピードも早いでしょう。

また、歌舞伎界が後世に伝わるにはどのような工夫をするべきか考えることができる方は、今後の歌舞伎界の担い手として大変貴重な存在になります。最近話題になったアニメ『ワンピース』と歌舞伎のコラボは、若い人も話に入り込みやすく、歌舞伎を知るきっかけになったのではないでしょうか。

伝統芸能のよさを大切にしながら、歌舞伎のよさを広げていくアイデアを持つ方は重宝されます。

協調性がある

歌舞伎は、ひとりで作り上げるものではありません。ほかの歌舞伎役者とかかわることはもちろん、照明などの舞台関係者や事務所の方など、さまざまな人と関わる機会があります。

また、歌舞伎業界は師匠と弟子の関係があり、きちんとした礼儀が大切です。礼儀正しく、コミュニケーションを取り合いながら働くことができる方は歌舞伎役者に向いているといえるでしょう。

マンガで楽しく歌舞伎を知る

歌舞伎でおこなわれる演目には大きく分けて3つの種類があり、演目の数は400もあります。(うち多く演じられているのが100演目)演目の種類は以下の通りです。

  1. 江戸時代の公家や武家などを表現する「時代物」
  2. 江戸時代の庶民の暮らしなどを表現する「世話物」
  3. セリフがあまりなく主に音楽や舞踊で表現する「舞踊劇」

時代物は言葉が難しいため、初心者には比較的分かりやすい言葉で表現される「世話物」がおすすめです。華やかな踊りや歌を観たい方は、「舞踊劇」がよいのではないでしょうか。

このように歌舞伎には多くの演目があり、見るうえでのルールなども存在します。歌舞伎を見てみたいという気持ちはあるけど話やルールが難しそうと感じている方も多いのではないでしょうか。

著者
["その子, 漆澤", "マンガでわかる歌舞伎編集部"]
出版日

漆澤その子氏著作の『マンガでわかる歌舞伎: あらすじ、登場人物のキャラがひと目で理解できる』という本です。

本書は、part1とpart2の構成となっており、part1には歌舞伎を観るうえでの基本ルール、part2では50演目を観るうえでの鑑賞ポイントや大まかなあらすじが分かりやすくまとめられています。

歌舞伎の演目数はとにかく多く、初心者が選ぶとなると大変難しいため、漆澤氏は見てもらいたい50の演目に絞って解説している点もこの本の魅力です。

マンガで読みやすい作品となっており知っておきたい豆知識もたくさん掲載されています。少しでも歌舞伎に興味のある方はぜひご覧ください。

知っておきたい!歌舞伎のあれこれ

みなさん「襲名(しゅうめい)」や「梨園(りえん)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

襲名とは

襲名とは、歌舞伎や能楽、落語などの伝統芸能でおこなわれるもので、父や師匠の名前を継ぐことをいいます。これまで名乗っていた名前よりも高位な名前を継ぐことで、社会的に注目されるため歌舞伎の技術向上などもあるようです。出世のような意味合いを込めて、ある程度の実力を認められた時に名前を継承します。

梨園とは

梨園とは、歌舞伎役者の社会のことをいいます。そのため、歌舞伎役者と結婚した女性のことは「梨園の妻」と表現されることが一般的。梨園には、一般の社会とはかけ離れた存在のものとする意味合いがあります。

このように歌舞伎界には多くの専門用語や設定があります。また、「歌舞伎ってどのような格好で行けばいいのだろう?」と疑問に思う方もいるでしょう。そんな方にぜひ読んでいただきたい本がこちらです。

著者
["辻 和子", "辻 和子"]
出版日

辻和子氏著作の『歌舞伎の解剖図鑑 (イラストで小粋に読み解く歌舞伎ことはじめ)』という本です。本書では、歌舞伎を観に行く際のルールや、歌舞伎でよく使われる用語を詳しく解説。また、著者のおすすめ演目が23作品収録されており、大変読みごたえのある内容となっています。

歌舞伎役者を目指している方にも、歌舞伎を観たことがない方にもおすすめの入門書です。

伝統芸能を守りたい、次世代に伝えていきたい

日本には、歌舞伎のほかにも落語や講談、狂言、能などさまざまな伝統芸能があります。しかし、どれも難しそうで近寄りがたいというイメージが定着しています。そのようなイメージを払拭して発展していくためにはさまざまな工夫を取り入れる必要があります。

伝統芸能の革命児として活躍している方とは、どんな方でしょうか。また、彼らはその伝統芸能を後世へ残すためにどのような工夫をしているのでしょうか。伝統芸能に革命を起こした方達について言及している本がこちらです。

著者
ジョー, 九龍
出版日

九龍ジョー氏著作の『伝統芸能の革命児たち』という本です。本書では、歌舞伎・文楽・能・狂言・落語・講談・浪曲・新派・ストリップなど、伝統芸能で活躍するスターたちを詳しく紹介しています。

歌舞伎界では市川海老蔵や市川猿之助、落語界では立川志らくなどをはじめとした、各分野の最前線で活躍する方について学べるのも本書の魅力です。歌舞伎だけでなく、ほかの伝統芸能にも興味がある方や、この本に憧れの方が掲載されているという方におすすめの1冊です。

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今回は歌舞伎役者の仕事内容や年収、なり方について詳しく解説しました。歌舞伎役者に興味があるという方はぜひ、紹介したおすすめ本を読んでみてくださいね。

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