曲や歌手に合う最高の詩をつくる「作詞家」。日本で有名な作詞家といえば、阿久悠さんや秋元康さんなどがあげられます。作詞家のキャリアの築き方は人それぞれですが、企業に属しながら作詞家としての活動をおこない、独立して制作活動に専念するルートが一般的です。自分の世界観を維持しながら、曲や歌手のイメージに合う詞を作らなければならないため、作業は繊細さを必要とします。また、常に歌詞を生み出すような物事の見方も身につける必要があります。本記事では、作詞家の仕事内容や年収、なり方などを詳しく解説します。記事の最後には作詞家になるうえで役に立つ本を3冊紹介しますのでぜひご覧くださいね!
作詞家とは、作曲家が出したデモテープを聴き、それに合った歌詞を作る職業です。ヒット曲を出すのに曲調が重要なのはもちろんですが、人々の心に刺さるような歌詞を書くことも大切です。「音楽」と「言葉」のどちらも使うため、作詞家で稼げるようになるのには相当な努力が必要です。
日本には、数々のヒット曲を世に送り出した作詞家が多数います。
作詞家として知らなくても、彼が制作した曲は日本人なら誰もが一度は聴いたことがあるはずです。
代表作には『宇宙戦艦ヤマト』や『ペッパー警部』、『学園天国』などがあります。JPOP、演歌、アニメソングなどジャンルを区切らず作詞活動をしていたため、日本の名曲を語るうえで欠かせない人物です。
大学卒業後は広告代理店に就職。そこで経験を積み、昭和40年に独立し、作詞家・作家としての活動をスタートさせています。手掛けた楽曲は約5000以上。歌が人の心に残るには詞が重要だと考え、その時代だからこそ語れる詞とは何かを模索しながら制作をおこなっていたと言います。
作詞家を目指すうえで、阿久悠さんの考えは非常に参考になる部分が多いでしょう。
参考:阿久悠先生インタビュー
昭和・平成のアイドルソングを語るうえで欠かせない人物です。アイドルグループAKB48へのプロデューサーとしても有名ですが、1983年以降から作詞家として精力的に制作をおこなっています。代表曲には『川の流れのように』や『海雪』など、数々のヒット曲が名を連ねています。
秋元康さんは放送作家としてキャリアをスタートさせています。放送作家としてキャリアを積みつつ、作詞家としての活動もしていたそう。転機となったのは『GOOD-BYE青春』の作詞。能動的ではなく受動的に動いてきたと言いますが、その後に『川の流れのように』を生み出すなど、徐々に作詞家としての頭角を現していきます。
すべては運だと語る姿が印象的ですが、その背景には努力を努力と思わない性格があったのだろうと思わせられます。
作詞家の年収は印税によって決まるため、不安定です。印税は曲の売り上げのうち約1.5%が作詞家の取り分になります。そのため、自分の作詞した曲がヒットすれば高収入を期待できるでしょう。
しかし、なかなか作詞家の仕事だけで稼げる方は少ないの実情。コピーライターやほかの音楽系の仕事と並行してやっている方がほとんどです。
作詞家は、フリーランスか作家事務所に所属して働くかのどちらかで活躍しています。どちらも詩を提出する締め切りがありそれに合わせてスケジュール管理をします。そのため早く終わってしまえばその後は自由に時間を過ごすことができます。しかし、人気の作詞家になるとさまざまな案件を掛け持ちすることもあるため忙しくなります。
スタッフとの打ち合わせなどは所属する事務所でおこないますが、作詞活動は自宅など集中できる空間でおこなうのが一般的です。
作詞家になるのに必要な資格や学歴はありません。音楽系の学校に通っていれば音楽に対する基礎知識が身につきますが、通っていなくても努力次第ではだれでも作詞家になれます。また、歌手として活躍しながら作詞や作曲もおこなっている方もいます。
フリーランスとしても働くことはできますが、まずは作詞家事務所に所属し、さまざまな経験を積んだのちにフリーランスとして独立する方が多いようです。
作詞家は、言葉を巧みに使う仕事です。作曲家からデモテープをもらってからの作詞となるとはいえ、いちから詞を考えるのは大変な仕事です。作詞家のなかにはよいフレーズが思いつかずに思い悩む方も多いようです。そのため、音楽や言葉が心から好きでそれにまつわる仕事がしたいと考えている方には向いているのではないでしょうか。
作詞家は明確な仕事時間は決まっておらず、日常生活のなかで作詞に使える言葉や表現が浮かぶこともあり、常に音楽のことを考えている方も多くいます。そのため、想像力が豊かである方が作詞が浮かんできやすく、作詞家にも向いているといえるでしょう。
