体を武器化する人間とそれを使う人間。死神様の治めるデス・シティを舞台に繰り広げられるバトルを描いた漫画『ソウルイーター』は、アニメ化もされた大久保篤の人気作です。 この記事では、そんな『ソウルイーター』のあらすじと魅力を始め、作中に登場する名台詞やアニメで主人公を演じた声優についてもご紹介します。
死神が管理する街デス・シティ。その街には、死神が使う武器=デスサイズを作る「職人」と「武器」を育てる死神武器職人専門学校、通称・死武専がありました。死武専に通う「職人」と「武器」は、普通の職人と武器を意味するのではありません。「武器」は、刀や鎌などの武器に姿を変えることができる人間、「職人」はそんな「武器」を使いこなす人間のことです。
2人が力を合わせ、99個の人間の魂と1個の魔女の魂を「武器」に食べさせてデスサイズを作ることが、死武専に通う者達の目標でした。『ソウルイーター』は、その目標のため様々な「武器」と「職人」が激しいバトルをくり広げていくダーク・ファンタジーです。
本作は2008年にアニメ化され、1年間放送されていました。主人公のマカ=アルバーンを演じたのが、声優の小見川千明です。小見川千明は本作が声優デビュー作でした。
今回は、『ソウルイーター』のあらすじや作中に登場する数々の名言の紹介、そして声優の小見川千明についてもご紹介します。『ソウルイーター』に興味がある方、すでに知っていても名言や声優について知りたい方はぜひ読んでみてください。
『ソウルイーター』の主な舞台となるのが、死神武器職人専門学校、通称・死武専です。主人公のマカとソウルは、そこに通う職人と武器でした。ここで言う武器は、体を鎌や銃などの姿に変えることができる人間のこと。職人はその武器を使い、魂を狩ったり敵と戦ったりします。
ソウルは大鎌に姿を変えることができる武器。マカとソウルはペアを組み、様々な敵と戦っていくことになります。主な敵となるのが、物語序盤で復活する鬼神「阿修羅」。鬼神は死神様によって封印されていましたが、その復活をもくろむ者達によって復活。その影響によって世界が狂気に包まれていくなか、マカとソウルも激しい戦いに身を投じていくことになるのです。
本作のジャンルはダーク・ファンタジー。とはいえ、どちらかというと絵は可愛らしく、コミカルなキャラクターも多いので、それほど「ダーク」とは感じないかもしれません。
また、激しいバトルや仲間との友情、主人公達の成長など少年漫画としての肝を抑えつつも、「魂」をキーワードしたり、死神や職人・武器などの設定にオリジナリティがあったり、他作品にはない魅力が詰まっています。個性的なバトルファンタジーを読みたい方は、ぜひ一度チェックしてみてはいかがでしょうか?
- 著者
- 大久保 篤
- 出版日
『ソウルイーター』の作者は、大久保篤。『炎炎ノ消防隊』などで知られる漫画家です。大久保篤は、東京アニメーター学院を卒業、漫画家アシスタントを経て、2001年に『一善の骨』でエニックス21世紀マンガ大賞を受賞してデビューしました。
その後、『ソウルイーター』の他、『炎炎ノ消防隊』、『B壱』などの連載を持ち、人気漫画家となります。得意とするジャンルはファンタジー。『ソウルイーター』の職人や武器を始め、『炎炎ノ消防隊』に登場する「焔ビト」(※人が突然発火して周囲を焼き尽くす現象)など、オリジナリティのある設定が多いのも特徴です。
- 著者
- 大久保 篤
- 出版日
- 2016-02-17
シリアスな展開もありますが。全体的にポップな印象も強く楽しく読むことができます。現在は週刊少年マガジンで『炎炎ノ消防隊』を連載中(2020年3月現在)。『ソウルイーター』は完結しているので、一気読みしたい方にもおすすめです。
本作の主人公。「武器」であるソウル=イーターとペアを組んでいる職人です。セーラー服のような服とツインテールが特徴の可愛らしい女の子。父がデスサイズ、母が父を作り上げた職人というサラブレッドの血筋ではありますが、身体能力は低く体術面で劣るところがあります。一方で、魂を感知する力がとても優れており、ペアのソウル=イーターとともに様々な修羅場をくぐり抜けていくことになります。
マカとペアを組む武器で、本作のもう1人の主人公のような存在です。ソウル=イーターというのは通称で、本名はソウル=エヴァンス。音楽一家の生まれでしたが、自身の音楽の才能に限界を感じていたところ武器としての力に目覚め、死武専に入学しました。クールな男に憧れていますが、自身の生活は熱血漢。物語の序盤ですでに99個の人間の血を食べていましたが、とある勘違いから全てリセット。一からやり直すことになってしまいました。
死武専に通う職人。暗殺者の一族である「星族」の生き残りで、自身も暗殺者です。しかし、暗殺者とは思えないほど目立ちたがり屋な性格で、お調子者。そのせいで、物語の序盤ではまだ魂を1つも回収できておらず、マカ達とともに補習を言い渡されてしまいました。お調子者である一方で努力家、仲間想いな部分もあり、物語が進むと同時に様々な激闘へ身を投じていくことになります。
