2018年からヤングジャンプで連載が始まった『シャドーハウス』。さほど珍しくない「ゴシック×ミステリー」作品ですが、読んでみるとその唯一無二の設定と圧倒的な世界観に引き込まれてしまいます。 評判は評判を呼び、ついにはあの約束のネバーランドの原作者・白井カイウ先生も絶賛!なぜ『シャドーハウス』はここまで評価されているのでしょうか? 2021年にはテレビアニメ化もされ、さらにアニメ2期の放送が決定した本作の魅力を、余すところなく紹介しましょう。
誰も訪れることにない不思議な洋館『シャドーハウス』。ここには貴族のまね事をする顔のない一族「シャドー」と、その世話係兼顔役を務める「生き人形」が暮らしていました。
生き人形の1人であるエミリコは、顔のない主人・ケイトのお世話や顔役として奮闘する日々を送っていました。大掃除や授業で他の生き人形と交流したり、ケイトから様々なことを教わったり、シャドーの役に立とうと尽力。
そんな底抜けに明るいエミリコは、ケイトだけでなく、多くの生き人形やシャドーに変化をもたらすことになります。
やがて、子どものシャドーが成人として認められるための試験、『お披露目』の日がやってきました。エミリコとケイトは十分な準備が出来ないまま『お披露目』に挑むものの、いくつもの試練を乗り越えてどうにか『お披露目』突破。
エミリコは正式にケイトの「顔」となり、ケイトも成人として扱われることに。しかし、この日を境に、シャドーハウスの謎が明かされていくのでした。
2021年4月から『シャドーハウス』のアニメが放送されました。全13話の1クール放送でしたが、11話目からはアニメオリジナルでストーリーが進行しています。アニメオリジナルストーリーを考えたのは、原作者であるソウマトウ先生です。実は、原作漫画の執筆時の初期案を使用したのだとか。
ソウマトウ先生直筆のアニオリストーリーも素晴らしいのですが、なんといっても、『シャドーハウス』の世界観を完全再現した作画も必見!制作会社は、『ダーリン・イン・ザ・フランキス』や『約束のネバーランド』、『Fate/Grand Order』で知られるCloverWorksです。CloverWorksは神作画で有名な会社で、『シャドーハウス』でもその技術を遺憾なく発揮しています。
また、声優にもこだわりが詰まっています。本作において、シャドーと生き人形は表裏一体の存在。そのため、基本的に声優はシャドーと生き人形を一人二役で演じています。しかし、ケイトとエミリコはそれぞれ別の声優が演じているんです。
これは、ケイトとエミリコを別の存在として扱っているからだと考えられます。原作者のソウマトウ先生は、登場人物が多いので他のシャドーと生き人形の声優を分けなかったと話していました。しかし、ケイトとエミリコだけは声優を分けていますよね。
後述しますが、ケイトはエミリコを単なる生き人形だと考えておらず、エミリコの「個」を尊重しています。だからこそ、ケイトとエミリコは別の声優が演じることになったのでしょう。
2021年9月11日、作者のソウマトウ先生のツイッターで、テレビアニメ2期の制作決定が発表されました!
もともと1クールだけの放送だったのでアニメオリジナルストーリーできれいにまとめたようですが、2期では待望のローブ様編をやるとのこと。ローブ様編から物語が一気に加速しますので、今からアニメ2期の放送が楽しみですね
ちなみに『シャドーハウス』は、となりのヤングジャンプおよび、ヤングジャンプのアプリ(ヤンジャン!)から無料で読むことが出来ます。
アニメ2期が始まる前にぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
2018年から連載され、瞬く間にSNSで話題となった『シャドーハウス』。話題は話題を呼び、あの『約束のネバーランド』の原作者・白井カイウ先生も称賛の声をあげています。
このように各方面から注目されている『シャドーハウス』ですが、一体どんなところが評価されているのでしょうか?
