ライフセーバーは、海やプールの安全・安心を守る仕事です。時には人命救助に関わることもあるため、応急処置や医療の知識も知っておく必要があります。また、事故が起こってしまった場合の対応よりも、事故を防ぐための活動の方が重要なことも、この仕事の大切なポイントでしょう。ライフセーバーの仕事は、夏の短期アルバイトなどの募集がかかっていることも多く、知識と技術を身につけることができれば、ライフセーバーとして働ける可能性は高くなります。今回はそんなライフセーバーの収入やキャリアプラン、ライフセーバーになる方法などを解説します。記事の最後に紹介している参考書籍と合わせてチェックしてみてくださいね。
ライフセーバーは、主にプールや海・川・湖といった場所で、人々が安全に遊泳が楽しめるよう、監視・指導をおこなう仕事です。
この仕事で重要なのは、溺れた人を助けたり、水中で起こってしまった事故に対応することだけではありません。あくまでも、それらの事故を「事前に防止すること」が一番重要な任務です。
ライフセーバーとして収入を得るには、以下の2つの方法があります。
ここでのスポーツは「ライフセービングスポーツ」とも呼ばれ、プール競技とオーシャン競技にジャンルが分かれています。ライフセーバーにおける訓練・技術を、スポーツに昇華させたものがこれらの競技にあたります。
競技はプールでおこなわれます。1分30秒の間にプール内にいる溺者・患者の救助や応急手当てをおこない、その正確さ・早さを審判の採点により競う4人チーム競技などがあります。競技中は、主にマネキンを要救助者に見立てて競い合います。
その名の通り、オーシャン競技は海(浜辺)でおこなわれます。たとえば「ビーチフラッグス」などが代表的でしょう。全員がうつぶせで一列に並んだ状態から、20メートル先に置かれた旗に向かって全速力で走っていき、最初に旗を取った人の勝ち、というテレビでもよくみるあの競技です。
さらに「BLSアセスメント」という、人工呼吸と心臓マッサージとAEDの正確さを競う競技もおこないます。また、「ラン・スイム・ラン」と呼ばれる、海岸を120メートル走り、120メートル沖にある9つのブイを泳いで回り、また海岸を120メートル走る競技もあります。
このほかにも数種類の競技が用意されており、それらは世界連盟が認める競技種目となっています。
参照元:日本ライフセービング協会
ライフセーバーが日常でおこなう仕事内容をご紹介します。
事故が起こらなよう、人々の安全を守ります。またそのために必要な体力作りや、水難事故に関する知識や応急処置のノウハウも求められます。
ライフセーバーの仕事は、水の中で起こった事故だけでなく、浜辺で熱中症になってしまった方の救護をするような場面もあります。
そのため、救助の知識だけでなく、海の生き物(クラゲなど)の情報・応急処置の知識と技術なども求められます。また海外を拠点に、ライフセーバーをしている方もいます。その場合、自分の働きたい国の言葉も勉強しておく必要があるでしょう。
必ずしも持っていなくてはいけない資格はなく、名乗るだけなら誰でもライフセーバーになることが可能です。しかし、きちんと信頼と収入を得るには、以下のような資格を持っておくのがベターでしょう。
参照元:日本ライフセービング協会/日本赤十字社
ライフセーバーの平均年収は、200〜260万円ほどです。この数字からもわかるように、残念ながらライフセーバーとしての仕事のみで高収入を狙うのは難しいのが現状です。
ライフセービング競技で優秀な選手ともなれば話は別ですが、それもスポンサーがついたり、講演会をおこなうほどの有名選手にならなければ生活は難しくなります。
大学生でライフセーバーのアルバイトをおこなっている人が結構多いのをご存知ででしょうか。特に、体育大学に通う生徒などから人気のアルバイトです。もちろん、すでに社会人の方でも応募できる求人もあるため「一度経験してみたい」という人は、アルバイトから職場の雰囲気を掴むのもよいでしょう。
夏場に、短期アルバイトとして募集していることが多いので、気になっている方はチェックしてみてください。時給の相場は、場所や企業によって異なりますが、低いところで850円~950円ほど。高いところで1000円~1500円くらいが相場といわれています。
