1937年、ナポレオン・ヒルによって書かれた名著。本屋さんに並べてあるのを見た人も、多いのではないでしょうか。なんとこの本は、著者が500名以上もの人々の体験を取材し、成功哲学をまとめた本なのです。 この記事では、その内容について簡単にまとめてみました。ぜひご覧ください。
さて、この本の概要、そして内容を見ていきましょう。
『思考は現実化する』は、多くの人に読み継がれ、解釈されている成功哲学の本です。派生したさまざまな書籍も出版されています。
どう行動に繋げていくかの「実践編」や、注釈や索引が追加された「決定版」、新しくなった「新装版」や、さらに「携帯版」、文庫阪も出版されています。中身に大きな違いはなく、翻訳はすべて、田中孝顕が担当。
本作は全世界で読まれており、その結果、発行部数はなんと7000万以上。世界中で大きな売り上げを上げています。
思考は現実化する―アクション・マニュアル、索引つき
1999年04月01日
さて、本作のタイトル『思考は現実化する』とは、いったいどういう意味なのでしょうか。
この本は、鉄鋼王カーネギーから「わたしと、他の成功者の成功哲学をまとめてほしい」と頼まれたヒルが、成功者たちの言葉から導かれる哲学をまとめた本です。成功者とは、どういった行動や言葉で成功を引き寄せたのか。数多くの人物からそれらを聞き出すのは、大変な労力だったことでしょう。
ヒルは多くの人のインタビューから、17のゴールデンルールをまとめました。成功者の共通点は、自分が成功すると信じて諦めなかったこと。その思いを胸に行動しつづけた結果、成功を納めていたのです。
彼らは、自分たちの確固たる信念、明確な目標のもと、仕事にプラスアルファの要素を足し、また仲間とともに突き進んでいきました。逆境はチャンスだと思い、決して諦めず、シンプルなアイデアを大事にする……。
本作には、そういった数々のルールがまとめられています。
作者は、ごく貧しい家庭で育ちました。15歳のときから、フリーランスの記者としての仕事を始めます。そして25歳のときに弁護士になろうと大学に入学しますが、その学費を稼ぐために、成功者たちを取材した記事を集めて、雑誌を刊行しようとしました。
そのとき最初に取材したのが、鉄鋼王であるアンドリュー・カーネギー。これが運命の出会いとなります。彼は、取材の最中にヒルへ「もし君が成功哲学をまとめてくれるなら、インタビューすべき500人を紹介する。その編纂に20年がかかるが、やる気はあるか?イエスかノーで答えなさい」と質問します。
「ただし、金銭的援助はしない。」という、びっくりするような条件もつけられました。しかし、そこでヒルは「イエス」と答えたのです。そこから、彼の取材が始まりました。
彼はその後の20年で500人の成功者に会い、成功哲学をまとめます。本作以外にも、『巨富を築く13の条件』など数々の著作を生み、まさに彼も成功者の1人となったのです。
- 著者
- ["ナポレオン ヒル", "Napoleon Hill"]
- 出版日
- 2001-03-27
ここで、彼の名言をご紹介しましょう。
背が高く力持ちの人が勝負に勝つのではない。
背が小さく、すばしっこい人が勝つ訳でもない。
「私はできる」そう思った人が結局は勝つのだ。
決してあきらめないことは「思考を現実化する」ためのルールでもあります。思いの強い人だけが成功していくのです。貧しい鍛冶屋に生まれても、自ら信じて行動し、500人もの成功者を見てきた彼ならではの名言といえるでしょう。
多くの人が、他人の批判を恐れ、人生を台無しにする。
自分の信念のためなら、他人からの批判を恐れず、決してあきらめない。成功するためには自らの信念を信じて行動していくことが、何より重要です。やはり、あきらめないこと、そして批判に負けないことは、ヒルにとってかなり重要なことのようですね。
仕事において何か新しい取り組みをする際、周りの目をつい気にしてしまうような場面もあるかもしれません。そんな時でも強い気持ちを持ち、よい意味で空気を読みすぎないようにすることが大切なのではないでしょうか。
チャンスは、不運や一時的な敗北という姿に化けてやってくることがある。
逆境こそチャンス、と本作でヒルは記しています。逆境、不運はひっくり返せばそのままチャンスになることもありますが、それに気づかず、そこで挫折してしまう人が多いようです。もし、挫折しそうな出来事があっても、それはきっと大きなチャンスの裏返しなのではないかと考えるようにしてみてください。
人間は自分が考えているような人間になる。
