株式会社大田丸「BUN-1グランプリ2024」/本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第29回】

更新:2024.9.24

「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回は株式会社大田丸という書店協業会社が実施している「BUN-1グランプリ2024」について紹介します。 「BUN-1グランプリ2024」について、株式会社大田丸営業本部長であり、大垣書店麻布台ヒルズ店の店長でもある赤井さんにお話を伺いました。

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120店舗の書店と出版社が参加!「BUN-1グランプリ2024」

「BUN-1グランプリ2024」は、大田丸に加盟している120店舗の書店員が「もう一度売りたい、おすすめしたい文庫」を一人一冊推薦し、投票で選ばれた10作の中で最も売れた作品を決めるグランプリです。

イベントを実施しているのは、地方書店12法人による書店協業会社・株式会社大田丸で、共同販売事業をメインに、復刊企画など様々な取り組みを行っています(大田丸については後ほど紹介します)。

「BUN-1グランプリ2024」で扱われる作品は、「作者が紙の本でのデビュー15年以内の現役作家の作品」かつ「国内小説」という条件に基づき、大田丸に参加する257名の書店員と出版社によって175作品が推薦され、その中から投票で10作品に絞られました。

▼ノミネートされた10作品

『お探し物は図書館まで』

『この本を盗む者は』

『塞王の楯』(上・下)

『屍人荘の殺人』

『#真相をお話しします』

『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』

『猫を処方いたします』

『水を縫う』

『むらさきのスカートの女』

『レモンと殺人鬼』

 

この10作品のうち、2024年8月20日~10月15日の間に最も売れた作品が、本の日である11月1日にグランプリとして発表される予定です。

 

撮影:大垣書店 麻布台ヒルズ店

地方書店からベストセラーを生み出す!

「BUN-1グランプリ2024」は、一つの書店でベストセラーを生み出すのは難しいという課題に対し、複数の書店の「売る力」を結集すれば地方ならではのヒット作を生み出せるのではないか、という発想から始まったイベントです。

「BUN-1グランプリ2024」のコンセプトは、「昔に売れていた本をもう一度売る」「細々と売れ続けている本に光を当てる」というものです。より多くの読者に参加してもらうため、手に取りやすい文庫でグランプリを決める形にしました。

企画内容やロゴの決定には大田丸に参加する12社が議論を重ねたため、イベントの開催までに時間がかかったそうですが、書店の垣根を超えたユニークな試みとなっています。

担当者の赤井さんは「もっと読者が参加できるような仕掛けができればと思っています。また、グランプリを獲得した作家さんに来店してもらい、イベントを開催するのも面白いかもしれませんね。最終的には第二回、第三回と続いていくイベントに育てたいです。」と、今後の展開について語ってくれました。

 

購入数でグランプリを決めるシビアな戦いが面白い!

「BUN-1グランプリ2024」の最大の魅力は、実際の売上冊数でグランプリが決まる点です。ネット投票やアンケート形式で決める賞は多いですが、読者が書店で購入した冊数によって決まるガチンコ勝負の企画はとても珍しいです。

また、ノミネートされた10作品は175作品の中から選ばれた優れた本なので、どの作品も読んで面白いと感じることができるでしょう。

購入を迷ったら、書店員や出版社の推薦理由が書かれた専用の冊子を読んでみてください。

「BUN-1グランプリ2024」は自分が購入した本がグランプリになるかもしれないというドキドキ感を味わえるだけでなく、普段手に取らない本を読むきっかけにもなるイベントです。また、今回が初開催なので、2回目、3回目の「BUN-1グランプリ」では「初回から参加していた」と自慢できるかもしれません。

実施している書店は下記になっていますので、お近くにお店がございましたら覗いてみてはいかがでしょうか。店舗ごとに展開の仕方に違いがあるのも面白いです!

今井書店

WAY書店

大垣書店

啓林堂書店

廣文館

東山堂

久美堂

ブックスタマ

文苑堂書店

豊川堂

芳林堂書店

朗月堂

 

撮影:スーパーセンターWAY 南紀店

 

撮影:久美堂伊勢原店

「BUN-1グランプリ2024」の詳細は公式HPからご確認ください。

一店舗では出来ないことを実現する大田丸

大田丸は2011年2月に設立され、当初の加盟店は今井書店、大垣書店、廣文館の3書店でしたが、2024年9月現在で12書店、120店舗以上に拡大しました。

読者に「とにかく面白い本を届けたい」という目標のもと、13年間で出版社と協力した取り組みや復刊企画など、様々な活動を行っています。

赤井さんは大田丸のメリットについて「他の書店とのつながりができ、リアルな売り場の情報を共有できることが大きな利点です。

また、大田丸の加盟書店と協力することで、自店では実現できないことを可能にし、売上やお客様の利益につなげられるのも良い点です」と話してくれました。

さらに、大田丸ではPOP研修など、書店を越えたスタッフ育成にも力を入れており、今回の「BUN-1グランプリ2024」のようなイベントも、スタッフが普段得られない経験を積む機会として活かされています。

大田丸は参加書店を募集しているので、興味がある書店はぜひ問い合わせてみてください。

大田丸については公式HPからご確認いただけます。


取材にご協力いただいた株式会社大田丸営業本部長であり大垣書店店長の赤井さん、ありがとうございました!

ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。

次回もお楽しみに!

 

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本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。

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  • 本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~

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