シャネルといえば、みんなが憧れるファッションブランドですよね。では、その創業者であるココ・シャネルについてはどこまで知っているでしょうか。壮絶な生き方をしたファッションデザイナーの生き方を伝える本を、今回はご紹介します。
ココ・シャネル、本名はガブリエル・ボヌール・シャネルと言います。1883年にフランスに生まれた彼女は、幼少期に母親が他界し、孤児院で育つこととなりました。
その後、針子の仕事をしながら歌手を志す日々でしたが、交際相手であった将校エティエンヌ・バルサンをきっかけにある帽子のデザインをします。これが認められ、彼の支援もあり彼女は帽子専門店を開くことになるのです。
1910年に、彼女がパリにオープンさせた帽子専門店の名前が「シャネル・モード」といい、ここからシャネルが本格的に起業していくことになります。しかし、1939年には労働環境が原因となるストライキが起こり、その翌年にはフランスがドイツ軍によって占領されるなどが相次ぎました。そのため彼女は一部を残し引退することになります。
彼女がファッション界に復帰したのは1954年、スイスでの亡命生活を終えたあとのことです。当初ヨーロッパでは彼女の評価はいいものではありませんでしたが、代わりにアメリカでは熱狂的に受け入れられることになります。結果、翌年にはシャネル・スーツを発表し、アメリカでもっとも影響を与えたデザイナーとしてモード・オスカー賞を受賞しました。
1:コルセットからの脱却をはかった
19世紀の女性はコルセットを着て、すそを引きずりながら生活していました。第一次大戦中に、男性が戦争に行ってしまったため、女性の労働が増え、コルセットが不便になってきた時代に、ココ・シャネルはすそをカットして動きやすい服を発表しました。
2:帽子をシンプルにした
20世紀初頭の帽子は装飾が派手なものばかりでしたが、ココ・シャネルは装飾をなくし、シンプルな帽子をデザインしました。
3:ショートカットを流行らせた
ロングヘアーが流行っていた20世紀前半に、ショートカットを流行らせたのもココ・シャネルです。彼女は「ショートカットが流行ったんじゃない。わたしが流行ったのよ」と語ったそうです。
4:ショルダーバッグを作った
ハンドバッグしかなかった時代に、ショルダーバッグを発明しました。これにより、女性の手が解放されました。
5:パンツスタイルのパイオニアだった
シャネルは、ベネチアでゴンドラでの移動をより楽にしようとズボンを着たことで、ファッション界を大いに怒らせました。彼女はロングスカートをはきながらで、馬に心地よく乗る方法はないと強く信じていたそうです。
6:デザイナー発信の香水を初めて作った
シャネルは、最も有名な香水であるChanel No.5を作りました。Chanel No.5は1921年に発売されました。マリリン・モンローが何を着て寝ているかと聞かれた時に、「少しのChanel No.5」と答えたことで、Chanel No.5はその地位を不動のものとしました。
7:女性用のスーツを発明した
シャネルは女性を「動きづらいドレスから解放」することで、女性のファッションに革命を起こしました。シャネルのスーツは、軍服にから着想を得たジャケットと、ポケット、そして宝石のように見えるボタンが特徴でした。
8:性格がきつかった
シャネルは同時代のデザイナーに対しての批判を繰り返しました。クリスティアン・ディオールが女性向けの肘掛け椅子を使っていることを責め、バレンシアガのデザインを褒める一方で裁断の巧さについては疑問を投げていました。
1954年、Vogueにインタビューをされた彼女は「私のデザインはいつも周りに真似されています」と答えたとあります。
9:シャネルのジュエリーにライオンが使われているわけ
シャネルは獅子座だったので、ライオンをよく使ったそうです。「私は獅子。私は獅子のように自分を守るために爪を見せつけます。でも、私は引っ掻くよりひっかかれて傷ついているのです。」とシャネルは語ったこともあるそうです。
10:好きな色は黒
白、ベージュ、金、赤はシャネルの象徴的な色ですが、シャネルの好きな色は黒でした。シャネルにとって、黒は女性の出す魅力を抑え、本来の自分を目立たせることができる色でした。そしてこの色は、孤児院での修道女のベールを思い出させる色でもありました。