本作において、重要な考え方です。人間は自分が思ったとおりの人間になりますし、そのとおり行動をします。ヒルがインタビューしたさまざまな偉人たちは、自分の成功を強く信じて疑わなかった人々。潜在意識から変えて行動することが、重要なのですね。
恋愛においても、「自分には、そんな勇気はない」「絶対にうまくいくはずがない」と思っていると、実際にそのようになってしまうもの。根拠がなくても自信を持つことで、不思議と、積極的に話しかけたりできるようになるでしょう。
意欲的な目標を立てれば、明日は今日よりもはるかに前進する。
詳細でしっかりした目標を持ち、それを元に行動すれば、日々前進するはずです。重要なのは目標を持つだけでなく、それに向かった計画を立てること。そして目標自体も、詳細に決めることです。自分が日々成長するために、しっかりとした目標設定をしたいですね。
前述していますが、この本ができたのは、カーネギーとの出会いがあったからです。
カーネギーはそのころすでに莫大な富を築き上げており、自分の成功哲学を後世に伝えたいとかねがね思っていました。そこに現れたのが、学生であるヒルです。カーネギーは取材にきた彼に3時間も語り、それでも足りず、後日3日3晩かけて成功哲学を語ったといわれています。
そしてヒルに、20年にもおよぶ成功哲学の編纂を依頼。無報酬でといわれても「イエス」と答えたヒルですが、このとき彼が答えにかけた時間は、わずか29秒だったそうです。
成功者たちは、決断に1分以上の時間をかけません。カーネギーはさまざまな編集者にこの問いを投げかけましたが、1分以下で答えた初めての人物が、ヒルでした。
かくして、ヒルの成功者へのインタビューが始まります。彼がカーネギーのところへ取材に行かなければ、また即答しなければ、そしてカーネギーの協力がなければ……この本は、日の目を見ることはなかったのかもしれません。
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本作の内容は、すべてのことに応用できます。
今起きている現実は、すべて自分の潜在意識が引き寄せていること。つまり「どうせ俺なんか……」という気持ちが、うまくいかない仕事や、恋愛を引き寄せているのです。
たとえば、スポーツの世界でも同じことがいえるでしょう。「どうせ俺は結果を出せない」と思いながら結果を出せる人は、あまりいませんよね?経営や企業でも同じです。「世の中に貢献して、利益を出す」と思っていなければ、その結果には行き着かないのです。
恋愛においても、また然り。自分の自信のなさから、消極的になってはいないでしょうか?好きな人と付き合いたい、結婚したい、別れた恋人と復縁したい。でも自分には自信がないし、どうせ無理だろう……そう思っていては、いつまでも願いは叶いません。
実現させたい目標を定め、これを朝起きてからと寝る前、1日2回、できるだけ大きな声で読むようにしてください。こうすることによって、自分を信じ込ませることができ、自信がつくのです。
この他に、人間関係も同様でしょう。自分が嫌われていると思ったり、仲良くなれないと思うのではなく、自分が良好な人間関係を作って、円満に続けていけると思い、行動しつづけることが重要なのです。
何かと理由をつけて、自分や他人を批判ばかりしていると、そのとおりの結果が表れてしまいます。自分に適度な自身を持つことが、成功への鍵なのです。
成功するためには、思うだけでなく、計画をきちんと練ることが重要です。
願望を実現するための最終期限をきちんと決め、その期限までに何をどうしたらいいか、詳細な計画を立てます。ざっくりとした計画を作っても、いつまでにどう動けばいいかがわかりません。
たとえば、「A社へのプレゼン資料を明後日の18時までに終わらせる」、「Aさんと今月末までに告白をする」といったような具体的な計画を立てましょう。こうすることによって、期日から逆算した計画を練ることができます。
しかし詳細な計画を練るのはいいですが、いつまでも行動しないままでは意味がありません。計画を立てたら、いち早く動き出すことが重要なのです。動き出さなければ、その計画が無謀なのか、的確なのか、検証もできません。
計画を立てるときのコツは、なるべく詳細に目標を決め、期限を定めて、すばやく動き出すこと。そして失敗を恐れず、もし失敗しても軌道修正をすることです。失敗は挫折のもとでなく、次の行動へのヒントになります。
失敗をどう生かして、これから目標に対して軌道修正するか。これが、成功するためのひとつの秘訣でもあるのです。
成功するためには、忍耐力が大切になってきます。失敗は当たり前。しかし、そこで挫折してしまってはいけません。どんな逆境もチャンスと捉え、忍耐強く、諦めずに挑戦することが成功の秘訣なのです。
