紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店 「辻村深月フェア」/本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第36回】

更新:2025.3.5

「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回は紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店 の「辻村深月フェア」について紹介します。 フェアについて担当者の宮澤さんにお話しを伺いました。

ホンシェルジュ編集部です。編集部公式で全力で本を紹介したり、イベントレポートをしたり、インタビューをしたり。
泡の子

辻村深月さんの全作品を展開しているフェア

紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店では、辻村深月さんの全作品を一堂に集めてご紹介する「辻村深月フェア」を展開しています。

さらに、ポップやポジショニングマップ、スタッフのコメントが書かれたフリーペーパーなども作成し、ファンから初心者まで辻村さんの作品を楽しめるフェアとなっています。

フェアのきっかけは講談社とのコラボ企画で、辻村さんの『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』という文庫のオリジナルカバーを作成したことです。

「辻村深月さん本人に来店してもらうこと」を目標に掲げてフェアをスタートしたところ、なんとフェア開始から1カ月後には辻村さんの来店が実現し、記念のサインも書いてもらったそうです。

目標を達成したあとも、辻村さんの作品が全てまとめられているお店として認知されたことから、1年以上続く看板フェアになりました。

 

誰でも楽しめるように様々な工夫で作品の魅力を届ける!

「辻村深月フェア」は様々な方法で作品の面白さを伝えてくれるので、ファンだけでなく、作品を知らない人まで楽しむことができます。

フェアで展開されている工夫について、ひとつずつ紹介していきます。

 

1辻村さんの全作品を紹介

このフェアの最大の特徴は、辻村さんの作品が全点並んでいることです。通常、文庫は出版社ごとに並べられますが、決して大きくない規模の店舗で一人の作者の全作品を一つの棚に集約するのは珍しい試みです。

2辻村さん作品のポジショニングマップ

2024年8月に前店長の平野さんと担当者の宮澤さんがとある番組に出演した際に、辻村深月さんの作品を紹介するためのポジショニングマップが紹介されました 。

作品を「光と闇」「家族・母娘と青春・友情」という軸に分け、スタッフと一緒にマッピングをしたそうです。

辻村さんの作品の幅広さを伝えてくれるだけでなく、これから作品を読む方にも参考になるマップとなっています。

また、2025年1月には同番組にて、辻村さんご自身が先ほどのポジショニングマップを検証する企画があり、新バージョン も作成されました。

どちらのポジショニングマップもお店に紹介されているので比較してみると、面白い発見があるかもしれません。

3.お客さんも作品をマッピングできる

また、お店に来たお客さんもオリジナルのポジショニングマップをつくれるように、作品を動かせるパネルも展開されています。

自分で「この作品はこうだと思う」と考えながら作品のミニチュアを動かして、完成したら写真を撮ってSNSなどに投稿できる面白い企画です。

このミニチュア本は背表紙までこだわって出版社のカラーに合わせて作られ、かなりリアルな仕上がりになっています。ぜひ、お店でパネルに触れてみてください。

4.熱量のあるポップ、ペーパー、アンケートも!

辻村さんの作品をより多くの人に伝えるために、ポップや持ち帰り可能なフリーペーパーも作成しており、どちらもかなりの熱量で魅力を伝えてくれています。

「どの本も読みたい!」と思わせてくれるような文章で作品を紹介しているので、ぜひ手に取ってみてください。

その他にも「辻村と白辻村のどっちが好きか?」というアンケートも展開されており、お客さんがシールを貼って投票できるようになっています。

新ジャンルに挑戦したい人にもおすすめなフェア

辻村深月さんは、様々なジャンルの作品を生み出している作家さんです。そのため、辻村さんの本を読むことで、普段触れないジャンルやテーマの本と出会う機会が得られます。

新しいジャンルに挑戦したい人は「辻村深月フェア」へ足を運び、ポップやポジショニングマップを参考にしながら、新たな読書体験を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

独自のフェアを展開しているお店

紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店ではいつ来ても楽しい売り場づくりを目指して、お店独自のフェアをたくさん実施しているところが魅力です。

例えば、文庫解説の一部を隠して仕掛け販売したり、地元が舞台のご当地小説を目立つ展開で押し出したりと 、スタッフが売りたい本をどんどん紹介している熱量のある店舗です。ぜひ、足を運んでみてください。

紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店の情報は公式Xなどからご確認できます

 

フェア担当者の宮澤さんからのメッセージ

当店に来たら、ただ本を買うだけでなく、売り場を楽しんで欲しいと思っています。ポジショニングマップのパネルを動かしてみたり、アンケートに参加したりしながら本選びを楽しんでください。

また私は児童書コーナーも担当しており、こちらでも子供向けの楽しいイベントやフェアを開催しています。ぜひ色々なコーナーをのぞいてみてください!

 

おすすめ本①『この夏の星を見る』

この夏の星を見る

2023/06/30
辻村 深月
KADOKAWA

2020年のコロナ禍を背景に、天文活動を通じて繋がる中高生たちの青春と成長を描いた物語です。

異なる地域に住んでいる学生たちが、限られた環境の中で出来ることを考え行動していく様子に心を動かされます。また、そのような子供を見守る先生の姿にも注目です。

 

おすすめ本②『傲慢と善良』

傲慢と善良

2022/09/07
辻村 深月
朝日新聞出版

婚活アプリで出会った西澤架と坂庭真実は婚約しますが、真実が突然失踪。架は真実を探す中で彼女の過去や嘘に直面し、人間の「傲慢さ」と「善良さ」を見つめ直していく作品です。

昨年の映画化も話題で、辻村さんの作品を初めて読む方におすすめです。

 

おすすめ本③『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

2012/04/13
辻村 深月
講談社

幼なじみの失踪を追う女性を通して、母娘関係や女性の生き方を探ります。山梨県を舞台に、事件の真相と人間関係の複雑さが徐々に明かされていきます。

骨太のミステリーを読みたい方に特におすすめです!

 

おすすめ本④『ぼくのメジャースプーン』

ぼくのメジャースプーン

2009/04/15
辻村 深月
講談社

相手に条件を提示し強制的に従わせることができる能力を持つ主人公が、とある事件に遭遇する。復讐のために、自身の能力をどのように使うべきか葛藤するストーリーです。

たった10歳の少年が最後に下す決断に心を打たれ、思わず涙してしまいます…!

 

おすすめ本⑤『朝が来る』

朝が来る

2018/09/04
辻村 深月
文藝春秋

14歳で出産した子供を特別養子縁組へ出したひかりと、その子供を迎え入れた夫婦のお話です。フェア担当者の宮澤さんが、涙が止まらなかった作品だそうです。

苦しい怒涛の展開もありますが、最後にはタイトルにあるように希望が見えるストーリーとなっています。

 


取材にご協力いただいた紀伊國屋書店イトーヨーカドー木場店の宮澤さん、ありがとうございました!

ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。

次回もお楽しみに!

 

特集

過去の記事はこちらから

本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。

 

この記事が含まれる特集

  • 本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~

    ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。

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