ブラック・スターとペアを組む武器。黒髪黒目が特徴の女の子で、鎖鎌や忍者刀、煙玉、手裏剣など様々な武器の姿になることができます。おっとりした控えめな性格ですが、代々続く武器の一族の1人であり、その能力の高さは確かなもの。死武専の成績も優秀でしたが、ペアを組むブラック☆スターに振り回された結果、実技で落第寸前となり、補習を言い渡されてしまいました。
デス・シティを管理する死神様の息子で、死武専に通う職人です。本来、その立場は死神であり職人になる必要はないのですが、自分の武器は自分で作りたいという思いから死武専に入学しました。極度の完璧主義で神経質な性格。二丁魔拳銃の使い手で、武器であるトンプソン姉妹とトリオを組んでいます。物語が進むにつれ、職人としてだけではなく死神としても成長していきます。
死武専の長でありデス・シティの管理者である死神。キッドの父親でもあります。ドクロっぽい仮面をしていますがどこかコミカルな印象で、しゃべり口調なども軽くとても怖い雰囲気には見えません。しかし、その魂はデス・シティを覆いつくすほど巨大で、強大な力を持っていることがわかります。とある理由からデス・シティを離れることができません。
心の弱さに負け、力を渇望するあまりに善悪問わず魂を乱獲した末に生まれたのが鬼神と呼ばれる存在です。その力は神に匹敵されるとされます。阿修羅は初めての鬼神で、かつて死神様によって封印されていましたが、物語の序盤で復活しました。猜疑心の塊のような性格で、ペアを組む武器すらも信じず、遂には自分の中に取り込んでしまいました。それにより職人であり武器でもあるというレアな存在になりました。
死神武器職人専門学校に通う職人のマカ=アルバーンと武器のソウル=イーター。すでに99個の人間の魂を食べ、あと魔女の魂1個を食べれば死神様の武器「デスサイズ」になれるところまで来ていた2人でしたが、最後の最後で猫の魂を食べてしまい失敗。2人は、魂を1個も回収できていなかったブラック☆スターと中務椿とともに補習を受けることになってしまいます。
マッドサイエンティストな職人のシュタインらと出会いもありつつ、4人は無事に補習をクリアしました。補習を終えたマカとソウルが任務に励んでいると、彼らの前にクロナという少女が現れます。クロナは職人でありながらその体内には武器・ラグナロクを血液として宿していました。
強力な力を持つクロナとの戦闘に劣勢となるマカとソウルでしたが、シュタインやマカの父であるアルバーンの助けを得て、その場は何とか凌ぐことができました。しかし、この時に傷を負ったソウルは、クロナの持つ狂気を増長させる危険な血液である「黒血」を体内に混入させてしまいます。
一方、クロナの母であり彼女にラグナロクを埋め込んだ張本人であるメデューサ・ゴーゴンは、密かに死武専へ潜り込んでいました。彼女の目的は、デス・シティに封印されている鬼神・阿修羅の復活。メデューサの暗躍により遂に鬼神は復活し、世界には狂気が広がり始めていきます。
- 著者
- 大久保 篤
- 出版日
死武専に保護されたクロナは、マカやソウルと交流を持つようになりました。同じ頃、復活した鬼神に対抗するため、死神様は世界各地に散っていたデスサイズ達を呼び寄せていました。鬼神の復活により、世界にはすでに狂気が広がり始めていたのです。
そして、同じように鬼神復活の影響を受けて目覚めたのが魔女アラクネでした。アラクネは魔女でありながら魔女の魂を使い魔武器を作った人物で、800年前に死神との戦いに敗れていました。死神からも魔女からも疎まれる存在であるアラクネは、死武専を倒すための組織「アラクノフォビア」を結成します。
一方、死武専での戦いにより死亡したと思われていたメデューサが、突如クロナの前に現れました。マカ達と友人関係を築き始めていたクロナでしたが、メデューサの命令によってスパイとなることを了承してしまいます。死武専とアラクノフォビアの戦いはしだいに激しくなり、両陣営の被害も大きくなっていきました。
アラクノフォビアの幹部と戦っていたキッドは、かろうじて敵を退けるものの、「エイボンの書」という魔道具に閉じ込められてしまいました。アラクネと交戦していたマカとソウルは、激戦の末にアラクネを屠ることに成功します。しかし、同時にアラクネの肉体をメデューサが乗っ取り、マカ達の前から去ってしまいました。
- 著者
- 大久保 篤
- 出版日
アラクネの死によりアラクノフォビアは壊滅しました。死武専に戻ったマカとソウルは、99個の人間の魂と1個の魔女の魂を回収に成功。ソウルは遂にデスサイズになることができました。デスサイズとなったソウル、そしてマカ達は、「エイボンの書」に閉じ込められたキッドの救出に動き出します。