ここでは、忍耐力を身につける4つのポイントをご紹介しましょう。
この4つを意識して忍耐強く行動していけば、「自分の価値や行き先を、自分で決める特権」や「自分の人生を思うとおりに作り上げていくことのできる特権」が手に入ります。
いつも自分で決断しているようで、実は周囲に決められてしまっていることが多い世の中。自分の強い意志を持ち、時には相手の意見を拒絶することも重要なのかもしれません。これらをおこなって忍耐力をつけることによって、固定観念に縛られない生き方や、周りの目を気にしない生き方も身につくでしょう。
さて、この本でいう成功の定義とはなんなのでしょうか?ヒルは本作で、こう語っています。
成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、
自らに価値ありと認めた目標【願望】を、
黄金律に従って一つひとつ実現していく課程である。
(『思考は現実化する』より引用)
このなかでいう黄金律とは、自分がそうしてほしいことを、まず他人にしてあげることを指します。そうしながら、自分が価値あると思える目標を達成していく。想像してみれば、すばらしいことですよね。
その目標を達成するための6か条も掲載されています。
1.あなたが実現したと思う欲望を「はっきり」させること
単にお金が欲しいなどというような願望設定は、全く無意味なことである。
2.実現したいと望むものを得るために、
あなたはその代わりになにを”差し出す”のかを決めること
この世界は、代償を必要としない報酬など存在しない
3.あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
4.願望実現のための詳細な計画を立てること
そしてまだその準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
5.実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、
以上の4点を紙に詳しく書くこと
6.紙に書いた宣言を、1日に2回、
起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと、
このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、
そう自分に思い込ませることが大切である
(『思考は現実化する』より引用)
ポイントは、最後の宣言です。
成功者は必ず、自分の願望を紙に書き出して、声に出しているそうです。自分の意識がそちらへはっきりと方向付けされ、行動も変わってきます。よく「言霊」といいますが、まさにそれでしょう。
また重要なのは、マスターマインドであるとも語っています。
マスターマインドとは、2人以上の何らかの願望や目標を持った人間の集まりのこと。また、その人々の間で行き交う、波長の合う思考だそうです。つまり、マスターマインドという「仲間」がいれば、自分の能力や個々の能力を、単純に足し算ではなく、掛け算のように使えるということになります。
明確なビジョンがあり、仲間がいれば会社が成長するのと同じで、目標達成のためのマスターマインドは、成功を実現させるスピードを、さらに速める一手なのです。
本作には、漫画版もあります。主人公の内山麻由が、とある人物の助けを借りて起業し、試行錯誤しながら成功していくというストーリーです。
漫画ですので内容も入ってきやすく、また間の文章も主人公たちの会話風になって説明されていたり、ルールごとにコンパクトに説明されています。
本書のエッセンスがぎゅっと詰まった内容になっているので、この本で概要を頭に入れてから、原作の書籍を読んでみるよいかもしれません。
麻由が仕事や恋に打ち込む姿は、漫画作品としても楽しいでしょう。
- 著者
- 出版日
- 2015-12-01
『思考は現実化する』の内容をまとめると、やはり自分が思っている「無意識」を変えるために行動することが重要ということ。
意識と行動はセットです。行動することで、意識は変わっていきます。その意識も、また変わっていき、そこからさらに行動も変わっていくのです。自分の潜在意識を変えて成功へ近づくためにも、まずは明確な目標を定め、計画を立て、行動していくのが重要になってきますね。
これからの人生をよりよく生きるためにも、この本を読んで人生を変えてみてはいかがでしょうか。気になったら、ぜひさらに詳しい内容をご覧ください。
ひらめきを生む本
書店員をはじめ、さまざまな本好きのコンシェルジュに、「ひらめき」というお題で本を紹介していただきます。