和山やま『カラオケ行こ!』はBL?ローテンションコメディのあらすじと魅力

更新:2021.9.7

一躍注目を浴びる漫画家・和山やま。最新2作品は「このマンガがすごい!2021」にて、オンナ編の第1位と第5位をダブルで獲得という快挙を達成しました。 第5位にランクインした『カラオケ行こ!』は、連載もなくコミックスだけの発売に関わらず大ヒットを記録。そんな『カラオケ行こ!』のあらすじから聡実&狂児といった魅力的なキャラ、BLについてまでたっぷりと紹介します。

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『カラオケ行こ!』簡単なあらすじから周辺情報まで紹介!

狂児「俺はその…ブラック企業に勤めてて」

聡実「(ヤクザをブラック企業て言うな)」
(『カラオケ行こ!』より引用)

 

合唱部部長で中学生の岡聡実が、ヤクザの成田狂児に声をかけられ、専属の歌のレッスンをさせられることになるコメディ漫画『カラオケ行こ!』。原作は、今最も注目されている漫画家・和山やまです。

和山やまといえば、2019年に初のコミックスとなった『夢中さ、きみに。』が、文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞、手塚治虫文化賞短編賞を受賞。その後も、初連載作品『女の園の星』「このマンガがすごい!2021」にて、オンナ編の第1位選ばれた俊英です。この時、なんと『カラオケ行こ!』第5位ランクインするという快挙を成し遂げてもいます。2021年には、『夢中さ、きみに。』がテレビドラマ化されるなど、和山やまの勢いは止まるところを知りません。

『カラオケ行こ!』は、それまでの和山作品とは少しテイストは異なるものの、持ち前のユーモアセンスは健在で根強い人気があります。2020年12月から「コミックビーム」にて、その続編にあたる『ファミレス行こ。』の不定期連載も始まりました。

主人公・聡実と狂児の普通ならあり得ない交流はやがて深い絆へと変わっていきます。ユーモアとともに、その絆にちょっとした感動も味わえる作品です。コメディ好きはもちろんのこと、漫画好きなら必ず読んでほしい作品のひとつ。和山やまの世界観を一度は体感してみてください。

『カラオケ行こ!』

 

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『カラオケ行こ!』の聡実や狂児ほか個性的なキャラクター

 

『カラオケ行こ!』に登場する人物を相関図とともに紹介します。

岡聡実(おかさとみ)

中学3年生の男子。森丘中学校の合唱部部長。綺麗な高音の持ち主でソロパートなども務めるが、とうとう変声期が訪れる。ヤクザの狂児に合唱コンクールで目をつけられ、歌のレッスンを引き受けることに。一見真面目だが、思ったことを率直に伝えてしまうところも。

成田狂児(なりたきょうじ)

四代目祭林組若頭補佐。39歳。祭林組で行われるカラオケ大会の罰ゲームをなんとしても避けたいがため、聡実に歌のレッスンをお願いする。ふざけたところもあるが、聡実には非常に優しく、気遣いのできる大人。

組長(くみちょう)

狂児が世話になっている祭林組の組長。カラオケ好きで組員を集めてカラオケ大会をおこなう。絶対音感があり、参加者の歌に評価を下す。カラオケ以外に刺青を入れることに凝り出し始め、カラオケ大会の最下位の組員に独特な刺青を彫ることが恒例となっている。

和田(わだ)

森丘中学校の合唱部部員。聡実の後輩で高音部パートが出せる。夏の合唱祭で、聡実に何かあったときの代役に抜擢される。

木村先生(きむらせんせい)

森丘中学校の合唱部顧問。中学3年生にとって最後の夏の合唱祭で、ソロパートに聡実を選ぶ。同時に和田を代役に指名する。

聡実の母(さとみのはは)

聡実が狂児に拉致され、課外活動に参加できなかったことを叱りながらもおおらかな対応。聡実のよき母。

祭林組の元組員(まつりばやしぐみのもとくみいん)

コカインのやりすぎで組長に破門された。たまたま聡実にからんでいるところに狂児が現れ助ける。そのことで、狂児に恨みを持つことに。

 

『カラオケ行こ!』あらすじ

 

中学3年生の岡聡実は、合唱部の部長を務めています。ある合唱コンクールへの参加後、ヤクザの成田狂児に「カラオケ行こ!」と声を掛けられることに。狂児は祭林組の若頭補佐で、組長が主催するカラオケ大会に向けて、歌のレッスンを聡実に依頼します。

なぜなら、そのカラオケ大会では、最下位となった組員に組長からの恐ろしい罰ゲームが待っているからでした。最初は嫌がりつつも、徐々に狂児と打ち解けていく聡実。彼もまた、人知れず大きな悩みを抱えていました。

8月11日。それは、聡実にとっては中学生最後の合唱祭、狂児にとっては運命のカラオケ大会の日です。その日に向けて、しばらくは会わずにそれぞれで練習することに。

合唱祭当日、会場に向かう聡実でしたが、その途中、車同士の接触事故現場を目撃します。その車のひとつは狂児のもの。被害者が酷いケガで病院に運ばれたことを知り、居ても立っても居られない聡実は、カラオケ大会の会場に向かうのでした。

