「書店オリジナルのフェア」を取材する「本屋遊泳」。 今回は三省堂書店有楽町店さんで開催中の『十二国記』コーナーを紹介します。コーナーについて、担当者の山口さんにお話を伺いました。
『十二国記』という作品をご存じでしょうか。この作品は、我々の世界と別の異世界「十二国」の二つの世界を舞台にしたファンタジー小説です。
各国には、天意を受けた霊獣である麒麟が見出した王が存在しており、十二国のさまざまな国や人々に焦点を当てて進んでいく、人気シリーズです。
そんな『十二国記』を全力でおすすめするコーナーを展開しているのが三省堂書店有楽町店さんです。
三省堂書店有楽町店さんでは、約5年前から『十二国記』の全巻とガイドブック、画集などを集めたコーナーを展開しています。
作品への愛が溢れ出たPOPや作品の読み順リストなど、はじめて作品を知った人から、ファンの方まで楽しめるような工夫がされています。
また、スタッフさんが胸を張っておすすめできるファンタジー小説も一緒に並べられており、作品に対する熱い思いが溢れ出ている売り場となっています。
『十二国記』コーナーを作った山口さんは昔から作品の大ファンで、18年ぶりの新刊『白銀の墟 玄の月』が発売される際に、自分だけでなく周囲にも喜んでいるスタッフさんがいたことから、「自分だけでなくこんなにファンがいるんだ」と改めて気づいたそうです。
一方で、『十二国記』を知らないスタッフさんもいたことから、新刊発売前に作品の魅力をしっかりと伝え、発売後にはみんなで盛り上がれるようにと、当コーナーを用意したそうです。
新刊発売後もコーナーを展開し、グッズなどの取り扱いを続けるうちに、お客さんの間で「このお店は『十二国記』を熱心に推している」という認識が広まり、最終的に常設コーナーとして設置されることになりました。
三省堂書店有楽町店さんでは『十二国記』について、『読んでみたいけど、どの作品から読めばいいのかわからない』、また『この作品の魅力をもっと知りたい!』と思っている方へ向けて、様々な施策を行っています。
『十二国記』は作品数が多く、「どの作品から読めばいいのかわからない」といった声が多いそうです。
そのため、もっと作品を気軽に読んでもらえるように、『十二国記』のコーナーには店舗のスタッフさんがおすすめする「十二国記の読む順番アドバイス」というPOPを掲載しています。
こちらのPOPは、担当者の山口さんがスタッフさんに向けて行った「あなただったらどういう読み順で読む?」というアンケートの回答を基に作成されました。
「登場人物が無理なく入ってくる順番」や「全作品を読破したい人におすすめな順番」など、『十二国記』を楽しめる様々な方法が提案されています。
『十二国記』に興味を持った方は、ぜひPOPを読んでみてください。
18年ぶりの新刊が発売された際に、『十二国記』を読み始めたきっかけや作品の魅力について、スタッフさんからのコメントを集めたペーパーを作成し、お客さんへ無料で配布していました。
どのスタッフさんもコメントを書き出したら止まらなくなったようで、どんどん字が小さくなり、「コメントを記入する枠をもう少し大きくして欲しい!」といった要望も出たそうです。
さらに、購入者特典のオリジナルペーパーや、新刊発売によって新たにファンになった人からのコメントを集めたペーパーなども作成し、『十二国記』の魅力を全力で伝えるために、様々なアイデアを実施していました。
『十二国記』は他の人に全力でおすすめしたいと思えるような作品です。三省堂書店有楽町店さんの『十二国記』コーナーに足を運んで、作品を熱量も感じてみてください。
三省堂書店有楽町店さんの『十二国記』コーナーには、友達を連れてきて作品をおすすめするファンが多くいるそうです。
他にも、友達に『十二国記』をお勧めされて三省堂書店有楽町店さんへ来たお客さんや、コーナーのPOPを見て「作品に詳しい人を呼んで欲しい」というお客さんがいるなど、様々な人に作品を読むきっかけを与えています。
また、担当者の山口さんがコーナーのメンテナンスをしている際に、『十二国記』のファンから「私も好きなんです!」と声をかけられることが多く、お客さんとのコミュニケーションの場ともなっています。
最後に担当者の山口さんから、改めて『十二国記』の魅力を教えてもらいました。
特に「作品が面白いことはわかったけど、ファンタジー小説になじみがなくて、まだ読もうか迷っている」といった方はぜひ、読んでいただけると嬉しいです。
以下、メッセージです。
『十二国記』は物語の世界観や話の展開を楽しめるだけでなく、今の生き方とか、その仕事の仕方とか、生きる指針になる作品です。
ファンタジーだと、主人公が超人的であったり、魔法で解決してしまうことも多いのですが、この作品ではそのようなことが全くなく、主人公たちが泥臭く努力し、自分で選択して成長していく様が描かれています。
また、登場人物達の姿に共感をしたり、自分もこういう風に生きていこうと思えたりなど、今の自分の生活に取り込めるような要素もあります。
他にも、主人公だけでなく味方を含め、それぞれの生き様であったり考え方から、新しい視点を与えてくれるなど、色んな魅力が詰まっている作品です。
何か挑戦しようと思っていることがあったら、背中を押してくれることもあるし、逆に「ちょっと待て」と踏みとどまらせてくれることもあり、自分の人生のきっかけになる本です。
とにかく全人類に読んで欲しいです!
以上、山口さんからのメッセージでした!
有楽町というビジネスマンが多い書店なので、ビジネス書に力を入れていますが、新刊や話題書の紹介や児童書コーナーなどにも力を入れている書店さんです。
また、スタッフさんが好きな本を熱心におすすめする文化があり、『十二国記』コーナーをはじめ、店舗の各所で熱量のこもった売り場が展開されています。
お店に訪れた際に何か新しい発見があるような店舗づくりをしている書店なので、ぜひ足を運んでみてください。
三省堂書店有楽町店さんの情報は公式HP、または公式Xからご確認いただけます。
十二国記
2012/6/27
「⽉の影 影の海」は『十二国記』シリーズの第一エピソードとなる作品です。どの作品から読むか迷った人は、「⽉の影 影の海」がおすすめです。〔上〕はとんでないところで話が終わるそうので、ぜひ〔上〕〔下〕の両方を購入して読んでください!
「十二国記」30周年記念ガイドブック
2022/8/25
『十二国記』の30周年を祝う特別な一冊です。作品の歴史や舞台背景、キャラクターたちの魅力について、シリーズを愛するファンはもちろん、これから『十二国記』に触れる読者にとっても最適な一冊です。
「十二国記」画集《第二集》青陽の曲
2022/9/15
『十二国記』シリーズの装画・挿絵を描く山田章博氏のイラストを原画に近い迫力のサイズで構成。グッズ用・イベント用に描き下ろされた作品だけでなく描き下ろしイラストも収録されています。
取材にご協力いただいた三省堂書店有楽町店の山口さん、ありがとうございました!
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次回もお楽しみに!
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