同じ頃、シュタイン達は、魔導師ノアを中心とした組織である魔導師ノア軍団と戦っていました。激しい戦いの末、絶体絶命のピンチに追い込まれるシュタイン達。そこに駆け付けたのは、「エイボンの書」を脱出したマカやキッド達でした。援軍を得て再びノアとの戦いに挑むキッド達。その戦いの中で、キッドは死神の力を進化させ、ノアを退けることに成功しました。
その後、鬼神の居場所が判明。それは何と月でした。鬼神討伐のためキッドを始めとした精鋭部隊は月へと向かいます。際限なく現れる敵にピンチとなる死武専側でしたが、キッドに説得された魔女達が死武専の援軍として登場。形勢は一気に逆転し、残す敵は鬼神だけとなります。
しかし、鬼神の力は圧倒的で、マカ達は手も足も出ません。それでも様々な策を講じ、自身の力を目覚めさせ、そして鬼神と融合していたクロナの覚悟によって、鬼神は遂に封印されることになりました。それから、長きに渡って敵対していた死神と魔女は和解し、魔女の魂を使って作られるデスサイズの作成は廃止されることになりました。
死神として完全に覚醒したキッドは新しい世界を作ることを決意し、その誓いの証人として、最後のデスサイズとなったソウルは「ラストデスサイズ」と呼ばれるようになりました。
- 著者
- 大久保 篤
- 出版日
(『ソウルイーター』1巻より引用)
主人公マカの決め台詞。CMなどでもよく使われていたため、耳にする機会が多かった台詞でもあります。そのた『ソウルイーター』といえばこの台詞を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?名言というよりも名台詞。『ソウルイーター』の代名詞的な台詞です。
(『ソウルイーター』25巻より引用)
絶体絶命のピンチを人間離れした技で回避したブラック☆スターが、鬼神に向かって言い放った台詞です。要するに、自分にできないことは他の誰もできないことだから自分にできないことは何1つない、という意味ですが、ビッグマウスで自信家なキャラクターとして描かれているブラック☆スターらしい台詞といえるでしょう。少し乱暴な印象もありますが、自分に絶対の自信を持つこと、それを口にすることは勇気のいることです。ここまでブラック☆スターの成長を見届けてきた読者にとっては、元気や勇気のもらえる名言といえるはずです。
(『ソウルイーター』1巻より引用)
『ソウルイーター』1話でソウルが言った台詞です。本作にとってどれだけ魂が大切なものかを伝えてくれる台詞といえるでしょう。まだ読者が作品世界に入りこむ前の1話で出てくる台詞としてもふさわしいものなのではないでしょうか?ちなみに、台詞だけ見るととてもクールですが、ソウル自身はクールになりきれていないところがあり、そこもまた面白いポイントとなっています。
(『ソウルイーター』25巻より引用)
『ソウルイーター』最終話でソウルが言った台詞です。ソウルは音楽一家に生まれながら自分の才能に限界を感じ、武器としての力に目覚めたこともあって逃げるように死武専に入学しました。そんなソウルが、様々な経験を経て自分の過去や葛藤に区切りをつけたともいえる台詞です。
過去を引きずるなとはよく言いますが、「全部引きずってやろう」というのが、自分の過去を全て受け入れて生きていくというソウルの覚悟を表しているのではないでしょうか? ソウルの成長を感じさせる名台詞です。
アニメ版『ソウルイーター』で主人公のマカを演じたのが、声優の小見川千明です。小見川千明は子役として舞台で活動をしていましたが、2008年にマカ役で声優デビューをしました。演劇活動こそしていたものの、デビュー作がいきなり人気作の主人公というのはとてもすごいことなのではないでしょうか?
また、小見川千明は、地声とキャラクターの声のギャップに驚かれることの多い声優でもあります。『ソウルイーター』のマカを始め、どちらかというとやや低めの声で演じることが多い小見川千明ですが、実はその地声は高めの可愛らしい声。ラジオなどではもちろん地声で話すので、そのギャップに驚いた人も多かったようです。
『ひだまりスケッチ』のなずな役が地声に近いそうですので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか?現在も声優活動を続けており、2019年には大久保篤原作の『炎炎ノ消防隊』にも出演しています。これからの活躍にぜひ注目してみてはいかがでしょうか?
いかがでしたか?『ソウルイーター』はすでに完結済ですが、その面白さはいつ読んでも色あせることはありません。完結済だからこそ最初から最後まで一気に読めるのも魅力的です。コミックスはもちろん電子書籍でも読めますので、ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか?
また本作の他にも名作と呼ばれる完結済みの少年漫画をもっと読みたい方には、こちらの記事もおすすめです。
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