5分でわかるルポライター!働き方や年収事情を紹介!必須スキルについても解説

更新:2021.12.9

ルポライターとは、「ルポルタージュ」と呼ばれる記事や本を書く仕事をしている方をさします。今はジャーナリストのイメージが強い池上彰さんも、以前はルポライターとして活動していました。ルポルタージュは、事件や社会問題における事実を基盤にしており、主観を含む記事を執筆する記者の記事や、批評を含むジャーナリストの記事とは、異なった文章を書くことを目的としています。本記事では、ルポライターの仕事内容・収入事情などを解説していきます。記事の最後には、興味深いテーマについて書いているルポライターの書籍も紹介しています。記事内でご紹介していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。

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ルポライターとは

ルポライターという職業を知るためには、まず「ルポルタージュ」の意味を理解する必要があります。

ルポライターは、フランス語の「reportage(ルポルタージュ)」からきており、探訪という意味があります。紙面・映像とわず現地の様子をそのまま報告するのが仕事で、基本的にはその文量・映像は長編です。

何よりも、事実を記録すること・そのまま報告することが重要です。

このようにルポライターは、事件や社会問題を取り扱う「ルポルタージュの書き手」をさします。出版社や新聞社から依頼をされたり、自らが興味をもった人物や現場を取材して、記事を書くのが仕事です。取材や資料集めは、基本的に自分の足でおこないます。

記者・ジャーナリストとの違い

新聞記者やジャーナリストとの違いについて、簡単に説明しましょう。

  • 記者:主に、客観的な事実のみを伝える。
  • ジャーナリスト:自身の見解を織り込みつつ、わかりやすい解説や「批評」を加えることを特徴とした記事を書く。
  • ルポライター:客観性を重視した記事を書く。

ルポライターは記者のなかの分類のひとつです。

日本で有名なルポライター

ご存知の方も多いであろう池上彰さんは、元NHKの記者であり、ルポルタージュの執筆もおこなっていた経歴があります。

現在は、主にテレビで分かりやすい解説番組などを中心に「ジャーナリスト」の肩書きで活動をされています。池上さんのように、元ルポライターからジャーナリストに転身する方もいます。

参照:ルポルタージュ研究所

ルポライターの仕事内容・働き方

ルポライターが日常的におこなっている仕事内容をみていきましょう。

ルポライターの仕事内容

  • 取材インタビュー
  • 資料集め
  • テープ起こし
  • 執筆

基本的には、現地に足を運んで取材をおこない、それを記事として執筆するのが仕事です。ひとつの記事を完成させるのに、時間も足も使い、事実のみを伝えるようにしなければなりません。取材力・文章力はもちろん、文章構成力や文章を読んだ方に訴えかけるような内容にするスキルも求められます。

ルポライターの働き方

ルポライターは、出版社や編集プロダクションに就職している社員ライター、もしくはフリーランスのどちらかが多い傾向にあります。

働き方と収入について

働き方の違いによっては、収入に大きな差があります。1年中ルポルタージュを書いている売れっ子ルポライターもいれば、ほとんど趣味のようなレベルで書いている方もいるためです。

ルポライターの収入だけで生活することが難しい方は、アルバイトをしたり、別の職業と掛け持ちしたりして生計を立てている方もいます。

一体どれくらいまで稼げる職業なの?

ルポライターの仕事は、現場取材や人物インタビューがあってこそのもの。それだけでも、かなりの時間と労力がかかる仕事です。よほど記事の単価や報酬が高くない限りは、年収1000万円ほどが上限ともいわれています。

ルポライターとしての視点やセンスが認められ、テレビ出演・ラジオ出演・本を出版してベストセラーになるなど活動の幅が広がれば、年収1000万円のラインを超えることも可能です。

ルポライターになるには

ルポライターになるためには、特別な資格は必要ありません。大きな出版社や編集プロダクションに就職したい場合は別ですが、基本的に学歴も関係ありません。しかし、最終的に取材データを文章に起こす必要があるため、基本的な文章力や構成力は必要です。

ルポライターを目指す学生が学ぶべきこと

大学や専門学校への進学を検討している方は、メディア関係や社会学などを専攻するのもおすすめです。

  • 立教大学:史学科、メディア社会学科
  • 日本大学:新聞学科、文芸学科
  • 京都芸術大学:文芸表現学科

上記の大学以外にも、日本大学法学部新聞学科や上智大学新聞学科などもあります。なかには新聞サークルのある大学もあります。学校の授業と合わせてより積極的に活動したい方は、サークルへの加入も検討してみるとよいでしょう。

