音楽活動を通して、観客に感動を与える「ミュージシャン」。演奏に限らず作曲・編曲に携わる方をミュージシャンと呼ぶこともあり、日本では音楽家と称されることも少なくありません。音楽ジャンルは幅広く、ポップスやロックをはじめ、ヒップホップミュージックを制作・演奏している方もミュージシャンと呼ばれます。知名度があがることで専業として活躍することができますが、多くの方は生計を立てるためにほかの仕事と兼業しています。そのため、年収に関しては一概にいえないのが実情です。本記事では、ミュージシャンの仕事や収入事情、学ぶにあたっておすすめの進学先などを解説。あわせて読みたいおすすめの書籍も紹介しています。
ミュージシャンの仕事は、楽器を演奏したり歌を歌ったりして応援してくれている完成度の高い音楽を届けることです。ライブなどの演奏活動やCDのレコーディング、テレビやラジオ出演などでPRするなど幅広く活動しています。
ミュージシャンの種類もたくさんあり、歌手とともにライブに同行し演奏をする「サポートミュージシャン」や、公演や野外などで音楽を届ける「ストリートミュージシャン」、CD作成に向けたサポートをスタジオでおこなう「スタジオミュージシャン」があります。外国ではスタジオミュージシャンのことをセッションミュージシャンと呼ぶことが多いようです。
ミュージシャンが手掛ける音楽はロックやポップ、ジャズなどさまざまなジャンルがあります。
ミュージシャンとアーティストは、同じ音楽業界の職種だけに、示す範囲を混同されがちなことがあります。
一般的に、アーティストとは、ミュージシャンを含む「芸術家」のことを指します。たとえば、画家や美術家、エンターテイメントに関わるパフォーマーも、広くアーティストに含まれます。そのため、ミュージシャンをアーティストと呼ぶことは、必ずしも間違いではありません。
一方で、ミュージシャンとは、音楽活動において楽曲制作やパフォーマンスにメインで携わる方のことを指します。そのため、クリエイターやプロデューサーなどはミュージシャンという言葉が指す範囲には含まれません。
ミュージシャンという言葉には、一般的にアイドルは含まれません。大きな理由としては、作曲や編曲、演奏に携わっていないことがあげられます。もちろん歌を歌うのはアイドル自身ですが、タレントとしての要素が強いため、ミュージシャンの枠には入らないことが多いです。
ただ、自身で作曲をおこない、楽曲の売上のみで収入を得ているアイドルに関しては、ミュージシャンという認識になることも少なくありません。明確な線引きはありませんが、楽曲ではなく自身の容姿や、所属するチームとして売り出している場合には、タレントとして認識される方が一般的です。
ミュージシャンの年収は不安定です。CDが売れ、知名度があがるほど収入は増えますが、安定した収入を得るのは困難。しかし、ヒット曲が出れば数百万~数千万稼ぐことも夢ではありません。ミュージシャン活動のみで生きていくには、高い音楽技術と試行錯誤する工夫が必要不可欠です。
また、ほとんどのミュージシャンはアルバイトやほかの仕事と掛け持ちしながら活動している方が多いです。ただ、掛け持ちの仕事が忙しくスケジュール管理がしにくい仕事だと、コンサートやライブに出演する機会が減ってしまい、ミュージシャンとしての活躍ができなくなってしまいます。
スケジュールがある程度組み立てやすい仕事を選ぶことがおすすめです。
ミュージシャンになるために絶対に必要な学歴や資格はありませんが、音楽や楽器に対する基礎を学ぶためにも音楽関係の大学や専門学校に通うことをおすすめします。今回は、ミュージシャンを目指すためにおすすめの大学・専門学校をいくつかご紹介します。
国立音楽院には、それぞれの目的に応じた27もの学科が設置されています。また、授業は自由選択制で学費もほかの音楽系専門学校と比べて安いのも魅力です。さらに、高校生や障がいを持った方のためのコースもあり、さまざまな人が音楽を楽しく学べる環境が整っています。
参照:国立音楽院
大阪音楽大学は1915年に創立し、約3万人も音楽で活躍する人を輩出している伝統ある音楽総合大学です。大きなホールや、たくさんの練習室、貴重な音楽教材が収めてある図書館など、施設が大変充実しているのが魅力です。社会に出るうえでより役に立つ知識を学ぶことができます。
参照:大阪音楽大学
