5分でわかる版画家!日本で有名な版画家とは?仕事内容や年収、なり方についても詳しく解説!

更新:2021.12.9

木や石に絵を掘り、それを紙に刷ることで版画が完成します。芸術としての歴史が深い版画は、「版画家」という専門的な知識・技術を持つ方々によって制作されます。小中学校の美術の時間で触れたことがある方は多いのではないでしょうか。しかし、実際に版画家を目指すことを考えてみると、職業としての全体像が掴みにくいのが現状です。本記事では、版画家の仕事内容や働き方、学び方や年収事情などを解説。あわせて読みたい書籍も紹介しています。「版画」もしくは「版画家」に興味がある方は、ぜひ本記事の内容を参考に進路を決めてみてはいかがでしょうか。

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版画家とは

そもそも版画とは

版画とは、木や石に彫刻刀などで模様や絵を彫り、これにインクを塗って印刷した絵のことを指します。

油絵や水彩画などの絵画は世界にひとつだけのもので、あり同一のものを何個も作ることはできません。しかし、版画の場合は印刷するという特徴があるため、同一のものを何個も作れるのが特徴です。また、版画家とはそれらの作品を商品として売る芸術家のことを指します。

版画家の働き方

版画家の仕事は、版画を彫って商品にするだけではありません。たとえば、自分の彫った版画が評価され企業から依頼を受けた場合、打ち合わせや準備などの業務が発生ます。

また、版画家の働き方はほかの芸術家とは少し違う働き方をしていることが多いです。一般的なのは、美術教師やイラストレーターなど、美術系の仕事や一般企業での仕事をおこないながら、複業で版画家をおこなう働き方。本業が終わった夜の時間帯や休日などに、版画の仕事に取り組んでいる方が多いのです。

版画家の年収事情とは

版画家は、給与体系が一般の会社とは異なっています。作品数×単価が報酬となるため、作品数が多いほうがもらえる金額は多くなります。

また、通常は1作品数万円~10万円ほど。人気版画家になると1作品20~30万円ほどになることもあります。

美術教師やイラストレーター、一般企業と兼業している方が多いため、本業の収入と版画家で得た報酬の合計が年収となります。そのため、一概にはいえません。

版画家のなり方

版画家になるのに必要な学歴や資格はありません。しかし、金銭や時間的に余裕があるのであれば、美術大学や専門学校で学ぶのがおすすめです。学校で専門的に学ぶことで、版画の知識がついたり、美術系の仕事(美術教師など)に就職しやすくなります。

この章では、進学先としておすすめの大学・専門学校をいくつかご紹介します。

武蔵野美術大学(東京)

造形学部・油絵学科・版画専攻において、版画を学ぶことができます。1、2年次には体験的な学習を通して基礎を学び、3年次からは版画を専門的に学べます。

また、国際交流にも力を入れているのも魅力です。海外から教授を呼び講義を受けたり、国際交流プロジェクトに参加できたりと、国際交流が盛んにおこなわれています。長い歴史と実績がある大学なので、就職面でのサポートも充実しています。

参照:油絵学科 版画専攻

多摩美術大学(東京)

美術学部絵画学科版画専攻にて、版画を学べる大学です。4年間を通して版画に取り組めるため、より専門的な知識を身に付けられます。

1、2年次には基本的な技法の習得、3年次には自分の伸ばしたい分野を専門的に学び、4年次には集大成となる卒業制作があります。また就職の幅も広く、美術教師やイラストレーター、テレビなどの美術スタッフ、一般企業のデザイン部門などで活躍しているOG・OBがたくさんいます。

参照:絵画学科版画専攻

長岡造形大学(新潟)

造形学部・美術・工芸学科において、版画の勉強ができる大学です。この学科では「アートの追究」を重視しており、社会に出た時の適応力を身に付ける講義がおこなわれています。

また、版画のみならず絵画、ガラス、彫刻、鋳金、鍛金、彫金の工房が揃っており、美術を学ぶための施設が充実していることも魅力のひとつです。学芸員、中高の一種教員免許状(美術)などの資格取得も可能で、就職の幅を広げられるのも特徴です。

参照:美術・工芸学科

大阪芸術大学附属大阪芸術専門学校(大阪)