  • 名古屋スクール・オブ・ビジネス:マスコミ広報学科
  • 東京ビジュアルアーツ:マスコミ出版・芸能学科

上記は専門学校です。大学は授業内容の一部としてジャーナリズム・マスコミを学べますが、専門学校ではより幅広い内容を専門的に学べます。短期間で実力をつけ、早い段階でルポライターとして活躍したい方は、専門学校への進学も検討してみてください。

自分の興味のあることを突き詰めたり、いろいろな場所を訪れて、たくさんの方に会って刺激を受けることも大切です。ルポライターを目指す学生であれば、人がなかなかできないような体験なども時間の許す限り経験しておきたいところです。

ルポライターに向いている人の特徴

本章では、ルポライターに向いている人の特徴をご紹介します。基本的な文章力にくわえ、体力や正義感、最後まで事実を追い求めて粘れる精神なども欠かせない要素のひとつです。

体力的・精神的に強い

実際に自分の足で取材に行き、記事の素材集めをすることが多くなります。一生懸命に取材を重ねて記事を書いても、企画自体がボツになることもあるでしょう。

さらに、取材相手が必ずしもいい人ばかりとは限りません。時には嫌な思いをすることもあるかもしれません。また、原稿の締め切りに間に合うよう、徹夜になることもあります。体力はもちろん、精神的な強さや粘り強さがないと務まらない職業といえるでしょう。

正義感がある

ルポライターは、社会問題や事件に強い興味関心を持ち、それを元に記事作りを進めます。

ひとつの事件に関して「テレビで流れている情報は実は間違いなのでは」「本当は隠れた真実がありそうだ」といった洞察力、正しい情報を世に発信したいという正義感を持っている方にルポライターは向いています。

表現力とセンス

どんなに体力と精神力があっても、取材のセンス(質問の内容など)や記事にした時の表現が乏しいと、読む人の心を掴むことができません。自分よがりの文章になりすぎないように、オリジナリティのエッセンスを文章に組む込む、バランス感覚やセンスも必要です。

「愛」を追求する異色ルポライターの著書

著者
コエヌマカズユキ
出版日

本書では、普通に生活をしていたら、絶対に出会えないであろう人々の愛の物語がつづられています。文壇バーも経営する異色のルポライターである著者自身が、自分の脚で取材を重ね、1冊の本にまとめたノンフィクション作品です。

「ネット上での本気の愛」「女性ではなく人形を愛する男性」など、一見ギョッとする目次にびっくりするかもしれません。しかし、読み終わったあとは、人間の不思議な温かさに触れることができます。ルポライターが書く文章として参考にもなる1冊です。

書いた文章が人に伝わらないと感じる方向けの1冊

著者
阿部 紘久
出版日

文章を書くことは好き。でも、いまいち人に伝わってない気がすると悩んでいる方にはうってつけの1冊です。ムダを削って・短く・スッキリ書くための実践的な「77のテクニック」が載っています。

これからルポライターを目指す方や、すでに定期的に文章を書いている方にも役立つ知識が掲載されています。また、日常的にメールで文章を書くことの多い社会人にもおすすめの1冊です。

ルポルタージュを読んだことがない方にもおすすめの本

著者
["川 恵実", "NHK ETV特集取材班", "田中佳奈"]
出版日

本書は、女性の「性の接待」について触れたおり、一見内容が重く感じられるかもしれません。

ルポライターを目指すのであれば、どんな事実からも目を背けない姿勢が必要なため、これら重く感じる話にも触れておくことは糧になるでしょう。写真が豊富に載っているので、ルポルタージュの現実的な雰囲気が、より伝わる1冊なのではないでしょうか。

自分の市場価値をアプリで診断

自分で事件現場や当事者に話を聞きにいくというのは、思っているよりも行動力と好奇心がなければ実行することは難しいでしょう。また、取材で真実や面白い話を聞き出せるような「人柄」も重要です。さらに他人が読んで「面白い!」と感じてもらえる文章にするセンスも必要と、必要な技術が多いことが分かります。

小説家とは違って、分かりやすい文章を書くことができれば、スタート地点には立つことができます。必要な資格もないため、明日からでもルポライターを名乗ることは可能です。

将来的に、ルポライターで生計を立てていこうと考えている方は、かなりの覚悟が必要かもしれません。ひとつの職業に囚われず、ほかの仕事と兼業している方は多くいます。ルポライターを目指す方は、自分にあった働き方や副業を見つけるのもいいかもしれませんね。

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