私たちに楽しみや喜びを与えてくれるエンターテイメント。人によっては、それがテレビ・ラジオであったり、ゲームや漫画、音楽かもしれません。それら一つひとつのジャンルをまとめた大きな産業を「エンターテイメント業界」と呼びます。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、エンターテイメント業界のなかでも、体験型のエンタメが大きな打撃を受けていることはご存知の通りです。本記事では、再び業界が盛り返すための鍵となるポイント、今後求められるエンターテイメント像にフォーカスします。また業界の平均年収や、今後の動向について詳しく解説しています。記事の最後には書籍も紹介しているので、ぜひ手にとってみてくださいね。
エンターテイメント業界とは、映画・音楽・ゲームなど、人を楽しませる娯楽やサービスを扱う業界を指します。そのほかジャンルの幅が広いため、まずはエンターテイメントの定義について解説しましょう。
先述したように、エンターテイメントとは、人々を楽しませる娯楽やサービスのことを指します。エンターテイメント(entertainment)の語源はラテン語で、2つの言葉が組み合わされてできたものだと考えられています。
ビジネスにおいてはエンターテイメントには幅広い解釈があり、対象となるサービスも多岐に渡ります。しかし共通していえるのは、エンターテイメントは人の心を魅了するものだということです。
上記のように、エンターテイメントに分類される娯楽のジャンルは、幅広くなっています。ざっくり分けると、映画・音楽・ゲーム・テレビ・放送・出版・レジャー施設・舞台・劇場などが代表的でしょう。
これらさまざまなサービスを通して人々を楽しませるのが、エンターテイメント業界です。
「遊び」の要素を多く含むため、衣食住とは異なり本来であれば、なくても生きていけるのがエンターテイメントです。
近年では『eスポーツ(エレクトロニック・スポーツの略)』の登場もあり、ゲームに限っては娯楽とは異なる性質を持ち始めています。eゲームの大会で優勝することにより、多額の賞金を得て生活を成り立たせている方々がいるほどです。これはもう娯楽の域を飛び出しているといっても過言ではありません。
他にも、オンラインゲームやライブ機能のある配信サイトは、人々の「コミュニケーションの場」として立場を確立しています。友達だけでなく、家族間でもゲームの存在によってコミュニケーションが成り立っているケースもあります。
いまや、エンターテイメントにも最新技術を惜しみなく使う時代であり、その研究や試行錯誤は日々おこなわれています。
2018年6月に開業した、東京・お台場にある「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボ ボーダレス」をご存知でしょうか。わずかオープン5カ月で、入場者数100万人を突破する人気ぶりを記録しているエンターテイメント施設が『チームラボ』です。
チームラボは、グラフィックデザイナー・CGアニメーター・編集者など、さまざまな分野の専門家から構成されているウルトラテクノロジスト集団。光・音・映像などを駆使した空間を、来場者が探検していく形式でエンターテイメントを体感できます。
アートと技術が融合した「体感型ミュージアム」として、この数年でますます注目を浴びています。
参照:チームラボHP
昨今の日本エンターテイメント業界は、アニメ・漫画・映画が海外でも高評価を受け、注目されています。
たとえば、株式会社タカラトミーの人気キャラクター『ポケモン』は、世界市場で企画・販売する権利を取得しています。ネットの普及拡大の勢いも手伝って、いまや日本のエンターテイメント業界は、国内に向けてだけでなく、海外への進出もめざましい業界といえるでしょう。
まず、「サブカルチャー」「ハイカルチャー」という言葉について説明していきましょう。
こうして見比べてみると、より私たちの生活に身近で手に入りやすい娯楽が、サブカルチャーに分類されているのがわかりますね。
総務省が公開する「令和2年版 情報通信白書」によると、日本国内では、世帯におけるスマートフォン普及率は8割を超えています。そうした背景もあり、スマートフォンゲームの市場は右肩上がりの成長を見せています。
ゲームやアニメ・映画・漫画は、友達や家族間を繋ぐひとつのコミュニケーションツールとしての役割も担うようになりました。親子3世代で楽しめるサブカルチャー作品として『鬼滅の刃』などはよい例です。
また本来エンターテイメント業界が扱う、娯楽のひとつであったゲームの存在によって生活を成り立たせる方(eスポーツ)がいるほどです。一部の人々の生活の軸になるくらい、日本ではサブカルチャーが大きな立場を確立しているという現状があります。
参照:令和2年版 情報通信白書
エンターテイメント業界全体の平均年収は、640万円程度です。
ただし、運営ジャンルや各企業によって平均年収には大きな差があるため、一概にはいえません。ジャンルごとの平均年収TOP3の企業を、以下に載せています。ぜひ今後の参考にしてみてください。
本項では、エンターテイメント業界の各ジャンル別に記載しています。さらに、平均年収で企業をランキング化しているので、就職・転職時の参考にしてみてくださいね。
ジャンル別に見てみると、テレビ離れが騒がれているテレビ・放送が最も年収がよいのが分かります。衰退していると言われてはいるものの、テレビはまだまだ大きい影響力を持つメディアです。テレビCMなど広告の効果も得られやすいため、スポンサーがつきやすい現状があります。そのため年収水準は比較的高めです。
