啓林堂書店奈良店「書院」/本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第20回】

更新:2024.1.25

「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。 今回は啓林堂書店奈良店さんの「書院 」について紹介します。 書院の魅力について、担当者の中村さんにお話を伺いました!

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10万冊の蔵書が読める読書空間「書院」

啓林堂書店奈良店さんの2階に書院という10万冊の蔵書を自由に読むことができる読書空間が2023年12月15日にオープンしました。

書院ではお客さんがブースやカウンター、テーブルなど好きな席を選んで自由に本を読むことができ、さらに気に入った本があれば購入も可能。

また、読書だけでなく作業や勉強などもできるようになっています。

書院とは室町時代あたりから、心静かに書を読んだり文を綴ったりする場所の呼び名です。

啓林堂書店奈良店さんの書院もその名の通り、日常と切り離された空間で静かに本を読むことのできる場所なので、自分の思考を広げたり本の世界に没頭したりなど、自分にあった使い方ができる場所となっています。

本を購入する場所だけではなく、学びや楽しみを得る空間に

啓林堂書店さんでは書店が「本に出会って頂いてそれを購入する場所」で完結してしまっている事に課題を感じていました。

そこで全店舗で「すべてのブックライフによりそう」というミッションを掲げ、お客さんが本との出会いから手放すところまで寄り添っていくお店づくりを目指すようになりました。

今回の書院もミッションの一環として、「本を読み、学びや愉しみを得られる場所」をつくっていきたいという思いからオープンした場所です。

書院のコンセプトは「頭と心、動く」で、お客さんに「本を読み、考えさせられたり、感動したりする時間を体験していただきたい」、という想いが込められています。

また、本と向き合う時間をより豊かなものにしてもらうために、奈良のスペシャルティコーヒーブランド「ロクメイコーヒー」の「書院ブレンド」を考案し、さらに「考える」という作業や勉強にも取り組んでもらえるように電源やwi-fiなども用意。

自宅やカフェとは一味違う雰囲気で、手軽に読書や思考に没頭したい人におすすめの空間です。

五つのテーマで本をセレクト

書院ではコンセプトの「頭と心、動く」にもとづき、啓林堂書店奈良店のスタッフさんが自分の心や頭を動かされた本が並んでいます。

セレクトされている本は人文書もあれば小説やエッセイなど、内容は様々です。

例えば選書したものを「日本人の心を知る」や「本のこれまでとこれから」のようなテーマでカテゴライズし、お客さんが手に取りやすいような工夫をしています。

また、2階の書院で読んで欲しい本はどういうものかを考えながら、「色」「言葉」「読書」「文豪」「古典」という五つのテーマで本を選び並べているフェアを実施しています。

「色」と「言葉」は自分の内と外をイメージして、自分を深く知ることが出来るような本を選び、また「文豪」と「古典」に関しては書院というスペース自体をイメージし、和風やレトロ感テーマとした本をセレクトしています。

「読書」に関しては本について客観的にとらえるような体験ができる「本の選び方や歴史の本」、さらには本に詳しくない方でも選書の助けになるような作品が集まっています。

担当者の中村さんがおすすめしているのは『なくなりそうな世界のことば』と『翻訳できない世界のことば』の2冊です。

 

『なくなりそうな世界のことば』

なくなりそうな世界のことば

2017/8/22
吉岡 乾
創元社

世界で話されている言語は7000ほどあるそうですが、様々な理由から限られた地域で使われている「小さなことば」がなくなっています。

そんな「小さなことば」の研究者たちが選んだ「そのことばらしい」単語を絵と文章で紹介している一冊です。

 

『翻訳できない世界のことば』

翻訳できない世界のことば

2016/4/11
エラ・フランシス・サンダース (著)/前田 まゆみ (翻訳)
創元社

外国語には他の言語に訳すときに言い表せないような言葉が存在します。そんな「ほんやくできない」世界の言葉を集めて、おしゃれなイラストと情緒的な文章で解説してくれるユニークな一冊です。
 

どちらも啓林堂書店の他店舗スタッフさんがおすすめしていた作品で、中村さん自身も良い本だと感じたのでフェア選定の時に「言葉」の中に入れることにしたそうです。

 

書院は日常から離れて本の世界に没頭できる場所

書院の一番の魅力は和風テイストの空間の中で、本の世界を思い切り楽しめるところです。

実際に書院へ訪れたお客さんからは「ゆったり本に向き合うことの出来る」、「これまで奈良になかった空間」といった声があり、日常生活から切り離された場所で思考や読書にのめり込むことができる場所となっています。

書院ならではの素敵な雰囲気が味わえますので、ぜひ足を運んでみてください!

書院の情報や料金などにつきましては書院公式X(旧Twitter)にてご確認ください。

 

リラックスした空間で新たな発見ができる書店

啓林堂書店奈良店さんは奈良の文化財や寺院に1番近い書店として、奈良の本や仏像・古代史・仏教に関する本が充実しています。

1階の書店では文庫コーナーも多く品揃えをしていて、今回の改装を機に著者別に並べ替え新たな発見のある売り場になっています。

また、「本に光を当てる」をテーマに本棚什器には照明を設け、探しやすく、見入ってしまうような棚作りを心がけています。

お客さんが落ち着きと発見の両方を得られるようなお店づくりができるように、スタッフ全員で取り組んでいる書店さんです。

忙しい毎日の中で自分の思考を深めたり、心身ともにリラックスしたりすることが難しくなっている人も多いと思います。

そのような人はぜひ、啓林堂書店奈良店を訪れてみてはいかがでしょうか。

 

啓林堂書店につきましては公式サイトまたは公式X(旧Twitterからご確認ください。

 

書院の担当者、中村さんからのメッセージ

啓林堂書店奈良店は23年間この場所で営業してきましたが、これほど大きな改装は初めてです。

書院というスペースも今後時間をかけてお客様とともに作っていく場所だと考えています。奈良にお住いの方はもちろん観光に来られる方もゆっくり過ごして頂ける書店です。

ぜひ一度お越しください。

 


取材にご協力いただいた啓林堂書店奈良店の中村さん、ありがとうございました!

ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。

次回もお楽しみに!

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本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。

 

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  • 本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~

    ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。

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