TSUTAYA中津店「ワンコイン文庫フェア」/本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~【第49回】

更新:2026.3.5

「書店オリジナルのフェア」の取材を通してお伝えしている本屋遊泳。今回はTSUTAYA中津店さんの「ワンコイン文庫フェア」について紹介します。 「ワンコイン文庫フェア」について文庫・文芸担当さんにお話しを伺いました。

ホンシェルジュ編集部です。編集部公式で全力で本を紹介したり、イベントレポートをしたり、インタビューをしたり。
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税込み500円以下で買える「ワンコイン文庫フェア」

最近、文庫本の棚を見上げて「ずいぶん高くなったな……」と感じることが増えたのではないでしょうか。かつてはワンコインで気軽に買えた文庫本も、今や800円、1,000円を超えることが珍しくありません。

そんな中、TSUTAYA 中津店では、「もっと気軽に本を手に取ってほしい」という想いから、税込500円以下で購入できる文庫本だけを集めた「ワンコイン文庫フェア」を開催しています。

当初は「冬休み期間限定」の予定でしたが、お客様の反応が良かったことから、現在は常設コーナーとして展開されています。

コーナーには夏目漱石や太宰治といった文豪の名作から、吉本ばななのような現代の人気作家まで幅広く並んでいます。「名前は知っているけれど、実はまだ読んでいない」「教科書で数ページだけ読んで、続きが気になっていた」。そんな名作たちとワンコインで再会できる、絶好の機会です。

当フェアは、500円以下の本が棚を埋められないほど在庫が減ってしまうまで継続されるとのこと。物価上昇の影響により、いつ値上がりや絶版になるかわからない本ばかりです。この貴重なチャンスに、ぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。

「いつか読まなくちゃ」を今、叶える。

「ワンコイン文庫フェア」の魅力は、教科書やニュースで何度も目にして、心のどこかで「いつか読まなくちゃ」「一度は読んでみたい」と思っていた名作に出会えるだけでなく、ワンコインで名作にチャレンジできるところです。

また、補充のたびに顔ぶれが変わるため、「今の自分にぴったりの一冊」を直感で選ぶ「ジャケ買い」も楽しいものです。

どんどん減っていく在庫の中から一期一会の出会いを楽しむ体験は、ネットショッピングにはない実店舗ならではの魅力となっています。

当フェアを企画した文庫・文芸担当さんも「自分が学生の頃は、500円で買えるからという理由で文庫を選んでいた」と語るように、かつては当たり前だった価格帯が今、失われつつあります。

太宰治や吉本ばななの作品が500円以下で読めるのは、今だけかもしれません。学校の授業で取り上げられる作品も多いため、特に学生さんの学習用としても最適なフェアです。

自分の「好き」を見つけられる書店

フェアを開催しているTSUTAYA 中津店は、本だけでなく、あらゆるエンタメが一度に楽しめる大型店舗です。

店舗の1階は、近隣で一番の在庫数を誇る本のフロアとなっており、こだわりの文房具や雑貨なども展開。また2階には、レンタル、トレカ、ゲームに加え、バンダイのカプセルトイ専門店「ガシャポンバンダイオフィシャルショップ」も併設されています。

本を一冊選んだ後に、最新のガシャポンを楽しんだり、最新ゲームをチェックしたり。家族や友人と訪れても、それぞれが自分の「好き」を見つけられる空間です。大分県にお越しの際は、ぜひ訪れてみてください。

▼TSUTAYA 中津店
〒871-0065 大分県中津市蛭子町2-10-2
最新情報は公式Xからご確認いただけます。

フェア企画者 文庫・文芸担当さんからのメッセージ

「本屋に行くと、『探していない本』に出会えます。ぜひ、お近くの書店に足を運んでみてください」

ここからは、文庫・文芸担当さんがフェアで展開している「おすすめの本」を紹介していきます。

おすすめ本①『人間失格』

人間失格

2006/01
太宰治
新潮社

「恥の多い生涯を送って来ました」という独白から始まる、あまりに純粋で、あまりに不器用な男の独白録。

他人の顔色を伺い「おどけ」を演じることでしか社会と繋がれなかった青年の、孤独な転落が描かれます。

誰の心にも潜む「自分は人間失格ではないか」という震えるような不安を、鋭く、優しく突き刺す一冊。

時代を超えて若者の心を掴んで離さない、究極の孤独の物語です。

おすすめ本②『智恵子抄』

智恵子抄

2003/11
高村光太郎
新潮社

一人の彫刻家が、最愛の妻・智恵子の死を挟んで綴り続けた、30年にわたる愛の軌跡です。

共に芸術を志し、共に歩み、そして妻が心を病み去っていくまでの日々が、透明感あふれる詩で刻まれています。

東京に空がないと嘆いた彼女が見上げた、本当の空。一途に誰かを想うことの気高さと、失ってもなお消えない愛の美しさが、読む者の心に静かな涙を誘います。

おすすめ本③『春琴抄』

春琴抄

2012/06
谷崎潤一郎
新潮社

美しくも冷酷な盲目の三味線師匠・春琴と、彼女を崇拝し尽くす奉公人・佐助。二人の間に流れるのは、単なる愛を超えた、陶酔と献身の濃密な時間です。

師弟でありながら、強烈な支配と従属で結ばれた二人の絆は、ある凄惨な事件をきっかけに、究極の「美」の完成へと向かいます。

谷崎潤一郎の耽美な文章が描き出す、狂おしいほどに純粋で、妖しい愛の形に圧倒されるはずです。

おすすめ本④『キッチン』

キッチン

1998/06
吉本 ばなな
角川書店

大好きだった祖母を亡くし、天涯孤独となったみかげ。彼女を救い出したのは、少し不思議な親子と、家の中で一番好きな場所である「キッチン」でした。

死という逃れられない別れを背景に、残された人々が共に食事をし、眠り、日常を慈しむことで再生していく姿が描かれます。

瑞々しく軽やかな言葉たちが、傷ついた心にそっと寄り添い、明日を生きる勇気をくれる、永遠のマスターピースです。

おすすめ本⑤『走れメロス』

走れメロス

2007/06
太宰 治
角川書店

親友の命を背負い、自らの信実を証明するために、メロスは赤く沈む陽に向かって走り続けます。立ちはだかる困難、折れかける心、そして人を信じられなくなった王との対峙。

教科書で出会ったあの一行一行が、大人になった今、より切実に、より熱く胸に響きます。疑いようのない「友情」と、泥臭いまでの「誠実さ」が、打算に慣れてしまった私たちの心を揺さぶる、清々しい青春小説です。


取材にご協力いただいた、TSUTAYA中津店の文庫・文芸担当さん、ありがとうございました!

ホンシェルジュでは、フェアを紹介させていただける全国の書店様を募集しております。ご興味をお持ちいただけた書店様は、問い合わせからぜひご相談ください。

次回もお楽しみに!

 

特集

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本屋を訪れる楽しみの1つが、その本屋さんオリジナルのフェア。ホンシェルジュでは「書店オリジナルのフェア」を「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名し、取材を通してその魅力をお伝えしていきます。

 

この記事が含まれる特集

  • 本屋遊泳~ブックリウムに会いに行こう~

    ホンシェルジュでは書店オリジナルのフェアを「ブックリウム(本で満たされた空間)」と命名。 本屋さんへの取材を通してフェアのテーマや選書を紹介、アーカイブ化する特集です。 ぜひお気に入りの本屋さんを見つけてください。

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