ここからは『シャドーハウス』の魅力を紹介しますので、興味を持っていただけたら幸いです。
本作が最も評価されている点は、唯一無二の世界観でしょう。今までもゴシック館ミステリーを題材にした漫画はありましたが、そのどれとも似た要素がないのです。
例えば、『シャドーハウス』の舞台となる館。同じような館を舞台にしている作品は数多くありますが、ここにミステリー要素が加わります。しかし、館を舞台にした漫画にありがちな「ゴシックロリータ」でもなく、「ホラー」でもないのです。さらに、ミステリー要素があると言っても、頻繁に事件が起こるわけでもなければ、主人公たちが謎を解決していく謎解き漫画でもないのです。むしろ、物語序盤はほのぼのとした日常ものといっても過言ではありません。
そして、顔のない一族『シャドー(影)』と、その顔の役割を果たす『生き人形』が物語の中心となりますが、ここも『シャドーハウス』が『類似作品不在』といわれる所以でしょう。
主人公の顔が見えず、顔の役割をする人形と行動を共にする。シャドーと生き人形は2人で1つ。そんな設定の作品が今まであったでしょうか?もちろん、絵のない小説ではある設定かもしれません。しかし、絵が売りとなる漫画ではどうでしょうか?仮面で素顔を隠している作品はあっても、黒塗りの主人公なんて見たことがないですよね。
こういった点も『シャドーハウス』が『類似作品不在』といわれる理由でしょうね。
『シャドーハウス』の凄いところは、エピソードによって作風が変わるところです。
基本的にシャドーと生き人形はミラーハウスと呼ばれる館で生活をしています。館という閉鎖的な空間で、しかも、主人公たちがこの館から出ることは基本的にありません。普通、舞台が一つだけといえば無人島や閉鎖的な空間(豪華客船や学校、ビル)を生き抜くサバイバル系、密室空間で謎解きをするミステリー・サスペンス系があげられますが、シャドーハウスはそのどれとも異なっています。
まず、1巻。物語の掴みとなる重要な部分になりますが、1巻を読んでもシャドーが何なのか、生き人形とは何なのか、全くわかりません。シャドーであるケイトと、ケイトの生き人形であるエミリコが送る平凡な日常が描かれているだけ。ところどころに不穏な要素が垣間見えますが、基本的にはほのぼのとした作風で物語が進みます。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
- 2019-01-18
続いて2巻。ようやくケイトとエミリコ以外のキャラクターが登場し、様々な出来事が起こり始めます。徐々にシャドーに関する情報が開示され、ミステリー要素が強まっていきます。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
- 2019-05-17
このままミステリー系になるのかと思いきや、3巻ではまた作風が変わります。今度は主人公たちがあらゆる困難を乗り越える友情&アドベンチャー系に変化。シャドーが成人として認められる「お披露目」が終わるまでは友情&アドベンチャーものとして物語が進み、4巻43話までこの作風が保たれます。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
- 2019-09-19
そして4巻44話以降は、シャドー家の全容が明かされ、目的のためにケイトやエミリコが行動を起こすミステリー&アクションものに変化するのです。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
一貫してホラーやサスペンス要素があるものの、コメディやアクション、アドベンチャー、友情要素まで含んでいるので、一概に「シャドーハウスは○○だ!」と断言することが出来ません。しかし、ころころ変わる作風とあらゆる要素を含んだ奇抜さは、まさに「類似作品不在」。あらゆる要素を含んでいるからこそ、好き嫌いがはっきりしている人に読んでもらいたい作品です。
上記で説明した通り、シャドーハウスはあらゆる要素を含んでいます。しかし、その裏には「シャドーとは何なのか」「生き人形とは何なのか」という謎が常に付きまといます。
ほのぼのとした日常が描かれた1巻では、シャドーの特徴や生き人形の役割に関する説明があるものの、それらが一体何なのか、何のために存在しているのか全く分からず……むしろ、「読者はシャドーや生き人形を知っている」ものとして物語が進んでいくのです。
また、生き人形としてケイトの世話をするエミリコが何も知らないのもいいですね。読者は何も知らないエミリコに感情移入が出来ますし、何より、一緒に謎解きをしている感覚を味わうことが出来ます。その一方で、読者にはケイトだけが知っている情報も与えられ、エミリコの思考とケイトの情報を織り交ぜて考察が捗ります。
物語に変化が起きない1巻で脱落した人もいるでしょうが、2巻以降は絶対に面白いと思わせてくれるので、あきらめずに読み続けてください。読み進めていくと、1巻に張り巡らされた伏線に感心すること間違いなしです!
