エビに似た姿で、高級なお寿司などのネタとしてなんとなく知られているシャコ。美味しいという以外その生態について知っているというかたは多くはないと思います。今回はシャコの不思議な生態とシャコをはじめとする実は危険な生き物にまつわる書籍をご紹介します。

シャコは口脚目(シャコ目)・甲殻亜門軟甲綱・トゲエビ亜綱に分類される節足動物です。
シャコはエビに似た見た目ではありますが、シャコは口脚目、エビは十脚目に分類されるため異なる生き物です。またシャコの手にはハサミはありません。そのかわりカマキリのカマのような脚を持ちます。体長は15cmほど。
シャコは英語で「Mantis shrimp」と呼ばれ、カマキリエビという意味になります。
漢字では「蝦蛄」と書き、その名前は諸説あるものの捕まえると癇癪を起こしたように暴れることから、癇癪から同じ読みの蝦蛄の感じが当てられと言われています。
およそ4億年前からシャコの仲間が存在していたとされていて、モンハナシャコをはじめ世界中に400種以上がいると言われています。
日本にいるシャコは北海道から九州までの太平洋および日本海の沿岸に生息しています。(東京湾や伊勢湾など)
春から秋にかけて産卵し、およそ1カ月ほどで孵化します。
海底や砂地などに生息し、夜行性のため昼間は砂や岩に隠れています。シャコは擬態する生き物で、周囲の色に溶け込むのがとても上手です。
肉食性で、海底にいる小魚や貝やなどを食べて生活しています。
シャコといえばパンチと言われるくらい、捕脚を敵に当てるその速さは時速80kmを超えるそうで、22口径の銃弾と同じ加速スピードと言われています。
時間をかけて筋肉を引き、貯めた力を一気に開放することで、強烈なパンチを獲物めがけて繰り出します。その力でアサリなどの貝の殻を割ることもできます。
またエサを捕獲するためだけでなく、身を守るためや威嚇のためにに欠かせない役割を持っているのです。
それだけ強いパンチだけ反動が凄そうですが、シャコ自身は、脚に「ナノ粒子」のコーティングが施されているということで、自分へのダメージを分散させています。
パンチの強さはわかっていただけたかと思いますが、シャコにはまだまだ不思議な生態が秘められており、実はシャコパンチの瞬間には、光が発生することもあるそう。
強烈なパンチは、衝撃波を発生させ、光の波を発生させます。
この現象は“ソノルミネッセンス(sonoluminescence)”と呼ばれる現象だと考えられています。
人間は色情報を伝えるために独立した、3つの波長を識別する光受容細胞を持つ「3色型色覚」ですが、一方シャコはこれの4倍にあたる「12色型色覚」と言われています。そのため長い間、人間の10万倍の驚異的な色覚を持っていると考えられていました。
しかし、2014年の研究により、シャコが驚異的な色覚を持つわけではないことが明らかになりました。実験の結果、シャコの目に備わっている12の光受容細胞は、それぞれに対応する特定の1色のみを感じとっており、そこまで多くの色を見分けられるわけではないということがわかりました。
それでもシャコの視覚はものすごい力を持っており、シャコの脳に「レニフォーム体(Reniform Body)」と呼ばれる特殊な部位が存在し、視覚情報を保存することで、エサや敵の姿を記憶するのに役立てているそうです。
- 著者
- 森昭彦
- 出版日
膨大な写真とイラストで大人気のビジュアル図鑑シリーズの第3弾。
猛獣、猛毒生物、食べるとヤバイ生物までのは危険生物200種を、関連事件や万が一の対処法などを交えて解説しています。
日本で起きた危険生物事件簿も掲載しているので、危険生物マニアには必見の一冊です!
- 著者
- 廣澤 瑞子
- 出版日
"ライオン、大鷲、ホオジロザメなど陸・海・空のハンター生物の狩りの方法をイラスト付きで紹介する一冊です。"
動物が生きるために、どのような工夫をしているのかを解説しているので、すでに知っている動物はもちろん知らない動物の新しい発見があるはずです!
- 著者
- 輝之, 小宮
- 出版日
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クイズを解くだけで危険生物の知識と一緒に「考える力」が身につけることができます。
ぜひ、お子様と一緒に楽しんでみてください。
今回はシャコの生態についてご紹介しました。
ボクサーのような強さを持つその強さ。、人間の指も折ってしまうほどのパンチ力なので、不用意に触るのは危険なので要注意です。
戦闘力だけでなく生命力も非常に高いため、もし日本のシャコは東京湾の汚染が進んでも最後まで生き残る生物だろうと予測されています。
ぜひ食としても生き物としてもその魅力を感じてみてください。