普段は聞き慣れない「ハイヤー運転手」という職業。ハイヤー運転手は主にVIPを目的地まで安全に送り届けることが仕事です。そのため、職業名は聞いたことがあっても、その仕事内容やなり方については知らない方が多いのではないでしょうか。タクシー運転手に比べ、比較的年収水準高く、収入が安定しているのも特徴のひとつ。本記事では、ハイヤー運転手の仕事内容かタクシー運転手との違い、年収事情や必要な資格などについて解説します。記事の最後には、ハイヤー運転手を目指す方におすすめの本を3冊紹介しています。ハイヤー運転手の仕事に興味がある方は、書籍もあわせてご覧ください。
ハイヤー運転手とは、タクシー業界の職種のひとつです。ハイヤー運転手とは、主に高級車を運転し、VIPを送迎する仕事です。
華々しい職業というイメージがありますが、VIPを安全に目的地まで送り届けなきゃいけないうえに、地理にも強くならなければいけません。想像よりも大変な職業です。
目的地までお客様を車に乗せるという点では共通しています。では、タクシーとのちがいは何なのでしょうか。仕事内容なども踏まえて説明していきます。
一番大きな違いとしては、事前に誰をどこまで乗せていくのかが決まっていることです。タクシー運転手の場合、電話等で迎えに来てもらうことはあっても、基本は流し営業で駅の近くなどに待機していることが多いです。
対してハイヤー運転手は予約を事前に受けてから行くものであり、また、利用客もVIPなど客層が限られてきます。
タクシーの場合、クラウンやプリウスが使用されることがほとんどです。
しかし、ハイヤーで使用される車はセンチュリーやレクサスといった高級車が使われます。ハイヤーを利用する客は、役員や海外からのお客様などが多いため高級車でお迎えするようです。
タクシーの場合、終電を逃した、天候が悪くなった、地図がわからないなどの利用目的がほとんどです。一方ハイヤーの場合は、役員の移動、お客様の送迎、格式高い場所への訪問など、大事なビジネスシーンへの来訪が目的です。
ハイヤー、タクシーともに乗車時間や乗車距離が料金となることに変わりはありません。しかし、タクシーとハイヤーの大きな違いは、ハイヤーはその料金に加えて営業所出庫から営業所帰庫までが利用料金となります。
ハイヤー運転手の平均年収は、約500万円と高いです。未経験からでも最低保証がついている関係で、安定して稼げるのが特徴です。
ハイヤー会社4大大手と呼ばれる国際自動車、大和自動車交通、帝都自動車交通、日本交通では、賞与がもらえます。就職を考えているなら、そのどれかに入社するのがおすすめです。また、大手会社だと新人研修や福利厚生などが整っているので新卒で働く場合にも安心です。
ハイヤー運転手は、1日のスケジュールがほぼ決まっています。これもタクシー運転手と異なるところです。
また、お客様の利用目的もビジネスなどに限られているため、夜勤がないのも特徴です。基本的に土日は休みで、日勤帯が主な仕事時間です。
ハイヤー運転手になるには、「普通自動車免許」と「第二種免許」の取得が必須です。
第二種免許は営利目的で客を運送する際に必要の免許で、タクシー運転手も持っておく必要があります。第二種免許は、普通免許獲得から3年以上の経過に加え試験への合格することにより取得可能です。
また、将来的に管理する部門にまわりたいという方にぜひ取っておいてほしいのが、「運行管理者資格」です。この資格を持っている方は、営業所に一定数いないといけない決まりになっているため、取得することでその後のキャリアアップにもつながります。
ハイヤー運転手は、新卒ですぐになることは珍しく、まずはタクシー運転手として経験を積んだあとにハイヤー運転手として活躍する例が多いようです。
ハイヤー運転手は、誰もがなれるわけではありません。資格を有することは可能ですが、継続していくには向き不向きがあります。本章では、ハイヤー運転手に向いている方の特徴を解説します。
ハイヤー運転手などの運送業などをおこなう場合、運転に対して苦手意識を持っておらず、基本的な技能が重要です。また、お客様の命を預かっている以上、安全で快適な運転を心掛けなくてはなりません。
ハイヤーに乗るお客様は、企業の役員や海外からのVIPなど社会的に地位のある方が多いです。そのため、きちんとした礼儀をするのはもちろん、おもてなしの心を持って接することで信頼を築くことが大切です。
普段、生活をしていて企業の重役や海外からのお客様を迎えることってほとんどないですよね。しかし、それが日常的に起こるのがハイヤー運転手です。
国際自動車で活躍するハイヤー運転手のなかには、伊勢志摩サミットでVIPを送迎した方もいます。国際的なイベントを支えられるというのも、ハイヤー運転手のやりがいであり魅力ですね。
タクシー業界は比較的高齢の方が活躍しているイメージがある方は多いのではないでしょうか。実際、特に地方のタクシー運転手だと高齢の男性が活躍していることが多いのですが、都心部では新卒を積極採用している会社があります。
そのなかでも、都内のハイヤー市場の15%を占めているのが国際自動車の運営する「国際ハイヤー」です。この会社では、業界では珍しく未経験からのハイヤー運転手育成が充実しており、未経験でも安心して仕事をスタートできます。
タクシー業界に新たな試みを実践している国際自動車ですが、なぜ新卒を積極的に採用しているのでしょうか。そのことについて詳しく解説している本がこちらです。
- 著者
- ["蟹瀬 誠一", "蟹瀬 誠一"]
- 出版日
蟹瀬誠一氏著作の『km(国際自動車)はなぜ大卒新卒タクシードライバーにこだわるのか――「人財育成」で業界を変える!』です。本書では、国際自動車が新卒採用にこだわる理由や、どのような新人教育をしているのかを詳しく解説しています。
ハイヤー運転手になりたい方はもちろん、タクシー業界に少しでも興味がある人はぜひご覧ください。きっとタクシー業界のイメージが変わるはずです。
ザ・リッツ・カールトン・ホテル・カンパニーをご存じでしょうか。こちらの会社は1983年にアトランタで誕生して以降、およそ20年という短い間で世界のホテル地図を塗り替え、その従業員たちのサービスはアメリカのみならず世界中で評価を受けています。
また、従業員にとって働きがいのあるホテル・カンパニーの賞も受賞しています。
そんな世界でも注目されるホスピタリティはどのように教育されているのでしょうか。そのことについて詳しく解説している本がこちらです。
- 著者
- 高野 登
- 出版日
高野登氏著作の『リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間』です。本書では、このホテルで働く従業員が大切にしている「クレドの精神」やホスピタリティの実現について詳しく解説しています。
高いホスピタリティ精神が必要とされるハイヤー運転手を目指す方にはぜひ読んでもらいたい1冊です。
ハイヤー運転手がどのような視点でお客様を送迎しているのか体験してみたい方にはこちらの本がおすすめです。
- 著者
- ["中村 壽男", "かよ, すげさわ"]
- 出版日
中村壽男氏著作の『とっておき京都―NO.1ハイヤードライバーがこっそり教えます』です。本書では、ハイヤー歴25年以上のベテランドライバーの著者が独自の視点で京都の見所を案内しています。
通常では気づかないような新たな発見があるかもしれません。京都旅を堪能したい方にはもちろん、ハイヤー運転手の視点を学びたい方にもおすすめの1冊です。
今回はハイヤー運転手の仕事内容やタクシー運転手とのちがいについて解説しました。ぜひ、若い人もハイヤー運転手を目指してみてはいかがでしょうか。