アーティストのコンサートで誰でも一度は目にしたことのあるコンサートスタッフ。検索すると実際に出てくるのは、ほとんどがアルバイトの求人情報です。日雇いバイトとして広く認知されていますが、一括りでコンサートスタッフと言っても職種はさまざま。当日運営から裏方と呼ばれるPAエンジニアまであります。本記事では、本業としてコンサートスタッフになりたい方に向けて、仕事内容や職種を解説します。さらに、就職時に有利になる資格や収入事情も紹介。記事の最後には、コンサートスタッフに関する書籍もピックアップしています。コンサートスタッフについて気になる方は本にも目を通してみてくださいね。
コンサートスタッフとは、コンサートに関わるすべての仕事をする方のことを指します。そこから仕事内容によって職種名が分類され、ざっくりあげるだけでもエンジニア、ローディー、設営や当日運営をおこなうスタッフなどがいます。
一言で説明することは難しいですが、全員がひとつのコンサートを成功させるため、それぞれ尽力しています。
コンサートスタッフの仕事内容を、エンジニア、ローディー、スタッフの3部門に分けてご紹介します。
コンサートスタッフのエンジニアとは、主に当日のステージに関わるステージエンジニアです。
照明エンジニア、映像エンジニアについては、コンサートに参加したことがある方なら何となく想像がつく職業かもしれません。舞台上での照明を扱うのが照明エンジニアで、映像を担当しているのが映像エンジニアです。
そしてPAエンジニアとは、音響装置に携わるエンジニアのことをいいます。このエンジニア職はコンサートスタッフという職のなかでも唯一、正社員として働ける職業として知られています。
ローディーとは、楽器や機材を運搬したりセッティングをしたりする方のことです。
コンサート当日に楽器のチューニングをして音を調整したり、楽器をセットしたり、舞台袖に待機して何かあった時にすぐに対応するのもローディーの仕事です。
また、コンサート前後には楽器をメンテナンスしたり管理したりという楽器全般の仕事をまかされます。
ローディーもPAエンジニアと同じく、正社員で採用されることの多い職業です。
コンサート当日に観客に関わる仕事をすべてスタッフと呼びます。
スタッフには設営、受付、警備、グッズ販売、案内、ケータリングなどさまざまな仕事があります。
スタッフにあたる職業は正社員で働くことが難しく、多くの場合は日雇いのアルバイトが稼働しているのが現状です。
コンサートスタッフが活躍する現場は、コンサート会場です。しかし、スタッフ以外の専門職種であれば、コンサート会場以外での仕事も可能です。
PAエンジニアや照明エンジニア、ローディーについては、コンサートの企画段階から携わることもあるため、就職先である会社で打ち合わせなどの内勤もします。
またローディーの場合、コンサートがない日には一般の方に楽器を貸したりスタジオを貸したりすることもあるため、その楽器やスタジオの管理をすることもあります。
イベントやライブハウスで業務をするなど、コンサート規模ではないものの、さまざまな現場で活躍しています。
先述したように、当日運営スタッフ以外の専門職種であれば正社員になることもできます。
ですが、スタッフのお仕事の場合は人材派遣会社から単発で雇うので、正社員登用はほとんどないのが現状です。
コンサートスタッフは、ステージエンジニアの専門職種であれど、年収水準がそこまで高くない現状があります。
音響や映像、照明技師でも年収は300万〜400万円台が一般的。新人時代の月給は18万円〜20万円と決して高くなく、経験を積んだとしても大きな上がり幅を見込めないのが実情のようです。
正社員であれば月に支給される給料が安定しているのと、福利厚生も利用できるという強みはあります。しかし業界全体として福利厚生が整っている会社は少なく、高待遇を望むことは難しいことを留意しておきましょう。
結論から言うと、コンサートスタッフになるために必須の資格はありません。ですがこれは、当日の運営スタッフの場合です。
専門職種での就職を考えている場合は、以下のような資格を取得し、そのうえで経験を積むことで就職活動で有利になるかもしれません。
特に重要なのは「普通自動車免許」です。コンサートスタッフは仕事の特性上、日本全国また場合によっては国外などさまざまな場所で業務をおこないます。コンサートに必要な機材のレンタル・持ち込みなど運ぶ必要のある荷物は多いです。
新人として入りたての場合、現場で重要な業務をまかせてもらえる機会は多くありません。まずは機材の調達や運搬などをおこなうことも少なくないので、普通自動車免許は必須です。
- 著者
- 恭平, 宮入
- 出版日
日本の音楽産業、ひいてはライブカルチャーが持つ意味がどのように変化してきたのかを読み解く1冊です。
今や音楽を楽しむために、コンサートを開催し、生の音を楽しむ時間・空間は欠かせないものとなっています。スマートフォンの普及率がほぼ100%に達している現代で、Youtubeや音楽配信サービスは私たちの生活に根付いていますが、それだけでは純粋に音楽を楽しむことは難しくなっている。
ライブカルチャーを読み解きながら、現代社会の諸問題についても考えるきっかけとなるでしょう。
- 著者
- テリー植田
- 出版日
イベントを企画したい方にとって参考になる内容が詰まった教科書的1冊です。
イベントを企画するにあたり、主催者が重要視するべきなのは当日までの準備です。しかし、準備が9割、集客は1割であるにも関わらず、人を集められなければ実施する意味がないというパラドクスが発生します。イベントによって集客方法は異なるので、準備と集客は別の軸で考え、イベント企画者は準備に集中できる環境を作るべきなのかもしれません。
非常に初歩的な内容です。すでにイベントを企画したことがある方にとっては、少し物足りない内容ですので、おさらいをするような気持ちで読むとよいでしょう。
- 著者
- ["公一, 半澤", "信義, 栗原"]
- 出版日
同業界で活躍したいと考えるなら、コンサートの裏方であるライブエンジニアを目指すのはおすすめです。専門職種であるため正社員としての就職も望めますし、経験や知識を積みながら技術を磨くことで、コンサートに欠かせない存在として地位を築くこともできます。
本書は、PAエンジニアを目指す方の教科書です。そもそもどんな仕事なのかを解説したり、実際の現場も説明してくれたりと知識や技術の面だけでなく、PAエンジニアとして働くとはどんなことなのかを立体的にイメージできるようになります。
まずは業界のイメージを知りたい方にもおすすめです。
一括りにコンサートスタッフと言っても、職種も仕事内容もさまざまです。一般的にイメージされる当日運営に関わるスタッフは日雇い、契約社員であることが多く、正社員として就職を考える場合には、裏方のエンジニアなど専門職種の知識と技術を身につける必要があります。
まずはコンサートスタッフとしてどのように関わりたいのかを明確にしましょう。そのうえで職業としてどんな知識・技術が必要なのかを知り、一歩ずつ行動を起こしていきます。音楽好きの方であればコンサートスタッフは夢のような仕事です。アーティストを裏でサポートし、全員で協力して素敵な空間と時間を作る。とてもやりがいのある仕事でしょう。