5分でわかるマリモの生態!!阿寒湖のマリモは世界一!?

更新:2024.11.1

緑で丸い可愛らしいかたまり。北海道を訪れたことがある方は、お土産で見かけたこともあるのではないでしょうか。名前を聞いたことはあるけど、あれって一体なんなのと思っている方のために今回はマリモの生態とマリモにまつわる書籍を紹介します。

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マリモとは?

 

マリモは生き物なのか、植物なのか気になる方多いと思いますが、マリモは植物で、藻が絡み合ってあの丸い形が生まれます。たくさんの繊維状の藻がからみ合い球体の形状になります。

 

マリモは藻の一種で、日本各地に生息しており、なかでも阿寒湖のマリモだけが美しい球体になるため、特別天然記念物に指定されています。 

 

陸上の植物と同様に光合成をして育つ生き物です。

 

阿寒湖のマリモは、国の特別天然記念物に指定された日に由来して、3月29日は「マリモの日」となっています。

 

 

マリモはどこに生息している?

日本国内では北海道や青森県などの寒い地域の、水深2~3mほどの浅い湖底に生息します。

 

他の地域のマリモが数千cmなのに対し、北海道の阿寒湖のマリモは30cm以上の大きさになります。

 

実はマリモは日本だけに生息しているわけではなく、海外ではヨーロッパ北部、ロシア、北アメリカなどに生息しています。

 

2002年時点で日本では17ヶ所、世界では北半球の比較的寒冷な地域の湖沼や河川を中心に50ヶ所以上でマリモの生育が確認されています。

 

ただ、そのなかでもビロード状の大型球状体マリモが群生するのは、世界でも唯一、「阿寒湖」だけとなっています。また、阿寒湖には90万個のマリモが存在するといわれています。

 

最新の研究では、DNAを分析した結果、世界のマリモは北海道の阿寒湖から広がっていったことが分かったそうです。その理由は、阿寒湖を訪れた渡り鳥の足に付着したり、うまく消化されずに糞として排出されたりすることで、さまざまな要因で他の土地に運ばれていったものと考えられています。

 

阿寒湖はどんな湖?

 

阿寒湖は北海道の阿寒摩周国立公園に属し、手つかずの自然が残り多くの希少な生き物たちが生息しています。1934年に日本で2番目に指定された国立公園であり、北海道の自然を象徴するような場所でもあります。

阿寒湖は北海道で5番目に大きな湖で、約15万年前の噴火によって誕生したカルデラ湖になります。阿寒湖に浮かぶチュウルイ島のマリモ展示観察センターでは、誰でもマリモを観察することができます。

阿寒湖やその周辺では、トレッキングコースも完備されており、他にもフィッシングサイクリングなど大自然を堪能するアクティビティー楽しむことができます。

 

 

マリモはいつ発見された?

 

1897年8月23日に 阿寒湖を訪れた札幌農学校(現・北海道大学)の川上瀧彌 (かわかみたきや)が、 毬のような球状で美しい藻を発見したのがマリモの歴史の始まりです。次の年にはこの藻は「毬藻(マリモ)」と名付けられ、 東京植物学会の 『植物学雑誌』に発表されました。

 

海外での発見は日本よりも早く、1753年、「分類学の父」と言われるスウェーデンの博物学者のカール・フォン・リンネがスウェーデンのダンネモーラ湖で発見し、マリモを「コンフェルバ・エガグロピラ」と名付けたことが記録されています。

 

 

マリモはなぜ丸くなる?

 

阿寒湖のマリモが丸くなるのは、いくつかの要因や偶然が重なっているという見解があります。

 

マリモは植物であり、成長には太陽の光が欠かせません。阿寒湖は浅瀬が多いため、太陽の光が届きやすく、大きくなりやすいと考えられています。

 

そしてもう一つは、日の長い夏場に強い風が吹くことが要因であるということです。この強い風と浅瀬が生み出す波の力により、マリモはその場で回転する。満遍なくどの面も太陽の光に当たることで丸く成長すると考えられています。

 

かつてはマリモの成長はきわめて時間がかかり、数百年の時を要すといわれてきましたが、調査結果では阿寒湖のマリモは条件がよいと1年で3~4㎝ほど成長するそうで、直径30cm以上に達するまでに10年ほどかかる計算になります。

 

ではなぜマリモは販売されている?

 

阿寒湖にある球状マリモの群生地は環境省の特別保護区に指定されており、保護の観点から立ち入りが制限されています。このため、例年10月8日まりも祭りの一環として開催される「生育地観測会」の日を除き、実際に湖底を覗いてマリモを見ることはできません。

 

しかし、水族館などのおみやげ屋さんでは普通にマリモが売られています。これはどいうことなのか。

 

阿寒湖のマリモは天然記念物に指定されていますが、阿寒湖以外に生息する藻は自由に扱うことができます。養殖しているものもありますが、多くは他の湖から藻を採ってきて 人の手でマリモのように丸めたものです。なので、販売されているマリモは天然物のマリモではなく、むしろ人工のマリモということになるのです。


 

マリモはなぜ丸い―その生態と形態

著者
中沢 信午
出版日

阿寒湖のマリモとはどんな生きものなのか?なぜ阿寒湖のものだけが、あれほどなめらかな球形になるのか?

マリモを人工的に球化させることはできるのか。できるとすれば、それは天然のマリモとどう異なるのか…。マリモとマリモを育む阿寒湖の自然、その奇跡のような関係が少しずつ解明されようとしています。

マリモの球体化に迫った一冊になっています。

 

藻類 生命進化と地球環境を支えてきた奇妙な生き物 

著者
["ルース・カッシンガー", "井上 勲"]
出版日

「藻」というと水槽につく汚れや田んぼや池のドロッとした緑色のモノを想像しがちですが、地球の母といっていいくらい重要な存在です。韓国の海苔漁師から最先端の素材産業まで、世界を股にかけて取材した著者が描く、知られざる驚異の生物の全貌。とても地味な存在でありながらも、藻類の地球、そして人間との壮大な関わりを知ることができる一冊です。


今回はマリモの生態について紹介しました。不思議が多く、大きく丸いマリモを観察できるのは北海道だけ。「阿寒湖畔エコミュージアムセンター」か、「マリモ展示観察センター」に行くことで見ることができます。北海道を訪れた際は観光のリストに加えてみてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

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