人々をあっと驚かせるようなアイデアを出せる方は、エンタメ業界で活躍できるでしょう。また既存の商品をアレンジしたり、まったく異なる使い方を提案するなど工夫ができる方も、エンターテイメント業界で活躍できる可能性があります。
エンターテイメント業界の最大の目的ともいえるのが「人々を喜ばせること」です。普段から、サプライズ演出を計画するのが好きであったり、最新のエンタメ技術に興味・関心がある方は、エンターテイメント業界で働くにふさわしい素質を持っているでしょう。
「喜び」や「楽しさ」を売る業界であっても、もちろん収益がなければ成り立ちません。自分が作り出す(関わる)エンターテイメントという商品で、しっかり売り上げを出すにはどうしたらいいのか常に考えられる方が、業界では必要とされています。
コロナの影響もあり、エンターテイメント業界全体が打撃を受けています。しかし、人々にとって「娯楽」がまったくない世界は、歴史上を遡ってもありえない話です。そのため「業界自体が消滅するようなことはない」と考えられています。今後の巻き返しに期待ができる業界とも捉えられるでしょう。
ただし、注意したい点もいくつかあります。テレビ業界・映画業界は衰退していく可能性が高いといわれています。これは『YouTube』など、一般人が面白いコンテンツを気軽に作れる時代に入ったためです。
逆に、ゲーム業界・体験型ビジネス業界・レジャー業界などは伸びていくと予想されています。これからは、「体験型」「テクノロジー」といわれるエンターテイメントのジャンルに注目が高まっていくのではといわれているようです。
今後の課題は、いかに新しく斬新なアイデアを出すことができるか。ライブやイベントなどの「体験価値」を高めていくことができるか。こういった点が、この先のエンターテイメント業界で大きな課題となっていくでしょう。
- 著者
- 馬場 康夫
- 出版日
ニュースサイト・しらべぇがおこなった「ディズニーランドに行ったことがない人」調査によると、全国20〜60代の男女1664名のうち、全体の約2割がディズニーランドに行ったことがないそう。いまや、ほとんどの方が東京ディズニーランドに足を運んでいることが分かります。
しかし、東京ディズニーランドができるまで、今のパークで体験できるエンターテイメントのほとんどを知らない状況が当たり前でした。新しいエンターテイメント施設を日本に作ろうと奮闘した人たちの歴史が、あの場所には確かに存在します。
東京ディズニーランドに興味がない方であっても、新しいエンターテイメントを人々に認知してもらう大変さを知ることは勉強になるはずです。これからエンターテイメント業界で働くことを考えている、すでに働いている方は、新しいエンタメサービスを始めるヒントを得られるかもしれません。
参照:ディズニーランド未経験者の割合は… 首都圏以上に人気度が高いエリアも判明
- 著者
- 渡邊 喜一郎
- 出版日
楽しいや感動だけでは成り立たない、エンタメの世界。エンターテイメントの代表ともいえるディズニーランドもそれは同じです。
本書は、エンターテイメント業界での集客方法や、リピーターを増やすコツを知りたい方には、おすすめの1冊。約30年前の認知度は約2割だったディズニーランドのマーケターが、認知度を得るためにしたことが1冊に分かりやすくまとめられています。
最初に出されたミッションは、「年間1000万人を集客する」というもの。約2年間の準備期間でどんなマーケティングをおこなったのか、その緻密なマーケティング手法について語られています。ビジネスの要素の強い本書ですが、実際におこなったことをもとに解説されているので、マーケティング初心者にもおすすめできる1冊です。
- 著者
- 嶋 浩一郎
- 出版日
本書の著者は、博報堂ケトルというクリエイティブ・エージェンシーで、広告やキャンペーンを考える職に就いている嶋浩一郎さんです。本屋大賞、下北沢の書店「B&B」の開業、世界最大の広告賞のPR部門で審査員もつとめる一流の広告マンとして知られています。
本書は、嶋さんが考える新しいアイデアの生み出し方をわかりやすくまとめた1冊。アイデアマンと呼ばれる方々のアイデアの生み出し方はエンターテイメント業界で働く方にとって、非常に参考になります。
1時間あれば読み終えられるほどの薄さの書籍です。まとまった読書の時間が取れない方も、さっと読み終えられます。すぐに実践できる事柄も含まれているため、読んで終わりではなく、次の行動に活かせる内容です。
どんな時代も、人々の暮らしは「娯楽」とともにありました。この先もそれは変わらないでしょう。しかし企業として利益を得て存続していくには、人々が求めているものをリサーチし、期待を超える商品や体験を作り続ける必要があります。
人を喜ばせることが好きな方は、もちろんエンターテイメント業界に向いているでしょう。またテーマパークに行ったときなど「もっとこうしたらいいのに」といった、課題点やアイデアが浮かぶ方は、活躍できる可能性があります。
一般的な考え方よりも、通常では考えられないような突拍子もないアイデアが重宝される業界です。多くの方を楽しませるため、自分のアイデア能力を活かしたいと考える方は、エンターテイメント業界への就職を検討してみてはいかがでしょうか。幅広いジャンルがあるため、自分が生み出すものを生かせる企業ときっと巡り合えるはずです。