私が『シャドーハウス』を推す最たる理由は、平穏と不穏が隣り合わせるギャップにあります。本来混在するはずのないこの2つが、『シャドーハウス』の中では当たり前のように存在しているのです。
初めて『シャドーハウス』を読んだ時、すぐに思い浮かんだのが小川洋子さんの『薬指の標本』という小説です。『薬指の標本』は、勤め先の工場で薬指の先を失った若い女性が主人公。工場を辞めた彼女は人々が思い出の品を持ち込む標本室で働くようになり、そこで働く弟子丸という標本技術士と恋に落ちていくというもの。
- 著者
- 小川 洋子
- 出版日
- 1997-12-24
これだけ聞くと、『シャドーハウス』とのつながりが全く感じられませんよね。しかし、人々が標本室に持ってくるものは、一般的に「標本」と聞いて思い浮かべるものだけではなく、楽譜に書かれた音楽や、火傷の傷跡といった、有機物でもなければ形もないもの。物語の中ではそういった「今はここにないもの」が「依頼者の一部分になっている」として考えられ、さも当たり前のように処理されていくのです。
物語自体は大きな起伏がなく淡々と進んでいくのですが、「この世界はこれが当たり前」という普遍的な思考と、その裏にある不安要素が織りなす不安定さが絶妙なんです。そこに小川洋子特有の透明感のある文体と奇妙な世界観が重なり、何とも形容しがたい世界に引き込まれるのです。
『シャドーハウス』も、シャドーと生き人形は「当たり前」のように存在し、その裏では不穏な何かが起きています。この平穏と不穏が混在するギャップが小川洋子の世界観と重なり、衝撃を受けたことを覚えています。
また、小川洋子の小説に登場する主人公たちは明確な名前がありません。小説の中で人物を表す名前がないということは、漫画の中で顔がないことと同じ。このような世界観を作り出す原作担当のり先生と作画担当のひっし先生の頭の中を覗いてみたくて仕方ありません。
ぜひ、下記の小川洋子先生の小説を紹介する記事もお読みください。
小川洋子、初めて読むならどの作品?おすすめランキングベスト9
作家、小川洋子といえばやはり、映画化もされた『博士の愛した数式』をご存じの方が一番多いのではないでしょうか。しかしそれ以外にも、彼女の作品は多岐に渡ります。今回はそんな小川洋子作品を厳選して紹介します。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
『シャドーハウス』ではたくさんのシャドーと生き人形が暮らしています。そのどれもが秀逸なキャラデザで、読者を飽きさせません。
さっそく『シャドーハウス』を彩る優雅で不気味なキャラクター達を紹介しましょう!
50対のシャドーとその生き人形、計100人が暮らす「こどもの棟」。趣味の部屋や大広間がある「メインハウス」、各シャドーの個室がある「ウェストウィング」、星つきの住む場所から成り立つ。
また、班編成は基本3対か4対で構成され、現在は星つきを除いて12班存在。
ケイト(CV:鬼頭明里)
本作の主人公で、エミリコの主。エミリコの「個」を尊重し、自分とは全く異なる名前を付けた。煤量が多く、怒ったときや不安を感じたときは大量の煤で部屋を汚すことも。
モーフ時代の記憶を持っており、シャドーハウスや「偉大なるおじい様」に対して疑惑を持っている。
すすを操り物体の操作が可能。
本作のもう一人の主人公。常に前向きで天真爛漫。「お花畑」と馬鹿にされることもあるが、その底抜けに明るくポジティブな性格は周囲にも影響を及ぼす。
やる気はあるものの、ミスをすることが多い。パンが大好物で、ケイトからもらった布で作ったぬいぐるみに「パンちゃん」と名付けた。
サラ(CV:大西沙織)
※上図
出世欲が強く、星つきを目指している。すす量は多いものの、能力は未覚醒。お披露目前にケイトとエミリコと遭遇した際、エミリコを丁寧な口調で蔑んだ。
エリート願望からかミアを厳しく躾けている。
ミア(CV:大西沙織)
※下図
サラの生き人形。おしゃべりで元気な性格はエミリコと気が合う様子。文字を勉強中のエミリコとは異なり、生み出された時から文字が読めたとのこと。優秀な生き人形ではあるが、サラのプレッシャーに押しつぶされそうになることも。
サラの躾けにより体には無数の傷がある。
※上図
男装と陽気で男性的な話しぶりで、エミリコが「女性?」と混乱したシャドー。ベンジャミンこどもたちの棟では最年長で、バーバラと同期。
煤量は少なく、ケイトと同じくモーフ時代の記憶がある。
※下図