そこで、組長から狂児が地獄に行ったと聞かされた聡実は……。

著者
和山 やま
出版日

 

『カラオケ行こ!』魅力その1:独特のユーモアセンス

『カラオケ行こ!』の原作者・和山やまは、今最も注目を浴びている漫画家です。その独特なユーモアセンスに多くのファンが魅了されており、芸能界でも綾野剛や米津玄師などがSNS上で紹介しています。

和山やまの作品は、いわゆるギャグ漫画というよりも、コメディといった方がしっくりくるかもしれません。『カラオケ行こ!』をみても、そのセリフ回し響きテンポ感はほかの誰にも真似することができない独特なもの。まるでコントを見ているようです。

この作品に関しては、軽快にみえる笑い感情を露わにする部分とがうまく融合し、またそれも作品の味となっています。読者はその世界観にどっぷり浸かることで、笑いとある種の感動といった快感に溺れることでしょう。

『カラオケ行こ!』

 

『カラオケ行こ!』魅力その2:シリアスな絵柄に低いテンションの笑い

『カラオケ行こ!』だけでなく和山やま作品の絵柄はみなシリアスに描かれています。そのシリアスな絵柄低いテンションで放たれる笑い。この微妙な加減が作者の面白さのひとつです。それは、野中英次の『魁!!クロマティ高校』から多大なる影響を受けたと作者自身が語っています。

『カラオケ行こ!』に関しても、登場人物や背景などをシリアスな絵柄で描き、作品全体を低いテンションで描いてます。そこに、絶妙なテンポでのセリフコマ割りなどの効果により、不思議な笑いが生まれます

キャラクター造詣も秀逸で、特に『カラオケ行こ!』では、組員を個性豊かに面白おかしく描いています。この作品は全編デジタルで書かれているので、線も太く、それがヤクザの存在感を表し迫力あるものに。繊細なタッチとは異なるインパクトで、さらに笑わせてくれます。

『カラオケ行こ!』

 

『カラオケ行こ!』魅力その3:日常にある「おかしみ」

落語や滑稽本などみてもわかるように、昔から「おかしみ」のある話は人気がありました。『カラオケ行こ!』の作者・和山やまの持つ独特なユーモアこそが、日本人が昔から好んできた「おかしみ」そのものなのでしょう。

『カラオケ行こ!』だけでなく、和山作品の中にある「おかしみ」は特別なものはありません。私たちの日常にある、ちょっとした笑い。それらをうまく作品中に取り入れています。これは作者が日頃から、鋭い人間観察を行っているからではないでしょうか。

日常のたわいない出来事を、豊かな観察力や感性で作品に生かす力。それこそが、『カラオケ行こ!』をはじめ和山作品の魅力にほかならないのでしょう。

『カラオケ行こ!』

 

『カラオケ行こ!』はBLなのか!

 

和山やまの初のコミックス『夢中さ、きみに。』も『カラオケ行こ!』に関しても、BL作品なのかどうかが論点になることがあります。それは、和山が漫画を描くきっかけになったのが、高校2年生の時に読んだBL作品だったからかもしれません。

あるインタビューでこのことについて語っています。ちょうどその頃、BL作品に影響を受けて自身も漫画を書き始めたそうです。結局のところ恋愛部分がうまく書けず、方向転換しました。

『カラオケ行こ!』に関しても、聡実と狂児の関係は恋愛と呼ぶまでには至っておらず、男の友情よりももっと深い絆を感じます。その微妙なラインがBLなのかどうか、はっきりしないところなのでしょう。とはいえ、なんとなく匂わせているような、いないような……。

ただ、2人の関係が性別を超えたところで魅力的であるということは言うまでもありません。この関係性があるからこそ、多くの読者がこの作品に魅了されているのでしょう。BL作品として捉えるかどうかは、読者次第ということですね。

『カラオケ行こ!』
著者
和山 やま
出版日
著者
和山やま
出版日

 

『カラオケ行こ!』を読んだら『ファミレス行こ。』へ!

『カラオケ行こ!』は、『夢中さ、きみに。』と同じビームコミックスより発売されました。同時期、初の連載となる『女の園の星』もコミック化され、話題となりました。

そんな『カラオケ行こ!』は全1巻となっていますが、聡実と狂児のその後を描く『ファミレス行こ。』が、2020年12月より、「コミックビーム」にて不定期連載されることに。2021年8月号には最新第3話が掲載されました。次回は2021年10月号に掲載予定です。

『カラオケ行こ!』を読んだ人は、『ファミレス行こ。』もぜひおすすめです。大学生になった聡実を見ることができます。面白さはもちろん健在です。

月刊コミックビーム 2020年12月号

2020/11/12
 
KADOKAWA 

購入を検討したい方はこちらからどうぞ。

 

まとめ

話題の漫画家・和山やまのやっぱり面白い漫画『カラオケ行こ!』。中学生とヤクザのコンビと聞いただけで、期待してしまいますね。いつものユーモアはもちろんのこと、主人公聡実と狂児の関係に、時に笑い時に感動することも。未読の方は、ぜひ読んでほしい作品です。全作品コンプリ―トし、和山ワールドに浸ってみることもおすすめします。

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