また、好奇心が旺盛でさまざまなものに興味を持ち触れることができる方はその分アイディアも浮かびやすくなるでしょう。
すべての仕事にいえることですが、作詞家として成功するには相当の努力が必要です。作詞家はなったら必ず売れるというものではなく、努力しても結果が実らないことが多くあります。
また、金銭面で非常に不安定であるため、道半ばで諦めてしまう方は少なくありません。そこで諦めずに、試行錯誤を繰り返して作詞活動ができる方は作詞家に向いているといえるでしょう。
作詞家として売れるようになるには作詞家としての知識や技術、努力が必要不可欠であり、簡単に売れる仕事ではありません。そのため苦労して作詞した歌がヒットし世間に愛される名曲になったときには大きな喜びがあります。
また、作曲家や歌手と協力して歌を完成することができた時には大きな達成感を感じられます。
作詞家の大変なことはいちから歌詞をつけるためフレーズや表現が浮かばずに制作に行き詰まることです。また、その歌を歌う歌手やスポンサーなどのことも考えて作詞をしなくてはいけないため、自分が好きな歌詞だけをつくれるというわけではありません。それらのすべてのニーズにこたえ、なおかつよい歌を作るとなると難しいでしょう。
作詞をしてみたいと思っている方や、プロの作詞家を目指している方は少なくないのではないでしょうか。
しかし、作詞はただ言葉の才能があるだけでは成り立ちません。言葉の繋げ方や表現が重要となります。経験が少ないうちは作詞の構成やアイディアの出し方について困ることが多いはず。また、歌手やスポンサーなど携わる方の気持ちや事情、ブランディングなどを踏まえて作詞をする必要があります。
このように難しいと思われる作詞家の仕事ですが、ポイントやテクニックを抑えておくと作詞活動がしやすくなるかもしれません。そんな経験や知識がゼロの状態から作詞をしてみたい方にはこちらの本がおすすめです。
- 著者
- 井筒 日美
- 出版日
井筒日美氏著作の『ゼロからの作詞入門~プロ直伝の考え方とテクニック~』です。著者の井筒氏は作詞家としてテニスの王子様やアイドルマスターなど多数の作詞を手掛けています。そんな井筒氏が作詞家としてのアイディアの出し方から曲の構成や言葉のつなげ方にいたるまで惜しげもなく解説しています。
本格的に作詞家を目指す方や、自分の歌を作りたいと考えている方にもおすすめの1冊です。ぜひご覧ください。
すでに作詞家として活動しているけれど、いつも同じような歌詞になってしまったり、よい表現が思い浮かばなかったりと悩む方も多いでしょう。そんな方にぜひ読んでいただきたい本がこちらです。
- 著者
- 島崎 貴光
- 出版日
島崎貴光氏著作の『作詞の勉強本 「目線」と「発想」の拡大が共感を生む物語を描き出す鍵となる』です。本書は、作詞家や作曲家、サウンドプロデューサー、ディレクターなど、音楽のさまざまな分野で活躍している著者自身が作詞におけるポイントや考え方を詳しく解説しています。
島崎氏いわく、「目線」と「発想」を「拡大」することにより、キーワードやシチュエーションをあらゆる角度から描く力が身に付くとしています。この技能を身に付けることで想像力が高まり作詞をするうえでの選択肢が広くなります。
また、この技術を活用してヒット曲の条件である「共感」を生むような歌詞が作れるテクニックも紹介。作詞活動で思い悩んでいる方におすすめしたい1冊です。
「ひらめきと感性だけじゃ作詞でメシは食えない!」
この言葉は、『残酷な天使のテーゼ』ほか多数の曲を作詞した及川眠子氏の言葉です。
作詞家として大成功されている及川氏は、なぜひらめきと感性だけでは作詞家として活躍できないと言い切ったのでしょうか。また、それ以外に必要な作詞家としての技術はどのようなものなのでしょうか。そのことについて詳しく解説した本がこちらです。
- 著者
- 及川 眠子
- 出版日
及川眠子氏著作の『ネコの手も貸したい 及川眠子流作詞術』です。本書では、そもそも作詞とは何を書けばいいのか、どうしたら人々の心に響くのか、どうやってメロディを生かせばいいのかなど、プロだからこそ語れる情報を惜しみなく解説しています。
ひらめきと感性以外になにが必要なのか。またどうしたら作詞家として生活していけるのかを知りたい方はぜひ読んでみてくださいね。
今回は作詞家の仕事内容や年収、なり方について詳しく解説しました。作詞をしてみたいと考えている方、作詞家として活動しているけれどなかなかうまくいかず思い悩んでいる方はぜひ最後に紹介した本を読んでみてくださいね。