マリーローズの生き人形で、エミリコが最初に配属されたローズ班の班長。主であるマリーローズとは異なり、おっとりした性格。誰にでも優しいが、バービーからは「ぼんくら」と蔑まれている。
※左図
おしゃべりで楽しいことが大好き。自分の顔であるルウを溺愛しているが、執着しているのは顔だけ。体の傷や疲労は全く気にしていなかったが、次第にルウを気遣う素振りをみせるように。
煤量は普通で、生き人形の精神に干渉する能力を持つ。
※右図
ルイーズの生き人形。ルイーズが溺愛するほど端正で可愛らしい見た目だが、口数が少なく、何を考えているのか分からない。主のルイーズに従順で、自分で物事を決めることが苦手。
お披露目後はエミリコに感化されたのか、笑顔を見せるようになった。
※左画像
生き人形のラムですら感情が読み取れないほど、無口で何を考えているか分からないシャドー。煤量は極めて少なく、感情が荒ぶることもないため、普段の生活ですすを出すことがほとんどない。そのためかラムと信頼関係を築けておらず、寝る前の「おやすみのキス」もしていなかった。
※右画像
シャーリーの生き人形。引っ込み思案で自信がなく、班のメンバーから「無能」と呼ばれていた。
実は主人であるシャーリーとは会話をしたことがなく、「ラム」という名前は、リボンを付けた左手の人差し指・ラミーが名付けてくれたとのこと。
※画像1.2枚目
双子のシャドー。イザベルが姉でミラベルが妹だが、明確な見分け方はない。2人そろって性格が悪く、班員からは「心が醜い」といわれている。
煤量は普通で、精神系の能力を持っているようだが、詳しい内容は分かっていない。
ベル(CV:大久保瑠美)
イザベラとミラベルの生き人形だが、どちらがイザベラでどちらがミラベルの顔かはっきりしていない。そのため、2人とも同じ名前で呼ばれている。
主であるイザベル・ミラベルと同様、意地悪で冷酷な性格をしている。2人で一つとみなされているので一人分の仕事しか与えられておらず、空いた時間で星つきに媚びを売っていた。
※左図
自由奔放で強引な性格だが、たまに頼もしい一面を見せる。ケイトに一目ぼれしており、婚約者になってほしいと迫った。実はお披露目の前にケイトをエミリコを見かけており、自分とショーンも2人のような関係を築きたいと思うように。そのため、生き人形であるショーンには、もっと自分の意思を示すよう諭した。
煤量がとても多く、固めたすすで岩をも砕くパンチを繰り出す。
ショーン(CV:酒井広大)
※右図
ジョンの生き人形だが、ジョンとは違い、冷静沈着。ジョンに合わせて裸眼で過ごしているが、本当は眼鏡をかける必要がある。しかし、これはジョンに強制されたわけではなく、ショーンが自らの意志でかけていないだけ。
同期の中でだれよりも知識が豊富で力が強く、正義感にあふれる男だが、リッキーとだけは仲が悪い。
※右図
自らを優秀な貴族に見せるべく振舞っているが、まだ幼く、どうしても行動や言動が伴わない。プライドが高く、繊細で傷つきやすいため、生き人形であるリッキーに頼ることが多い。
煤量が少なく、お披露目に合格するものの、すす能力は覚醒していない。
※左図
パトリックの生き人形。強気で自信家だが、パトリックには従順。生き人形はシャドーを差し置いて前に出ることはないが、パトリックよりリッキーの方が賢いので、結果的にリッキーが先導しているような状態。
同期であるショーンとは犬猿の仲。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
「こどもたちの棟」を管理する4対のシャドーと生き人形をこう呼ぶ。「こどもたちの棟」では絶対的な権力者だが、「おじい様と共にある棟」の住人には逆らえない。
※上図
子どもたちの棟のリーダー。生き人形であるバービーと同じく怒りっぽいが、言葉遣いは丁寧で、公正な判断を下すことに長けている。
シャドーハウスのすすの6割はバーバラから出ているが、時折、自分でも制御できないほど多量の煤が出る発作に苦しめられている。
※下図
子どもたちの棟の生き人形をまとめるリーダーでバーバラの生き人形。常にハンドベルを携帯し、何かあるとハンドベルをせわしなく鳴らす。かなり攻撃的な性格で手が出ることもあるため、人望は皆無。
発作に苦しむバーバラを罵倒するが、これはより多くの煤を出させるためであり、決してバーバラのことが嫌いでなわけではない。むしろ、リーダーという大変な役職をこなすバーバラを尊敬している。
※左画像
救護班の班長と、能力が覚醒したシャドーの教育係を兼任している。普段は優しくて気さくだが、怒ると周りが見えなくなることも。