溺れた人を助けるには、かなりの力と技術が必要です。さらに、長い距離を泳ぐことができる「持久力」があることが望ましいでしょう。
海での事故、突然の病気などは、一瞬の判断の間違いが命取りになることも。正確な情報をインプットし、その場その場で最適な救助方法や応急処置をおこなえる方が求められます。
時には人の命を助けることにもなる仕事です。また事故を未然に防ぐというミッションをまっとうするためにも、仕事中は監視の気が抜けません。「海が好き」「海の近くで働きたい」という気持ちだけでは、活躍は難しくなります。
ここでは、大学進学を考えている人向けの情報をお伝えします。
なんと、茨城県つくば市にある『筑波大学』には、ライフセービング部が存在します。海やプールを守る仕事のほかに、ライフセービング競技やボランティア活動に力を入れており、興味がある方にはおすすめの大学です。
以下は、筑波大学HPより引用抜粋したものです。
1992年に設立されたわたしたちのクラブは、内閣府特定非営利活動法人「日本ライフセービング協会」に所属し、国立大学で最初に誕生したライフセービングクラブです。わたしたちの活動理念は、ライフセービング活動を多くの方々に理 解していただけるよう努め、単なる大学の課外活動という範囲に留まらず、水辺の活動を中心に地域社会に貢献していくことです。その成果として、わたしたち のクラブが母体となり、1993年に茨城県鉾田町大竹海岸を活動拠点とする大竹サーフライフセービングクラブを設立しました。そこでは地元の方々をはじめ 多くの方々とともに活動を行っております。現在、17年連続死亡事故ゼロを達成し、今年も18年連続無事故を目指して、日々トレーニングを続けています。
引用元:筑波大学「ライフセービング部」
筑波大学では監視活動をメインに、学生たちが主体となって、国際交流・子供向けの教育・環境保全などに積極的に働きかけています。ライフセーバーの活動(仕事)を通して、社会貢献できる幅が広がるというのを体現しています。興味のある方は、筑波大学HPをぜひチェックしてみてください。
- 著者
- 鈴木 順一 香山 侑美
- 出版日
ライフセーバーに興味がある方で、海が嫌いな方はいないはず。実は、世界一綺麗な海を有するのは『パラオ』といわれているのをご存知でしょうか。リゾート地としても魅力的なパラオの情報をまとめた1冊がこちらです。ほかのガイドブックとは違う、ディープな現地情報なども知ることができます。
目が疲れた時に眺めたい、美しい写真も数多く掲載されています。
- 著者
- ["横田 裕行", "「きょうの健康」番組制作班", "主婦と生活社ライフ・プラス編集部"]
- 出版日
まさに「この1冊があれば安心」といえる、あらゆる応急処置を網羅した1冊です。
突然の怪我や病気には、事前に以下に情報をインプットしておくかが重要です。助けたい気持ちがあっても、知識がなければ対象者の命を助けることはできません。不意に起こったトラブルに対応できるように、普段から眺めて読み込んでおくと役に立つ確率があがるでしょう。
- 著者
- レオ・レオニ
- 出版日
- 1969-04-01
勉強や仕事などに疲れたら読んでほしい1冊です。
世界中で翻訳され、日本でもロングセラーを記録しているレオ=レオニの代表作です。世代によっては学校の教科書で読んだ方もいるのではないでしょうか。海中の雰囲気を味わいながら、ゆるく読むことができる癒しの1冊です。
ライフセーバーは、海が好きな方、海に関わる仕事がしたい方から人気の職業です。しかし、しっかりと基礎の知識をつけなければ活躍するのは難しくなります。医療の知識も頭に入れておく必要があり、救助のコツやポイントを知らなければ、自分の命を危険に晒してしまうことも考えられます。
本気でライフセーバーとして生活していきたい方は、資格取得はもちろん、副業となる仕事を探しておくと将来的にも安心です。体力や運動神経に自信がある方は、ぜひライフセービング競技の選手として活躍する道も検討してみてくださいね。