「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回は株式会社書泉グループの芳林堂書店高田馬場店にて開催されている復刊 本フェア「書泉と、10冊」「芳林堂書店と、10冊」について紹介します。 本フェアについて担当者の山本さんにお話を伺いました!

株式会社書泉では、「書泉と、10冊」「芳林堂書店と、10冊」と題した復刊本フェアを開催しています。
本フェアは、過去に絶版となった名作や入手困難な書籍を復刊・再販する取り組みで、小説を中心に、さまざまなジャンルの書籍がラインナップされています。
このフェアは、書泉グランデで復刊された『中世への旅 騎士と城』が予想以上の反響を得たことをきっかけにスタートしました。その成功を受け、復刊のジャンルは拡大。
2023年からは、書泉・芳林堂書店にて毎年計20冊の復刊本が登場しています。読書好きにとっては、過去の名作と再会し、長らく入手できなかった本と出会える貴重な機会となっています。
復刊の対象は、未単行本化の作品や電子書籍でしか読めない本、プレミア化して入手困難になったタイトルなど多岐にわたります。書泉の社員や担当者の山本さんが、復刊する商品を選定しているそうです。
復刊は出版社や復刊ドットコムを通じて進めることが一般的ですが、それだけでは対応しきれないケースもあります。
そこで、書泉では復刊できない作品を自ら出版する取り組みを始めました。
たとえば『フィフス』や『観音異聞』は、表紙デザインから印刷までを書泉が手がけて復刊された作品です。
「復刊できないなら、自分たちで出版しよう」。そんな情熱のもと、担当の山本さんを中心に試行錯誤しながら完成させた自社出版の書籍もフェアに並んでいます。
こうした“手作りの復刊”に触れられることも、「復刊本フェア」の大きな魅力の一つです。
書泉・芳林堂書店では、復刻本にさらなる魅力を加える取り組みも行っています。
作家や出版社と協力し、新作短編やポストカードなどの特典を、無償または有償特典として提供しております。復刊をきっかけに、ここでしか読めない作品に出会えるという特別な読書体験をお楽しみいただけます。
また、一般的な書店では復刊本の印刷部数を出版社が決定し、書店はその在庫を仕入れて販売するのが通例ですが、書泉は復刊本の部数を買い切る方式を採用しています。
これにより書店がリスクを負い、通常では復刊が難しい書籍を復刊することができます。
また、オンラインショップでの積極的な販売により、入手困難な書籍を広く届けることで、買い切った復刊本を効率よく売り切る工夫も行っております。
フェアの最大の魅力は、面白いのに絶版となっていた名作や、高額になり入手困難だった本と出会えること。再登場する復刊本は、いずれも読者にとって新たな発見と読書の喜びを与えてくれます。
過去の名作との再会に加え、普段の読書では出会えない本に触れられる──そんな特別な体験を味わえる機会です。ぜひ、フェアに足を運んでみてください。
公式の書泉オンラインでも復刻本を購入できます。
芳林堂書店高田馬場店は、専門学校や日本語学校が集まる地域に位置し、国内外の幅広い読者に向けた販売を行っています。
特にオンラインショップを活用した広域販売が強みで、全国の読者に直接アプローチ可能です。
また、文芸作品や復刊本に力を入れており、著者とのウェブサイン会やサイン本の販売など、独自の取り組みを展開。他の書店にはない個性を打ち出し、多くのリピーターを獲得しています。
芳林堂書店高田馬場店の詳細は公式HPまたは公式Xでご確認ください。
読みたい人が多いのに、絶版やプレミア価格で手に入らない本を、少しでも多くの方に手に取っていただけるよう、復刊の取り組みを行っています。ぜひ、店舗に足を運んでみてください。
また、弊社で制作した作品は、他の書店様にも卸すことが可能です。販売にご協力いただける書店様を募集しています。
フィフス
2024/12
謎の美少女・蘭冷と出会い、異常な日常に巻き込まれた大学生・一気。暴力と美が交錯する中、世界の裏側にある“壊す”意味に迫る異色ミステリ。
観音異聞
2025/5/12
奇怪な観音像をめぐり、美術史と信仰が交錯するミステリ。大学生の主人公が、像に秘められた過去と人間の心の深淵に迫る。
紫色のクオリア
2025/8
世界を「機械」として見る少女と、彼女を救おうとする少年。感覚の本質“クオリア”をテーマに、哲学とSFが交錯する青春物語。
こちらは電子書籍では読めるものの、紙での販売がなかったため、2025年8月末に書泉全店(書泉オンラインを含む)と芳林堂書店高田馬場店で復刊し、販売される予定です。
取材にご協力いただいた、芳林堂書店 高田馬場の山本さん、ありがとうございました!
ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。
次回もお楽しみに!
特集
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