煤量は普通だが、薄い膜のようなすすを張り巡らせる能力を持つ。すすには触覚があり、人に纏わせたりドアや通路に張ることでセンサーのように使うことが出来る。
※右画像
スザンナの生き人形。シャドーたちと別行動の時は仕事を任されることもあり、信頼関係を築けている様子。
バービーが不在の時は司令塔を務めるが、決断力に欠けるため正しい判断が出来ない。喜びの会で使用する「珈琲」の管理を任されている。
※左画像
書記を担当しているが、文系ではなく肉体派。荒っぽく強引だが、仲間の気遣いが出来る優しさも持ち合わせている。
生き人形の感情に干渉できる能力(士気を高める)を持っており、多少射程範囲を外れても作用可能。煤量がとても多く、その量は、子どもたちの棟にいる生き人形全員を操ることが出来るほど。
※右画像
ベンジャミンの生き人形で、主人と共に体を鍛えているため体格がよく、威圧感がある。他の星つきの生き人形と違い、所属班はない。
その屈強な肉体を生かし、こびりつきや亡霊を倒すことも。ルウと同じく無表情で無口だが、これが主人の影響かどうかは分からない。
※左画像
研究班に所属する発明家で、奇想天外な行動をとる。生き人形であるオリバーを助手のように扱い、香水からすす回収機まで、様々なものを発明。エミリコとケイトを気に入っており、いつでもラボに来られるようにとカギを与えた。
煤量やすす能力については不明である。
※右画像
オリバーの生き人形で、主であるオリバーを「先生」と呼んで崇拝している。主人と同様、何事にもポジティブ思考で、失敗も恐れずあらゆる発明に手を出す。
「特別な生き人形」が住む棟。「こどもたちの棟」とは長い渡り廊下でつながっている。1階、2階、3階と、更なる階級が存在する。
おじい様の右腕たちが揃う。生き人形から「顔」を奪い、一体化も済んだ存在。
シャドー家を統率するシャドーハウスの王。生き人形からは「生き人形の生みの親」「偉大なる創造主様」と呼ばれている。
摂取した生き人形に自身を崇拝させるすすを生み出し、それを混ぜた「特別な珈琲」を飲ませることで生き人形を支配している。
※左上画像
天然パーマと、青白く目つきの悪い顔が特徴。嗜虐的な思考を持っており、エドワードの用意した「お披露目」を楽しんでいた。
繊細で、乗り物に酔いやすい。
※右上画像
黒髪のロングヘアーが特徴の美女。ティアラをつけたり、胸元が開いたドレスを着たりと、美への執着がうかがえる。
退屈を嫌い、常に娯楽を求めている。
※左下画像
他の3人に比べると、落ち着きのあるシャドー。あまり感情が荒ぶることはなく、常に公平で、保守的な考えを持っている。
※右下画像
シャドーたちの煤量に執着する淑女。普段は顔は出ていないが、煤量に興奮すると顔が露出する。高く盛られた髪の毛には蝶の髪飾りがついており、口からは蝶のようなストロー状の口吻が伸びる。
「顔」との一体化を済ませた存在。3階への昇格を目指す。
こどもたちの棟の管理者で、お披露目の試験官。完璧主義者で、自分の思い通りにならないことが嫌い。
音波の操作が可能で、男性でありながら女性声を出したり、耳に直接ダメージを与えることが出来る。
頭をすっぽり覆うような帽子をかぶり、体のラインが出るドレスを着用している。同期であるエドワードの性格を熟知しているが、完璧主義なところには呆れている様子。
すすを鳥のように変形する「すすバト」を操り、離れたシャドーや生き人形に文字を伝えることが出来る。
肩まである黒髪のおかっぱの男性シャドー。エドワードとアイリーンは同期だが、なぜか敬語で話している。とても慎重な性格で、出世欲の強いエドワードを咎めることも。
ケイトと同じくすすの遠隔操作が可能。お披露目では、3階の住人が見やすいように、地図上で生き人形の駒を操っていた。
※左図
バーバラの前任となる、元星つきのリーダー。現在の星つきの間ではその名前を出すことはタブーとされている。
類を見ないほど優秀なシャドーで、子どもたちの棟を良くするべく様々な功績を残した。「お呼ばれ」された後は一体化の真実を知り自害。
※右図
クリストファーの生き人形で、クリストファー同様、現在の星つきの間ではタブーな存在。クリストファーが星つきだったころは最高の世代と謳われていたが、陰の立役者はアンソニーである。
主であるクリストファーが自害した後、一人でこどもたちの棟に戻ってきた。心配するマリーローズたちに、真実を知ったクリストファーは自害したことを報告し、その後は姿をくらませる。
