様々な気分に寄り添ってくれるエッセイ本5冊

様々な気分に寄り添ってくれるエッセイ本5冊

更新:2021.12.1

こんにちは、ハッカドロップスのマイです。私が本を好きになったきっかけは、エッセイでした。この本を読んでみたいと思って、本棚から本を抜いた、確かな一番古い記憶が、さくらももこさんの『もものかんづめ』。 それ以来好きな作家さんを見つけるとその人のエッセイを片っ端から読みました。エッセイって疲れている時も気分の良い時も、ぼうっとしたい時も幅広い気分に寄り添ってくれる気がします。 というわけで今回は、「様々な気分に寄り添ってくれるエッセイ本」を5冊おすすめさせてください。

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ぐさりと自分を見透かされたような文章

著者
佐野 洋子
出版日
1995-03-01
私は佐野洋子さんのエッセイをとても信用しています。
佐野洋子さんが書いた本なのだから絶対に面白いと思って本を買うし、その中にはちょうど自分の身の上で起こっていることに重なる体験がかならずあるという気持ちで表紙を開く、すると大体それは1ページ目に現れるのです。

“若いということは、とにかく自分のことだけしか考えないということに尽きる。私は自分に絶望したり、あてのない希望を持ったりのくり返しの若さを夢中で生きていた。その夢中の中に、家庭も子供もなかった”(本文より)

そしてすぐに表紙を閉じてしまう。そのぐさりと自分を見透かされたような文章を反芻するのです。
絶対面白いから読んでみてほしい。

うまく説明できない気持ちを明らかにしてくれる

著者
江國 香織
出版日
“なぜ書くのか、あなたの文学に対する姿勢を問う、などといわれるのはほんとうにふいうちだ。訊かれただけで責められている気がする事柄というのがあって、なんにも悪いことをしていないのにいたずらに動揺させられる”(本文より)

普段感じてはいるけれどうまく説明できない気持ちの詳細を、江國香織さんの文章が明らかにしてくれる。読んで少し安心する。
そしてこういう安心があってこそ、その先に進むことが出来るとよく思うことがある。誰も分かってくれないなんて感じた時は本を読んでみてもいいと思う。
意外とみんな同じことを感じていたりするんだなって思う。

「メルヘン翁」の衝撃

著者
さくら ももこ
出版日
2001-03-16
私がこの本を初めて読んだのは小学生のころだったんですが、当時この本の中の「メルヘン翁」というエッセイに衝撃を受けたのを覚えています。
なぜメルヘンなのかと言うと、棺桶の中でほっかむりをして、体をS字にくねらせ頬に手を重ねている格好だったからなのですが、お爺さんの往生について書いてあります。
人の死についてユーモアを交えながら書かれたものを読んだりしたのはおそらく小学生のその時が初めてで、それまで人の死の周辺には悲しみしかないのだと思っていたから、それ故の衝撃だったのだと思います。
私は今でもたまに、メルヘン翁という言葉を思い出します。
他の章も、些細なことを面白おかしく書いていて楽しいエッセイです。

男性から見る男女と女性から見る男女

著者
["角田 光代", "穂村 弘"]
出版日
2012-04-10
“自分の客観的な感想と彼自身の認識のズレがたまらなくおそろしかった。同じだ。私自身も、間違いなくこの次元でもがいているのだ”(本文より)

私も同じだ、この次元でもがいている。と自分でも後に続いてしまった。
こんな風に、作者が考える男女の違いについてなど、経験を交えながら書かれているのですが、女性である角田光代さんと男性である穂村弘さんが交互に書いているところが面白いです。
男性から見る男女と女性から見る男女。相手に対してこの人何考えてるんだろうなんて不思議に思った時に読んでみてほしいです。

自分がどう見られているかという自意識

著者
酒井 順子
出版日
“どうしても先頭を歩かなければならない時に感じた居心地の悪さは、後に続く人達に自分の姿が常に見られている、というところから来るものでした”(本文より)

日常のささいな不安感も突き詰めていけば自分がどう見られているかという自意識にたどり着くことが多い。
そして私も、面倒な自意識は物心ついた時から既にあった。幼いからといって他人からの見え方を気にしていない等ということはまったく無く、自意識によって行動を左右されたり自粛の気持ちになったりした記憶は数え切れないほどある。
なんとなくの不安感を突き詰めてみて、正体が分かれば案外すっきりするんじゃないか、そんな時にこの本を読んでみてほしいなぁと思います。

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