食物の中には主に4つのタイプの脂肪があります。多価不飽和脂肪、一価不飽和脂肪、飽和脂肪、トランス脂肪です。それらはそれぞれ異なる科学的、物質的性質を持っています。
私たちのエネルギーは主に炭水化物によってもたらされます。しかし大人の15~25%のエネルギーは脂肪から供給され、新生児においては50%が脂肪から供給されているのです。高脂肪のものを摂取することは熱が逃げないようにするための脂肪の蓄積を促進します。
食物に脂肪を加えると、その食物のカロリーを2倍にできます。肉や牛乳などの製品から脂肪を取り除くことは実質カロリーを取り除くことになります。1グラム当たりのカロリーを比較すると、炭水化物3.75キロカロリー、たんぱく質4キロカロリー、アルコール7キロカロリーに対して、脂肪は9キロカロリーもあります。
体脂肪を減らすという意味では、体を動かすよりもカロリーの摂取量を減らすほうが効果的です。既存の製品のものであれば低脂肪のものを選び、肉からは脂肪を取り除いて、油控えめなものを使用することで体脂肪減らすことができます。
肉を焼いた場合と揚げた場合では、脂肪が含まれるということにおいてはあまり大きな違いはありません。また、カロリー摂取を抑えるには炭水化物とアルコールを控えることも必要です。
体脂肪の過剰な蓄積が腹腔や肝臓内にあることは最も有害であり、また、2種類の糖尿病の進行と容易に関連付けられます。腰回りの大きさは主な肥満の指標として用いられ、また、糖尿病の危険性を示唆することにも有効です。
女性は男性よりも皮下脂肪が多く、男性は腹部の腸の血管周りに内臓脂肪を蓄えていて、内臓脂肪は皮下脂肪よりも急速に集約され肝臓内に蓄積されます。
また脂肪は、高濃度のアルコールや糖分を摂取した際も肝臓内で蓄積されます。
肥満とは、食事で取りすぎた脂肪が過度に蓄積された状態です。炭水化物(砂糖を含む)やアルコールは燃料として優先的に使われるため、それらによって体内で作られる脂肪はごくわずかです。しかしわたしたちが溜めることができる炭水化物の許容量には限界があるので、それを超える量を摂取した場合は脂肪として蓄積されます。
脂肪は女性がたくさんの子どもを産むための重要な役割を果たしています。健康な成人女性の体脂肪率は20~30%で男性の約2倍です。数値が18%を下回ると排卵が止まりますが、50%くらいのとても高い数値まで上がるとこれもまた結果的に不妊につながります。
脂肪組織から血液中に分泌されるレプチンというホルモンは、脂肪の蓄積量に比例して分泌されます。脳が血液中のレプチン信号を感じ取り、数値が十分高くなったとき排卵を促すのです。
私たちは健康的な肌のために、食べ物からある程度の多価不飽和脂肪酸を摂取する必要があります。これらは循環器系の健康維持にも良い効果があり、脳や見た目にも同様に作用するのです。私たちは普段主に植物油、ナッツ類や油脂の多い魚から摂取しています。
私たちは脂溶性ビタミンA,D,E,Kの吸収のために毎日30gの脂肪を必要とし、またそれらのビタミンを高脂質の食品から摂取しています。植物油はビタミンEにとって重要であり、油の多い魚はビタミンBにとって最高の食材です。そして、野菜に少量の油を垂らすことでカロテン(プロビタミンA)の吸収をよりよくします。
人の血中コレステロールの平均値は、冠動脈心疾患のリスクを決定する主要な要因です。試験データが示している通り、飽和脂肪酸を多価不飽和脂肪酸に置き換えると血中コレステロールが下がり、死亡率ではないですが病気になる要因を減らします。近ごろ高いコレステロールはスタチンの投与によってより効果的に治療ができますが、一般的にはコレステロール値を下げることが目標とされています。
全ての飽和脂肪がコレステロール値を高くするわけではありません。コレステロール値の増加効果は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸(パーム油に見られる)に限られます。これらは炭水化物(全ての種類のでんぷんと砂糖を含む)や不飽和脂肪酸に比べて、低濃度リプロプロテイン(悪玉)コレステロール(LDL-C)の効果を高いものから順に増加させます。
一般的に、飽和脂肪酸を不飽和脂肪(オリーブや菜種)の豊富な油や多価不飽和脂肪酸(大豆やひまわりの種油)に置き換えコレステロール値を低下させることは、炭水化物を控えることよりもより効果的です。
Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image
- 著者
- 森 拓郎
- 出版日
- 2016-06-16
- 著者
- タニタ
- 出版日
- 2010-01-21
- 著者
- ミシェル フィリポフ
- 出版日
- 2016-10-21