『シャドーハウス』をより深く理解するためには、作中に登場する基本用語を知っておかなければなりません。ここでは『シャドーハウス』に基本用語を解説していますので、ぜひ参考にご覧ください。
モーフがすす能力と人格を得た存在。全身が真っ黒で、常にすすを発生させている。そのため、触れた物はすすにまみれるので、生き人形によるお世話・掃除が必要不可欠。
擬態と模倣が得意な寄生型妖精。もともとは親指ほどの大きさで、細い手足のようなものがついている。シャドーになる過程でモーフの記憶は消えるが、中には記憶を保持したままシャドーになるものもいる。
シャドーから発生する。感情が不安定になった時に頭上から出ることが多いが、手から発生させることも可能。すすの量が多ければ多いほど評価が高い。すすは一か所に集められ、「すす炭」という燃料になる。
すすを操る力。シャドーごとに能力が異なり、ケイトやジョンのような物理的に作用するもの、ルイーズのような精神的に作用するものがある。
生き人形がすすを取り込んでしまった時に起きる。「こびりつき」に襲われた時に起きやすく、大量の水を飲むことで治療できるが、詳しいことは分かっていない。
すすが集まり、悪意を持って動き出したものをこう呼ぶ。こびりつきの集合体は亡霊と呼ばれ、水をかけることで退治可能。
「偉大なるおじい様」に命を吹き込んでもらった人形。精巧な作りをしているので水に浸かっても壊れたりはしないが、ケガや死は「壊れた」として処理される。シャドーハウスについて余計なことを考えてはいけない、とされている。
シャドー1人につき生き人形が1体あてがわれ、身の回りの世話や、主の「顔」として感情を表現する。個体によって個人差があり、生まれたときから文字を読めるものや、視力が悪いものなどさまざま。
生き人形と一体化したシャドー。エドワードが自分たちの存在を説明する際に使用したが、正式名称であるかどうかは不明。
常に顔が見えないベール付きの衣服をまとった人形。指示に従って動くだけで、会話や反応は不可能。食事や着替えの用意、お披露目の準備などで登場。
シャドーと生き人形の適性を調べ、シャドー家に有用かどうかを判断する儀式。お披露目を突破したシャドーは「顔つき」、つまり、成人として扱われるようになる。
週に一度、大掃除の後に生き人形だけが集められる会。星つきによって配られるスプーン一杯程度の珈琲を飲み、シャドーハウスにおけるルールを復唱する。
「おじい様と共にある棟」に居住を移すこと。こどもたちは「お呼ばれした」=「大人になった」と理解している。お呼ばれしたシャドーと生き人形は「こどもたちの棟」に戻ってくることはなく、いつ、どんな基準でお呼ばれされるのか分かっていない。
シャドーが生き人形の体を奪い、意思を乗っ取ること。お呼ばれされたシャドーと生き人形が「完成の箱」に入り、1~2週間かけて一体化する。シャドーは自身と生き人形を巨大な繭で包み込み、ゆっくりと生き人形の自我や肉体を乗っ取る。失敗すればシャドーも生き人形も死亡するが、成功率は高くない。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
シャドーハウスとは一体何なのでしょうか?ここからは真実に迫る内容が含まれますので、ご注意ください。
物語の序盤、『貴族の真似事をする一族』として紹介されたシャドー家。しかし、物語が進むにつれ、シャドーはモーフが人格を得た姿であることが判明します。モーフとは擬態と模倣を得意とする寄生型妖精で、シャドーになるまでに3つの段階を踏みます。この流れを確立したのが、他でもないシャドーハウスの王・偉大なるおじい様でした。
まず1段階目では、モーフに生き人形を見せて人の姿を認知させ、擬態させます。『シャドーハウス』1巻ではすでにエミリコとケイトが一緒に生活をしているので、この段階は描かれていません。
2段階目になると、擬態したモーフと生き人形を触れ合わせ、人格を習得する段階に移ります。この段階がこどもたちの棟で行われる、シャドーと生き人形の普段通りの生活にあたります。シャドーは生き人形に自分の名前にちなんだ名前を付け、身の回りの世話をしてもらいます。この過程で生き人形の性格、動作、感情を模倣し、より完全な存在へと進化。もともと生命力の弱い個体は2この段階で人格を得られず、死んでいきます。お披露目を突破できなかったシャーリーがいい例といえますね。
