「書店オリジナルのフェア」を取材を通してお伝えしている本屋遊泳。 今回はフェアという形ではありませんが、ユニークな方法で本の面白さを届けている書店さんを取材しました。 この記事ではオリジナルポップを通して、本との出会いをつくっている「木村書店」さんを紹介します。
「手描きポップ100選」という名前を聞いただけで、なんだか心がわくわくしませんか?青森県八戸市の海辺近くにある木村書店。ポップ担当者(通称ポプ担さん)が作成するオリジナルのポップを通して本の魅力を伝えている書店さんです。
ポプ担さんが作成するポップは、かわいいイラストとキャッチフレーズによって、思わず本と手に取ってしまうような工夫がされておりSNSでも大人気です。
「中を開けばこんなに面白い本がたくさんあるので、まずはその表紙に少しでも目を向けてもらうきっかけになれたらという気持ちでポップを作るようにしている」と語るポプ担さん。
年齢や性別などターゲットを決めずに、仲のいい友達やご近所さんにおすすめする意識でポップを作るのがコツだそうです。
ポップを描く基準は「ポプ担さんが面白いと思った本」で、メインは絵本、写真集、雑誌。
最近は児童書、実用書などにポップをつけることが多いそうですが、面白い付録のついた雑誌やハマっているゲームの攻略本にまでポップをつけることもあるそうです。
ジャンルを縛らずにいろんな本を紹介しているのも、このコーナーに立ち寄りたくなる人気の理由なのかもしれません。
木村書店さんでは本を購入するとポップも一緒にもらうことができます。
本と一緒にかわいいポップを持ち帰ることができるのも嬉しいですが、本と出会った時のインパクトや喜びを思い出として形に残しておけるのもここだけの魅力です。
また、ほぼ毎日ポップを作成していますが、同じポップを何枚もつくることはないそうです。
つまり、そのポップと本を一緒に持ち帰ることができるのは一冊のみ。本との出会いが一期一会になっているのも一興です。
木村書店さんでは小規模なスペースの中でお客さんに楽しんでもらえるように、コーナーには常時80冊程のポップがついた書籍が並んでいるそう。
今日はどんなポップが並んでいるのか、実際に訪れてみたいと思える書店さんです。
ここからは木村書店のポップ担さんに伺ったおすすめ書籍をご紹介します。
149種類の恐竜の「飼い方」を、時代背景や現在わかっている科学的事実に基づいて解説している本です。
ポップ担さんは、「恐竜図鑑は他のでも見かけるが、飼い方という発想が面白くて素敵だなと思った。どうしても注目して欲しい、手に取って欲しい」という理由でポップを作成したそうです。
基本的には一度紹介した本のポップはつくらないのですが、『「もしも?」の図鑑 恐竜の飼い方』に限っては何度もポップを作成するほど、おすすめの1冊となっています。
「もしも?」の図鑑 恐竜の飼い方
2013/3/19
こちらはポップ担さんが書店員になる前から好きな本で、ずっとポップで紹介したいと思っていた作品なのだそうです。
大人になって読むと、どんな人でも持っている子供の頃の記憶を思い起こせるのが魅力で、こちらも何度もポップで紹介しているおすすめの絵本となっています。
ビロードのうさぎ
2007/4/20
1970年代の小学生の夏休みのくらしを描きながら、そこに登場する様々な商品について、現在も購入可能なものをピックアップしている本。
読み進めると、今も昔も「夏休み」というワクワク感は変わらないけれど、使っているものは違うというのを知る面白さを味わえるのが魅力。
大人の方も「これあった!」と共感しながら、懐かしい夏休みの記憶が蘇るかもしれません。
まだある。こども歳時記 夏休み編―ロングセラー商品でつづる昭和のくらし
2010/6/21
ビーチコーミングとは海辺に落ちている漂着物をコレクションしたり、加工したりする趣味のこと。本書はビーチコーミングの時の服装や心がけなどもイチから解説してくれます。
木村書店のある青森県の八戸市は海辺が多い地域。ポップ担さんも海辺を散歩することが多いそうです。
「海に入れない季節でも海を楽しめるような本を伝えたい」という思いから、こちらの本を紹介してくれました。
宝物を集めるようなイメージのポップになっています。
ビーチコーミングをはじめよう 海辺で楽しむ宝探し
2013/9/13
スーパーに売っているチリメンジャコには別の生き物も混じっています。そのような生き物を「チリモン」と呼び、紹介していく本です。
スーパーで売っているチリメンジャコのパックを買うだけで、海の中を探索するような楽しみを味わる本となっています。
チリモン博物誌
2009/6/1
取材にご協力いただいた木村書店のポプ担さん、ありがとうございました!
ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。
次回もお楽しみに!
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