東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校は、プロの現場で学ぶことができる「企業プロジェクト」が魅力で就職率が高いのが強みです。また、自分のコースのほかにも授業が受けられる「Wメジャーカリキュラム」や最新設備を24時間使える(曜日指定)ため、自分の可能性を限りなく広げることができます。
本章では、ミュージシャンに向いている人の特徴を解説します。ミュージシャンは、なにかしらの楽器で演奏できることが大前提です。そのため、演奏技術を磨く努力をし続けられる必要があるということは、念頭に置いておきましょう。
ミュージシャンは、短期間で練習もなくなれるものではありません。演奏技術を磨き続ける必要があるのです。
なかには、デビューできず音楽の道を諦めていく方も多くいます。そのため、つらい状況になっても「音楽で人を喜ばせるんだ!」という気持ちを持って努力できる方は、ミュージシャンに向いているといえるでしょう。
ミュージシャンは、音楽を聴いている人々を笑顔にさせる仕事です。音楽を聴いて気持ちが楽になったという方や、頑張る活力となったという方は多くいます。人々を音楽で笑顔にしたいと考えている方にとっては大変やりがいがあり、天職といえるのではないでしょうか。
ミュージシャンは、有名になればなるほど大勢の人の前で演奏する機会があります。そのため、人前で委縮せずに表現できる方は向いているでしょう。
ただ、今は緊張してしまいがちだという方も、現場の数をこなすことによって大勢の前に出ることに慣れていきます。自分が落ち着く方法を知れば、よりよいパフォーマンスができるので、工夫してみるのもいいかもしれませんね。
音楽は大変幅の広い学問です。音楽の種類でいってもポップやジャズ、ロック、クラシックなどほかにもさまざまな種類があります。また、国や民族によってさまざまな曲調の音楽があるのも魅力のひとつですね。
音楽をただ楽しむだけでなく、もっと深い音楽の世界を知りたい、音楽を仕事として生きていきたいという方にはぜひおすすめしたい本がこちらです。
- 著者
- 芥川 也寸志
- 出版日
- 1971-08-31
芥川也寸志氏著作の『音楽の基礎』です。本書では、著者の作曲家としての経験を踏まえ、音楽に存在する基礎的な規則について分かりやすく解説しています。また、静寂と音の関係、調性・和声・対位法についても現代音楽や民族音楽を交えながら詳しく記述しています。
音楽を表面だけでなくもっと深くまで知りたいという方にはおすすめの作品です。
ミュージシャンにとって、練習は必要不可欠なものです。プロであってもアマチュアであっても常によりよい演奏ができるように努力しなくてはなりません。しかし、練習をするにしても練習の方法や練習環境の整備など知っておきたい知識がたくさんあります。
ミュージシャンにとって練習とはどのような意味をもたらすのか、また演奏に不安を感じない方法などミュージシャンを目指す方にとって、非常に参考になる情報が多数載っている本を紹介します。
- 著者
- ["ジェラルド・クリックスタイン", "Gerald Klickstein", "藤村 奈緒美"]
- 出版日
ジェラルド・クリックスタイン氏著作の『成功する音楽家の新習慣〜練習・本番・身体の戦略的ガイド〜』です。本書では、ミュージシャンや音楽教育をする方には欠かせない練習方法や、成功している音楽家の習慣を詳しく解説しています。
音楽にかかわる学生や社会人は1冊持っておいても損はありません。心が折れそうになったり、音楽家としての道に迷いそうになったりしたら、本書を読んで初心に立ち返りましょう。
「ミュージシャンをやりたいけれど金銭的に不安定だから諦めよう」。そう思っている方がいたらぜひこの本を読んでみてください。
- 著者
- 武田 信幸
- 出版日
武田信幸氏著作の『ミュージシャンのためのお金のセミナー』です。今では副業が認められている企業も多くなり、仕事の幅や収入の幅も広がっています。副業というと本業のサブ的な意味合いが強いですが、本書で使われている「複業」は、やりたいことをいくつもやりつつ、さらにしっかりとお金も稼ぐという意味です。
著者は、毎年ワールドツアーをおこなう人気ミュージシャンでありながら、行政書士としても収入を得ています。ミュージシャンを「お金」が理由で諦めてしまったあなたへ、ぜひおすすめしたい本です。
今回はミュージシャンの仕事内容や年収、なり方まで詳しく解説しました。ミュージシャンの働き方はさまざまです。最後に紹介した本を読んであなたに合った働き方をぜひ考えてみてくださいね!