ちなみに、『シャドーハウス』1巻ではすでにケイトの生き人形は「エミリコ」と呼ばれていました。本来、生き人形は、お仕えするシャドーにちなんだ名前を付けられます。しかし、エミリコの名前はケイトが読んでいた本の主人公・エミリーから名付けられました。これは個性を大切にするケイトが、「その方がへんてこでより合っているから」と思ったからだそう。原作漫画では描かれませんでしたが、アニメ3話でしっかりと説明されました。
3段階目は、すす能力の覚醒と一体化。つまり、生き人形の肉体を乗っ取り、顔を得る段階となります。ただの小さな存在だったモーフは、すす能力を手に入れ、人を超越した完全なる存在へと変貌を遂げるのです。
しかし、お披露目を突破した生命力の強い個体であっても、必ずしも一体化が成功するわけではありません。エドワードの管理下では2対の一体化が行われましたが、1対しか成功せず。また、前任のトマスは失敗続きだったため、管理者の仕事を下ろされています。となると、一体化の成功率は50%以下。つまり、同期3対が成功したエドワード、アイリーン、ジェラルドは驚異の成功率といえますね。
シャドーと対になる生き人形。彼らは精巧に作られた人形で、水に浸っても壊れないくらい頑丈に作られています。
しかし、これは完全なる嘘。生き人形の正体は人間で、シャドーハウスの近くの村・ミラーサイドから調達されていたのです。調達された子供たちは偉大なるおじい様の煤入り珈琲を飲まされ、シャドーハウスに身を捧げることに。ちなみに、生き人形が人間であるという伏線は1巻から張られていました。食事をとらなければ空腹になる、水に浸かっても大丈夫なほど頑丈、個体によって文字を読めるものや目が悪いものがいる、休まなければ疲労を感じる……今思えばこれらはすべて伏線だったんです。4巻で生き人形が正体が人間だと明かされてから1巻を読み返すと、いたるところに伏線が張られていることに驚くでしょう。
ちなみに、ミラーサイドから子供を調達することに対し、大人たちは反抗しないのかと疑問に思う人もいるでしょう。実は、ミラーサイドでは子供たちがシャドーハウスに行くことが名誉だと考えられていました。シャドーハウスに招かれた子供の家族は一生の生活が保障されるからです。もちろん、子供たちがシャドーハウスでどんな仕打ちを受けているのかは知らず、最終的にシャドーに取り込まれていることも知りません。親が子供の末路を知らないまま喜んで差し出す様はまさに狂気。はたから見れば異常な村ですが、村人はすす炭から出るすすを日常的に吸っているため、正常な判断が出来ないのです。
同時期にお披露目に参加したエミリコ、ショーン、リッキー、ルウ、ラムの5人。SNS上で「同期組」と呼ばれる彼らですが、実はシャドーハウスに来る前から同期だったことが判明しました。
もともとエミリコを除いた4人はミラーサイドで暮らしていました。ある日、村にやって来たサーカスを見に行くと、同じ年齢くらいの少女が芸を披露し失敗。サーカスを見終わった4人が帰ろうとすると、先ほどの少女が物陰にうずくまって泣いているのを発見します。この少女がエミリコでした。エミリコがサーカスで不当な扱いを受けていると知った4人は、エミリコもシャドーハウスで働く選別会に参加してはどうかと提案。エミリコもこれに賛同し、選別会の参加名簿に名前を記入するのですが…!?
ここでエミリコが書いた名前はなんと、ケイト。そして、他の4人の名前は、ジョン、パトリック、ルイーズ、シャーリー。
つまり、もともとシャドーのものと思われた名前は、モーフが擬態する元となった人間のもの。
となると、エミリコの本当の名前はケイト、ということになりますよね。しかし、エミリコとケイトの関係だけは、他のシャドーと生き人形のものとは異なっていました。
現在、ヤングジャンプ本誌ではケイトの正体、シャドーハウスとミラーハウスの関係などが明かされていますので、ぜひそちらをご覧ください。
『シャドーハウス』はとなりのヤングジャンプ、および、ヤンジャン!で読むことが出来るので、ご活用ください。
マリーローズとローズマリーが「お呼ばれ」され、『おじい様と共にある棟』に繋がる『栄光の廊下』で事件を起こした後、ケイトとエミリコの前にローブ様の姿をしたアンソニーが現れました。
彼の目的はこどもたちの棟を統率してシャドーハウスに反旗を翻すこと。人間であるアンソニーに出来ることは少なく、自分の計画に賛同してくれる協力者が現れるまで館に潜んでいたのでしょう。
しかし、人間である彼は、なぜシャドーハウスに反抗するのでしょうか。館の在り方に疑問を抱くのであれば、村に戻り、真実を語ればいいだけ。わざわざすす能力を持つシャドー家に反旗を翻すということは、まだ明かされていないシャドー家の謎があるのでしょうか?
