5分でわかるグリズリーの生態!!ホッキョクグマとの関係性とは?

更新:2022.9.19

クマといえば地上生物において最強とも言われる大型哺乳類です。凶暴なイメージもあるクマですが、今回は世界的にも有名なグリズリーの生態とグリズリーに関連する書籍を紹介します。

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グリズリーの特徴は?

クマは世界に8種類が分布していて、グリズリーは主に北アメリカに分布していて、森林や自然が豊かな場所に生息します。

 

グリズリーは正式な名称ではなく、「ハイイログマ」が正しい呼び名です。

ヒグマの亜種とされ、日本に生息するエゾヒグマと近縁とされています。

 

ヒグマの特徴として筋肉質の肩のコブと、木の根や穴を掘るのに役立つ長い爪を持っています。 後ろ足で立つことができ、餌を見つけたり、危険がないか周りを見渡したり、威嚇として体を大きく見せるのに役立ちます。視力と聴力は人間ほどですが、嗅覚は非常に優れており3km以上先の腐った死体のにおいを嗅ぎ付けることもできるといいます。

 

 

肉食のイメージがあるグリズリーは、カロリーの高い食べ物を好み、もちろん魚や鹿を食べますが、実は75%の食事は木の実、ナッツ、そして葉等の植物からです。人間を襲うのは子供に危険を感じた時だけで、本来は人間に対しての警戒心が強い生き物です。

 

グリズリーは英語で「グリズル」という言葉から由来しており、毛先が灰色、白と暗色の混じりあった毛という意味があります。北米では、内陸で生活する種をグリズリー、沿岸で生活する種をヒグマ と呼ぶことが多いようですが、ヒグマと区別する明確な基準はないみたいです。

 

大型の雑食性哺乳類であり、その体長は180~260cm、体重110~530kgにもなります。この大きさでもシロクマの方が大きいです。大きい体ながらも非常に身体能力が高く、走ると時速約50kmとも言われ、泳ぐのも得意ですが、大きくなると木登りができなくなります。

 

 

ヨーロッパからの移民が徐々にハイイログマを駆除していったため、アメリカ本土には現在1000頭ほどしか残っていないと言われています。

グリズリーは冬眠するの?

 

食べる物が少なくなる冬になると、グリズリーは穴の中で冬眠して過ごします。

 

そのため秋になると産卵のために遡上してきたサーモンを捕るなど、冬眠前の食欲はかなり旺盛で一日1kg程度ずつ体重を増やし脂肪を蓄え、厳しい冬に備える。

 

冬眠中のハイイログマの心拍数は1分間に70回からたったの10回に下がり、代謝活性も減少し、食事もせず、排便も止まります。

クマの生活は主に三つのシーズンに分けることができ、5月に始まる「活動期」。9月末からの「旺盛な摂食期」。そして1月から春までの「冬眠期」です。

 

1月の末から2月にかけて冬眠中に2,3匹子供を産み、春まで小熊は母親のミルクを飲んで育ちます。

 

また木の皮などをこすっ たりすることで、意思疎通を行うことも 知られており、繁殖期に入ったメスがそのことをオスに伝えるのもこういったコミュニケーションを通して行っていると言われています。

冬眠の寝床には保温効果を高めるため枯れ草などを集めます。

動物園などの大型のクマは餌を一年中与えられるため、冬眠すること

ホッキョクグマとのハーフがいるってほんと?

 

近年、温暖化による北極圏の海氷の減少により、ホッキョクグマがエサを求めて南下するようになりました。その結果、グリズリーの生息域とぶつかり、2種の交配が進んでいるのです。

このハイブリッド種は、双方の名を取って、ピズリーやグローラー、ポリズリー などと呼ばれています。

 

なぜ種類の違うクマ同士がカップルとして成立できるかというと、かつてホッキョクグマとグリズリーは約50万~60万年前に分岐したばかりで、遺伝的に完全に決別していないため、交配して子孫を残すことができます。最初のハイブリッド種はすでに2006年に、カナダの北極圏で発見されました。

問題点とすれば、ホッキョクグマはグリズリーに吸収されて、その姿を消してしまうということなのですが。しかし仮に吸収されたとしても、ハイブリッド種の中に遺伝子が残ることで、いつか気候が安定した時に、ホッキョクグマが再びグリズリーから分岐するとも考えられています。

おすすめの本:ヒグマ大全 

 

著者
門崎 允昭
出版日

クマの生態に詳しい動物学者「門崎允昭」が研究を通して集めてきた情報が詰まっており、ヒグマの生態から子育てや行動、クマによる人身事故など人との関わりについても解説されていてます。なかなか見ることのできない明治期からの年度別捕獲頭数などの貴重な統計資料もついています。ヒグマを通して自然との向き合い方を考えさせられます。

 

おすすめの本:ヒグマ学への招待 自然と文化で考える

 

著者
["増田 隆一", "増田 隆一"]
出版日

生物学にとどまらず、ヒグマが生息する北海道や北ユーラシアの自然環境や生物多様性の保全、そしてヒトの文化や現代社会との関係を考える学際的な学問としている「ヒグマ学」。ヒグマにフォーカスしてそこから様々な視点が展開されていくのが面白いです。また、ヒグマだけでなく人間と動物との共存について考えさせられる内容です。

 

おすすめの本:クマよ (たくさんのふしぎ傑作集)

著者
["星野 道夫", "星野 道夫"]
出版日

 

多くの方が知っている写真家であり、冒険家でもある「星野道夫」の自然に対する情熱も伝わってくる写真の数々。アラスカを歩き、クマを見つめ、クマに見つめられてきたこそわかる星野道夫が子どもたちに贈るメッセージ。悲しくもクマに襲われ無くなってしまった著者がどれだけグリズリーに対して愛を持っていたかが伝わってくる一冊になっています。

 


人間の生活範囲でも遭遇することが多くなったグリズリー。人間との共存関係が問題となっています。日本でも北海道でヒグマの被害も増えています。しっかりとクマの生態を理解して適切な距離感をとっていきたいですね。

 

 

 

 

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