美術・工芸コースで版画について詳しく学べる専門学校です。1年次の後期に専門的に学びたい科目を選択できるため、版画家になりたい方は版画を選択するとよいでしょう。

版画分野を選択すると、銅版画、木版画、シルクスクリーン、リトグラフなどの版画技法とそれらの表現について学べます。短期間で専門的な知識・技術を身につけたい方におすすめの進学先です。

参照:美術・工芸コース(版画)

版画家に向いている人の特徴

本章では、版画家に向いている人の特徴をご紹介します。版画は繊細な作業を必要とする芸術のひとつです。また、一気に完成させるのではなく、ときには1カ月以上の時間をかけて作品を完成させます。長期間の集中力も求められる職業なのです。

手先が器用

版画制作は大変細かい作業を必要とします。ミリ単位まで意識して彫るため、手先の器用さが大切になります。そのため、手先が器用な方は向いているといえるでしょう。

集中力がある

ひとつの版画を完成させるのには多くの時間を要します。また、細かい作業もあるため最後まで気が抜けません。さらに本業のかたわら制作をおこなう場合は、勤務終了後や休みの日に作業するため、疲れているなかでも集中して取り組める粘りが重要となります。

アイディアが豊富

版画家のみならず、アート系の仕事はすべてそうかもしれません。版画制作も同様で、アイデアが豊富に浮かんでくる方は版画家に向いているといえるでしょう。

また、版画をもっと世に浸透させるためのアイデアが浮かぶ方も、版画界にとって貴重な存在となれるでしょう。

努力し続けられる

版画家として成功するには、並々ならぬ努力が必要です。長い時間をかけた作品でも、まったく評価されずお金を得られないことも多くあります。そこで諦めてしまうのではなく改善する努力をし続けられる方は版画家に向いているでしょう。

版画初心者の方の教本

著者
竹中 健司
出版日

「版画を始めたい」「美術系の学校に興味がある」方におすすめの書籍です。そもそも彫刻刀の扱い方や、用具の名前もわからない方は、本書を使って一から版画について学んでみてください。

用具の使い方の説明はもちろん、図案もついているため、版画のアイデアがなかなか浮かばない方にもおすすめです。木版画をマスターすれば、かわいい雑貨づくりも可能になります。楽しく版画デビューしたい方はぜひご覧ください。

木版画の技術を磨くための1冊

著者
牧野 浩紀
出版日

版画は、作者のオリジナリティーを表現する芸術活動のひとつです。そのため、版画家として人気になるには、現代技法やインクの配合法、細かい色分けと高い技術が必要となります。

すでに版画家や美術学生として版画を始めたけれど、もっと高い技術を身に付けていきたいと考える方には、本書を一読することをおすすめします。

牧野浩紀氏著作の『高い表現力が身につく 木版画 上達のコツ 新版(コツがわかる本!)』という本です。本書では、基本的技法から応用の高度な技法までが幅広く解説されています。同じモチーフでも、技法を変えればさまざまな表現ができるのが木版画の魅力です。自分のスタイルを変えながら、よりよい作品制作を目指す方は、ぜひ一度目を通してみてください。

版画家になるならぜひ見ておきたい作品集

著者
博, 吉田
出版日

吉田博氏という日本の版画家・洋画家はご存知ですか。

吉田氏は、明治から昭和にかけて活躍した版画家・洋画家です。自然や詩情を細かく表現している画家で、風景画家の第一人者として親しまれました。また、吉田氏は生涯において海外を旅するのが趣味で、吉田氏にしか表現できない歴史ある海外の様子が描かれた版画も非常に人気です。

本書は、版画について学ぶなら絶対に知っておきたい吉田博氏の作品が詰まった作品集です。版画とは思えないような緻密な線と、淡く幻想的な色遣いは唯一無二。版画による表現幅の広さに感動します。

また、府中市美術館には吉田氏が制作した『水彩・素描が94作品』が展示されています。書籍で観るのと、実際に観るのとでは実感が異なります。興味がわいた方は、ぜひ行ってみてくださいね。

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版画家の仕事内容や年収、なり方について詳しく解説しました。少しでも興味のある方は本を読んで版画家の世界を学んでみませんか。

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