そもそもクリストファーが自害したという情報も、真実かどうかわからないですよね。マリーローズはクリストファーを信頼していたものの、アンソニーは「仲間」だと思っていないようですし……彼がこれからどう動くのか注目しましょう!
一体化を拒否し、館の外に身を投げたマリーローズとローズマリー。崖下には空気を含んだ巨大な亡霊を用意して、落下の衝撃を和らげるつもりでした。しかし、実際に2人が助かったという情報はなく、その後も一切登場していません。落下による死亡は免れたとしても、森の中をさまよう内に野垂れ死ぬ可能性もあります。
果たして2人は本当に死んでしまったのでしょうか?そもそもシャドーは落下した程度で死ぬのでしょうか?人間であるローズマリーが死ぬのは分かりますが、もともとシャドーは妖精ですし、お披露目で落ちる、一体化に失敗する以外で死ぬとは考えられません。
ケイトが本格的に動き出す際に再登場して力を貸してくれることを期待しましょう。
人間を攫ってきて物のように扱うシャドーハウス。そんな狂気の館に疑問を抱いたケイトは、シャドーハウスの王・偉大なるおじい様に対抗することを決意します。
そのためにまずはジョンやパトリック、ルイーズを仲間に誘い入れ、館に対抗するための力を蓄えることに。ですが、その過程でサラの反感を買ってしまいます。エドワードはそこに付け入り、サラと、出世欲の強いダグラスを手中に収め、星つきを通さずにこどもたちの棟の情報を得ることに。
星つきが反乱分子だと睨むエドワードと、いつまでも大人になれないバーバラが落ちこぼれ達を先導して反乱を起こそうとしていると考えるサラとダグラス。さらに館に潜むアンソニーはサラとダグラスの会話を盗み聞きしていて……
偉大なるおじい様に反旗を翻したいケイトですが、あらゆる困難が立ちはだかり、なかなか前に進むことが出来ません。すす入り珈琲をすり替えて生き人形たちが疑問を抱くように仕向けるまでは成功しましたが、ここからうまく進むのでしょうか?
洗脳が薄れてきて過去の記憶を思い出した生き人形もいますが、エドワードが黙っているわけがありません。また、反乱を起こしたとしても、偉大なるおじい様にたどり着くまでに、強力なすす能力を持った大人のシャドーが立ちはだかるはず。
ケイトの生い立ちや生き人形の洗脳が解け始め、徐々に核心に迫っている『シャドーハウス』。しかし、ケイトが偉大なるおじい様と直接対決となるのはまだまだ先になりそうですね。
モーフがシャドーになる三段階を確立し、シャドーハウスだけでなくミラーサイドまでも支配した偉大なるおじい様。
一体、彼の目的は何なのでしょうか?人間を支配下に置き、すす能力に長けたシャドーを集め、適性のないものは容赦なく斬り捨てる過程は、まさにシャドーの軍隊をつくっているかのよう。
もともシャドーハウスはミラーハウスと呼ばれ、ミラー家という貴族が住んでいました。そこにペットとしてやってきたのがモーフです。モーフがやってきてからミラー家では原因不明の相次ぎました。そして、知らぬ間に増えたモーフが人間に襲い掛かり、人々はミラーハウスから逃げ出しました。モーフは逃げる人々を追いかけますが、その中にはモーフ共に人間を追う人影もあったようです。
ケイトは偉大なるおじい様を「全ての元凶」と呼んでいましたが、もしかしてペットとしてミラー家にやってきたモーフが偉大なるおじい様なのではないでしょうか?ペットのモーフがひどい扱いを受ける描写はありませんが、何かがきっかけとなり、自分たち(モーフ)は人間を超越した存在になれると気づいたのでしょう。
偉大なるおじい様についての詳細がほとんど明らかになっていないので、今後を期待しましょう。
- 著者
- ソウマトウ
- 出版日
いかがでしたでしょうか?
『シャドーハウス』はアニメ2期の制作も決定し、いま大注目の作品です。となりのヤングジャンプ、および、ヤンジャンアプリで『シャドーハウス』を楽しめるので、ぜひ本作の唯一無二の世界観をご堪能ください。
2022夏 アニメ・ドラマ化原作を特集!
2022夏季アニメ・ドラマ化した原作漫画・小説の紹介記事をまとめました