5分でわかるツキノワグマの生態！！クマが作る"クマ棚"とは！？
アニメやゆるキャラなど可愛らしい印象もある熊ですが、農作物や人の住むエリアに度々侵入することがあるため、有害な動物としても認識されています。なかでも日本の熊として印象が強いのがツキノワグマではないでしょうか。 今回はツキノワグマの生態とツキノワグマに関連する書籍を紹介します。
ツキノワグマとは？
落葉広葉樹林が生い茂った山に生息する、体毛の黒いクマです。
胸に月のような特徴的な白い模様があります。
日本には2種類のクマが生息していて、もう一種類北海道だけに生息する”ヒグマ”です。環境省の調査によると、北海道の約55％の地域はヒグマが、本州の約45％の地域にはツキノワグマが生息しているそう。現在、九州では絶滅したと考えられています。
日本だけの固有種ではなく、アジア地域にも生息しています。
大きさは120~140cm、体重は45~60kgです。
木登りや水泳が得意で、走ると短時間で時速50kmと人間よりも早く走ることができます。
前足は筋力が発達していて、鋭く固い爪は片足に5本もあり、人身被害の多くは、この強力な爪による裂傷である。馬の太い首を一撃でへし折るほどの能力がある。
森に暮らすクマは昼行性ですが、 人里に下りて活動する時には、 夜行性に変わることが知られています。基本的に臆病で人間を恐れていて、人間の存在を知れば離れていきますが、子グマがいる時や自分の身に危険を感じた際は襲ってくることがあります。
ツキノワグマの食性は？
クマといえば肉食のイメージがありますが、ツキノワグマは雑食性の動物です。子育て以外は、基本的に単独で季節に応じてエサを探し、ドングリなどの木の実や花、種子などを食べます。
ほぼ同じエリアで活動しますが、縄張り意識を持っていないため、食べものが豊富な場所を求めて広範囲に移動を続けることがあります。また、その際に食べた種子を糞と一緒にさまざまな場所に運ぶため、植物の種子散布に貢献しています。
ツキノワグマの月の模様はそれぞれ違うの？
ツキノワグマは、漢字で書くと「月ノ輪熊」の通り、胸には三日月のような模様の白い毛があります。
一目でわかる胸元にある特徴的な模様ですが、個体によってその大きさや形が異なります。この模様の個体差を利用して、調査などでは個体を識別することも可能となっています。
ツキノワグマの”クマ棚”とは？
ツキノワグマは木登りは得意ですが、エサを採る際に、枝先まで移動できません。なので、実のついた枝を引き寄せながら折り、食べ終わった枝を自分のおしりの下に敷くという行動を繰り返し、木の上に腰かけのようなものを作ります。一見、ヤドリギや鳥の巣のようにも見えることがあります。
これが「クマ棚」と呼ばれるものです。
ツキノワグマは冬眠するの？
クマはエサがない冬を越すために、地面や岩の隙間、木の洞などで冬眠を行います。
エアが少なくなる冬を前に大量の脂肪を蓄え、体温を下げて呼吸数も少なくし、なるべくエネルギーを使わないようにして春を待ちます。その際は食べることはもちろん、排泄も行いません。どのようにエネルギーを使い回しているか詳しいことはわかっていないそうです。
冬眠といっても、ずっと寝ているわけではなく、起きてはいるものの寝ぼけている状態が近いようです。
メスは冬眠期間中に出産し（2匹程度）、冬眠穴の中で飲まず食わずの状態で子育てを行います。
南の地域に生息しているクマは、エサが豊富であることから冬眠しないようです。
ツキノワグマのすべて: 森と生きる。
- 著者
- ["俊彦, 澤井", "伸介, 小池"]
- 出版日
日本の森に暮らすツキノワグマの知られざる生態に、普段見かけることのできない迫力ある貴重な生態写真など、最新データによって解き明かすツキノワグマの真の姿に迫ります。足跡やフン、食痕、冬眠穴など、森の中で見つかるフィールドサインも多数収録されているのも魅力的です。ツキノワグマ研究の第一線で活躍する研究者が、最新の研究成果を資料的価値の高い写真を豊富に使って解説しています。
ムーン・ベアも月を見ている クマを知る、クマから学ぶ 現代クマ学最前線
- 著者
- 晃司, 山〓
- 出版日
もしもクマに遭ったらどうすれば？もしもクマと人とがお互い無理なく平和に暮らすには？など、身近にいる動物だからこそ考えなければならない課題がたくさんあります。現代クマ学の最前線と、クマを愛する”クマの人たち”の奮闘を、クマ博士の著者 山崎晃司氏が分かりやすく紹介しています。
獣たちの森 (日本の森林/多様性の生物学シリーズ 3)
- 著者
- 大井 徹
- 出版日
日本の森林生物にフォーカスした一冊。クマだけでなく森に住む哺乳類の、その形態、行動、遺伝についての知見を踏またうえで、環境との関係、生物間相互作用、分布、進化、保全など森林と生物多様性を中心に解説しています。
今回はツキノワグマの生態について紹介しました。動物としては知名度は高いですが、詳しい生態について知る機会は少ないかと思います。場所によっては害獣とされてしまっている現状を受け止めた上で、適切な距離感で関わっていきたいですね。
他にも熊にまつわる書籍はたくさんあるので、ぜひ探して見てくださいね。
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