プレゼン資料だけはNG!オンライン商談に不可欠な【参加型コンテンツ】とは

更新:2022.8.8

プレゼン資料を見せられるだけの営業では、7割の人が話を聞いていない……。オンライン商談で「よいコミュニケーション」つまり「されたい営業」を図るために、切り札となるのは何でしょうか。 この記事は、『お客様が教えてくれた「されたい」営業』(著:今井晶也)内の一部を抜粋し、再編集しています。そのため本著の執筆にあたり実施された「商談・営業方法に関するアンケート」の質問番号も一部の掲載となっています。

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スライド資料だけはNG!【オンライン商談】で聞き手の興味を引く秘策

著者
今井 晶也
出版日

 

【質問5】【質問6】の結果から、お客様は「オンライン商談は対面商談に比べて集中しにくい」ことがわかりました。その場合、スライドなどの視覚に訴えかける資料はもちろんのこと、議事録をお互いに共有しながらディスカッションしたり、オンライン商談・会議システムに付属するホワイトボードのような描画ツールを使うなど、「参加型コンテンツ」があったほうがわかりやすいのではないかという仮説を立てました。それがこの【質問9】です。

 

実はこれ、私が購買者として実際に体験したことをヒントにしています。

正直に言います。オンライン商談で淡々と自分の会社のことを説明されたり、終始同じトーンで一方的に話を聞かされる時間は拷問のような時間です(ちょっと大袈裟ですが)。

 

しかし、そんな退屈なオンライン商談の購買体験を根底からくつがえす出来事が起こりました。 具体的なエピソードをご紹介しましょう。

ご存じの方も多いと思いますが、書籍『無敗営業』(日経 BP)の著者として有名な TORiX 株式会社代表取締役の高橋浩一さん(Twitter:@takahashikoichi)。営業コンサルティングなどを手がけている、営業界隈では大変著名な有識者ともいえる方です。高橋さんと私は直接、営業/購買の関係にあるわけではないのですが、高橋さんと打ち合わせや会議をしていると、たびたび「動的」なコンテンツが登場します。

たとえば、高橋さんはオンライン会議システムでご自分のタブレット端末の画面を投影し、画面を共有しながら対話の内容を手書きで記していくのです(下図)。

 

前ページの図のように、話した内容が「その瞬間」にカタチになっていくことで、不思議なほど会話が活発に進むのです。

対面商談時にホワイトボードを使って話しているのに非常に近い感覚です。

通常、商談や面談は提案者と評価者という関係になりがちですが、その場で随時アップデートされる「ナマモノ」的なコンテンツがあるだけで、双方が会話や議論に当事者としてのめり込めるのです

 

高橋さん以外にも、ハッとさせられた商談はあります。私が購買者として体験した商談のエピソードなのですが、先方の営業パーソンが画面共有でドキュメントを表示して、会話の内容をリアルタイムに議事録として残していくのです(下図)。

この体験で感動したのが、議題があらかじめ見えるので話がどんどん整理され、会話が非常にスムーズに進むことでした。たとえば、こんな感じです。

このように、次の質問が見えることで、相手にもわかりやすく、情報共有や意思疎通がスムーズに進むのを感じました(ただし、PC の文字入力が遅い人が同じことをすると、逆にストレスを感じることもあります)。

そして商談が終わったあとに、すぐ議事録が届くというのも「やさしいな」と感じました。

 

私もそうですが、商談後すぐに別のミーティングに入り、その商談の打ち合わせ内容の記憶が薄れたり、温度感が下がっていくことは購買者にとって「あるある話」だと思います。

また、温度感が一番高いタイミングでやって来ない議事録の確認や次回のアクションの要望は、仕事量が多い人ほど、あと回しになっていき、数あるタスクの中に埋もれてしまいます。

 

こうしたケースの場合、購買担当者はなるべくタスクを「自分の手から離しておきたい」状態にあります。したがって、今回のケースのように、商談後すぐに議事録が届いて、関係者に情報を回覧できるというのは非常にありがたいのです。

 

さて、話が脱線したので戻します。

今回の「他社の営業パーソンからオンライン商談を受ける際、スライドだけではなく描画ツールやメモなどを使ってもらえるとわかりやすいと思いますか」という質問に対する回答結果は、まさに私の体験に基づいた仮説が当たったことになります。

 

「そう思う」「ややそう思う」が 68%と約 7 割に達しています。反対意見はたったの 5.4%です。

このことは、オンライン商談においては従来の営業神話が覆された結果となりました。

対面商談では、会話による状況対応力やトーク力、反論対策などが重要視されてきました。

これが大切なことは引きつづき変わらないものの、オンライン商談では「出たとこ勝負」ではなく、会話を生み出す「コンテンツ」の良し悪しが重要視されるようになったということです。

これについて私は、「営業の世界でもコンテンツファーストの時代がやって来た」と多くの方たちにお話ししています。

著者
今井 晶也
出版日

※この記事は2022年7月21日に刊行された『お客様が教えてくれた「されたい」営業』の一部を再編集したものです。

本著は、オンラインでの商談も多くなった時勢に合わせ、実際に成果の出る具体的なセールスの秘策が詰まった1冊。997名の購買経験者、つまり「営業される側」へのアンケート結果を、セールスモデルの研究に携わってきた著者が分析した内容となっています。巻頭には「そもそもイチから学びたい」方も安心できるセールス用語集もありますので、営業成績に悩むビジネスパーソンは手元に置いておけば重宝するでしょう。

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