ルアーフィッシングで全国でお馴染みの魚といえば「ブラックバス」。釣り好きでなくても、一度はその名前を聞いたことがあるはずです。実は日本で背速していた魚ではありません。もともとはどこから来た魚なのでしょうか。今回はブラックバスの生態とブラックバスに関連する書籍を紹介します。

日本名ではオオクチバスと呼ばれている淡水魚で、以下の種類が日本ではブラックバスと総称されています。
・フロリダラージマウスバス
・ノーザンラージマウスバス
・ノーザンスモールマウスバス
・(ノーザンスポッテッドバス)
アメリカに生息しているバスは6種5亜種の合計11種類のブラックバスが生息しています。
その名前の通り大きな口で吸いこむようにしてエビや昆虫などを食べます。
非常に好奇心旺盛でなんでも食べてしまうことから、フィッシュイーターとも呼ばれています。
成魚の全長は30cm~60cmほどで、寿命は平均10年程と言われています。
環境によっては15年を超える長生きの個体もいるそうです。
大きさの最大の記録は、2009年に滋賀県琵琶湖で、 当時ルアーメーカーに勤めていた栗田学さんという方が、73.5cm、22ポンド4オンスの世界記録のバスを釣り上げました。
特定外来生物に指定されており、飼育さ・栽培・保管・運搬・販売・輸入などが禁止されている魚です。
ブラックバスは非常に生臭い魚のイメージがありますが、はじめは食用としても持ち込まれたため、しっかりと調理すれば白身魚として美味しく食べることもできるようです。
ブラックバスの原産は北米大陸で、その後1800年代に北米大陸の西側にゲームフィッシュとして移植されたと記録があり、そこから派生し現在では、ヨーロッパをはじめアフリカ、アジア、フィジー、ニューカレドニアに生息しています。
日本国内では、現在ほぼ全国の湖沼や川などに生息していることが確認されています。岩の陰や地形変化のある場所を好み、環境変化にも強いので清流のような場所から水質の悪い沼地まであらゆる水質に適応することが可能です。
以前は日本にいませんでしたが、日本でも1965年ごろからルアーフィッシングの需要とともに広がりました。その人気によって、ブラックバス釣りを楽しめる場所を増やしため、密かに放流されてきました。
日本に初めて持ち込まれたのは1925年。 18歳でアメリカに留学し初めてバスを釣った、実業家・赤星鉄馬が釣りとして楽しめる上に、食としても美味しく食べることができることから、アメリカに許可を申請し、神奈川県の芦ノ湖にブラックバスが持ち込まれました。当時の東京大学の淡水魚実験所があったことから、芦ノ湖に放流されたそうです。
繁殖期は4~7月と水温が温かくなると徐々に活発になっていきます。
ブラックバスの産卵は「スポーニング」と呼ばれ、産卵前をプリスポーン、産卵中の状態をミッドスポーン、産卵後をアフタースポーンやポストスポーンと指します。
稚魚が生まれると充分なサイズに成長するまで、オスが守る習性があり、他の魚よりも生存率が高いと言われています。
また、フィッシング人気による密放流によってその数と生息エリアを劇的に増やしていきました。
口に入るものを何でも口にするほどの好奇心を持っているため、もともと日本にいた在来種が捕食されています。
また、在来種が本来食べるはずのエサを食べてしまうことで、生息域をどんどんと狭めてしまっています。住む環境により食べるエサが変化するのもブラックバスの特徴です。
ブラックバスの生態系への影響は広がっており、日本最大の湖である琵琶湖では特に被害が大きいと考えられています。琵琶湖では、アユ、ビワマス、ホンモロコ、ゲンゴロウブナ、ニゴロブナ、ビワヒガイなどの漁獲量が激減しており、ブラックバスに捕食されたことが原因の一部と考えれています。
- 著者
- 日本魚類学会自然保護委員会
- 出版日
日本魚類学会自然保護委員会が著者となった一冊。ブラックバスが他の魚や水生昆虫に与える影響など、生物多様性保全という観点からこれまでの研究成果と、今後のブラックバス問題解決を考えます。
- 著者
- ["忠明, 今泉", "秀治, 岡島"]
- 出版日
もともとは日本に生息していなかった生き物たち。なぜ外来生物が「悪者」にされてきたのかを、わかりやすく解説しています。DVD付きなので、より外来生物について知ることができるはずです。ヒアリ、ブラックバス、フイリマングース、グリーンアノールなどなど。日本で生息している、お馴染みの生き物から、なかなか話題に上がらないような外来生物約100種類を紹介しています。
釣り好きにはお馴染みの魚ですが、その生態を知るとより身近に感じられるかも知れませんね。外来種の代表的な魚ではありますが、生物としては、とても興味深い生態を持っています。