子供から大人まで大人気の動物園でも愛されているお馴染みの動物ですが、キリンは非常に不思議が多い動物です。今回はキリンの知られざる生態とその生態を知ることのできる本を紹介したいと思います。
高さ4.5〜5.8m、体重750〜1500kg。
サハラ砂漠や熱帯雨林を除くアフリカに生息している草食動物です。
網目のような模様は、乾燥したアフリカの環境では、カモフラージュになるため外敵に見つかりづらくなる役割があります。
首の長さは約2mにもなり、この長い首を活かして、他の動物では食べられないような高所にある木の葉を主食とすることで生存競争を勝ち抜いてきました。
首が長く身長が高いので、血液を心臓から脳まで押し上げるのに高い圧力が必要とされ血圧が高くなっています。
・ミナミキリン
・アミメキリン
・マサイキリン
・キタキリン
キリンにはいくつか種類がありますが、ほとんど同じような容姿のため見分けることが非常に難しいです。
動物園などではほとんど聞くことはないでしょうが、キリンは身に危険を感じた時や感情が高まった時に鳴くそうです。その時の声が牛に似ていて、「モー」となくそうです。キリンと牛の見た目はまったく似ていませんがが、実は生物学上は同じ分類になるということで鳴き声も牛に近いとされています。
キリンは草食性で、1日に摂る食事の量は性別問わず、50kg前後になるといわれているぐらい大食漢です。ただ、キリンは足元に生えているような草などは食べず高い木の木の葉や果実などを食べます。食事のときは、口で直接食べるのではなく、40cm程もある長い舌を使って木の葉などを巻き取るようにして食べます。野生ではアカシアという葉っぱを好んで食好んで食べるということです。40cm近くもある長い舌を使って木の葉をむしり取って食べ、その後はウシと同じように反芻(はんすう)をします。
キリンの舌の色は紫色ですが、これはメラニンがたくさん含んでいて、太陽からの強い日差しを受けても、舌の皮ふガンになりにくい効果があります。
キリンを含めた反すう動物には胃が4つあり、1つ目と2つ目の胃で、反すうがおこなわれます。反すうとは、食べたものを口に戻し、唾液と混ぜ合わせてよく噛んでさらに胃に戻して消化しやすくする仕組みです。
首だけでなくまつ毛も長いのがキリンの特徴でもあります。
キリンのまつ毛の長さは3~4センチ程あり、まつ毛が長い理由は紫外線が当たるの防いだり、日光のまぶしさを防ぐため、ホコリや目の乾燥を防ぐためということです。乾燥したサバンナでは、砂埃が常に待っているような状態ですので、しっかり目を保護するために、まつ毛が長くなっているのです。
ダチョウやラクダなどもまつ毛が長いですが、同じような理由と言われています。
キリンには角がありますが、パッとみると2本に見えます。しかし、その数は2本ではなく実は5本もあります。キリンの角は皮膚に覆われており、その特殊な角は「オシコーン(ossicone)」と呼ばれています。よく目立つ2本の長い角と、額に1本あり、その2本の大きな角の後ろ側の後頭部に小さめの出っ張りのような角が2本あります。
メスをめぐる戦いになるとキリンの首は武器になります。長い首をムチのようにしならせて相手の首や胴体にめがけてぶつけます。この行為を「ネッキング」と呼びます。とても激しいために、最悪の場合首の骨が折れてしまうそうです。ネッキングの決着は、その場を離れた方が負けになり、相手の首にすりすりと頬擦りをして戦いを終えます。
首以外にも脚力が強く、走る時の最高時速は50キロを超えると言われているのですが、その強靭な蹴りでライオン殺してしまうこともあるようです。
キリンの睡眠時間は非常に短く1日20分しか眠りません。さらに、熟睡しているのはそのうち1分くらいだともいわれています。
大型の草食動物は、必要な栄養素を摂るためにはたくさんの葉を食べなければならないので、睡眠に時間を割けないという理由があります。また、寝るということは肉食動物に対して隙を与えてしまうことになるので、短い睡眠を小分けにしているのです。しかもただでさえ睡眠時間の短いキリンですが、寝る時も立ったままの姿勢で眠ります。
ちなみに足を曲げて体の上に首を乗せて眠ることもありますが、これは動物園の檻の中など、よほど安全が確保できている時ではないと見られない姿です。
- 著者
- 郡司芽久
- 出版日
キリンについて詳しく知りたいならこの方、郡司芽久。子供の頃からキリンが好きで、哺乳類・鳥類を対象として、「首」の構造や機能の進化について研究している方で、世界一キリンを解剖している人物かもしれません。そんな彼女のキリン博士になるまでの約10年間の探求の日々が一冊にまとめられています。児童書版も発売されているので、子供も一緒に楽しめます。
- 著者
- ["L´eo Grasset", "鈴木 光太郎"]
- 出版日
キリンの生態はもちろんですが、他にもアフリカのサバンナに住む動物たちの生態が紹介されています。ちょっと気になる疑問や興味深いテーマで生物進化の面白さがわかりやすく解説されています。
日本国内ほとんどの動物園で見ることのできるキリンですが、アフリカではこの30年間でキリンが4割近く減少しているそうです。その原因には密猟や交通事故など私たち人間が関与しています。
少しでもキリンたちが生活しやすい環境を守っていけるような世界になってほしいですね。