ファッションデザイナーとして、熱狂的な支持を得たココ・シャネル。彼女のファッションが評価された理由のひとつに挙げられるのが、ファッションの常識を大きく覆した革命性でしょう。そして、その考え方は生き方そのものにも表れています。
- 著者
- 高野 てるみ
- 出版日
- 2012-02-03
この本では、彼女の人生、仕事、恋愛、もちろんファッションのことについてなどの名言が60ほど載っている一冊になっています。そのひとつひとつに彼女の発言の意図やその時の状況などが詳しく載っているので、あますことなく彼女の感性が取り込めることでしょう。
日々の生活の中、女性のみなさんは数々の悩みを抱えていることだと思います。たとえばそれは仕事のことだったり、恋愛のことだったり、将来のことだったりと多岐にわたることでしょう。そんな悩みを解決してくれる言葉がぎゅっとつまったのがこの本です。
最近元気が出ないと感じた時に、そっと彼女の言葉に頼ってみてください。きっと気持ちが軽くなり、元気になれることでしょう。日々の人生を頑張る女性のための一冊です。
この本はココ・シャネルのデザイナーとしての面をクローズアップしたものになります。タイトルの「VOGUE」とは、1892年からアメリカで発行されている女性向けのファッション誌です。ココ・シャネルが活躍していた当時の「VOGUE」誌編集部が彼女の記録や作品についてまとめており、ファッションバイブルとしても非常に注目するべき一冊になっています。
- 著者
- ブロンウィン・コスグレーヴ
- 出版日
- 2013-02-01
何より目を引くのは当時の著名なイラストレーターやフォトグラファーが提供した写真やイラストの数々です。そして、それとともに彼女の生き方や、デザインに対しての記述が実力あるファッションライターによってまとめられています。
この一冊だけでココ・シャネルという人物の生涯を知れると共に、彼女がデザインし発信してきたファッション、「シャネル」ブランドのアイテムに関するエピソードなどを知ることができるのです。まさに、ファッションの歴史を知るのに欠かせない1冊だと言えるのではないでしょうか。
シャネルといえば、そして香水といえば……シャネルの香水「N°5」をすぐさま思い浮かべることが出来る人も多いのではないでしょうか。
- 著者
- ティラー マッツエオ
- 出版日
「香りもスタイルの一部」という考えがココ・シャネルにはあたったため、彼女はシャネルブランドでの香水販売に乗り出しました。「N°5」は1921年に発売され、有名女優を始め多くの女性たちの心をとらえ続けています。
この本では、そんな「N°5」がどうしてそこまで人々を魅了したのかが題材にされています。ココ・シャネル自身の投影であるとも言われるこの香水には、それ相応に数多くの伝説があります。その伝説のひとつひとつを解説していき秘密を解き明かす、というのがこの本の大きな主旨です。
「N°5」の秘密はもちろんのこと、ココ・シャネルという女性について、さらにはもっと大きい香水ビジネス全体についてまで分かる一冊になっています。
優秀なファッションデザイナーであり、女性たちに新しい生き方を示したココ・シャネル。ところで、そんな彼女が立ち上げたシャネルブランドは彼女が没した後、どのような道をたどってきたのでしょうか。この本では、ラグジュアリーブランドのトップに君臨してきたシャネルブランド、そしてシャネル社の経営手法に焦点を置いています。
- 著者
- 長沢 伸也
- 出版日
- 2010-01-08
この本では、強大なカリスマであったココ・シャネルが亡くなったあともシャネルがブランドとして強い力を持っている点に、経営面から深く切り込んでいます。シャネルという会社の形態はもちろん、それを支える重要な人物、商品などが項目ごとに丁寧に紹介されているのが特徴です。
たとえば「チェーンベルトバッグ」や香水「N°5」を事例に伝統と革新に触れたり、ブランドの象徴となる印やアイコンの価値を述べたりなど、細かいところまで書かれているので、ブランド知識がない人でも経営学書として楽しめる一冊になっています。
革命的デザイナーであり、挑戦者であり、女性たちの英雄であったココ・シャネル。しかし、そんな彼女がナチスの協力者であったという話を知っているでしょうか。
- 著者
- ハル ヴォーン
- 出版日
数多くの恋人がいた彼女ですが、その中にはドイツ大物スパイの姿もありました。この本は彼女の華々しい活躍からは少し離れ、他の本では触れることのない戦時中の彼女の姿に迫ります。
全部で12章の形式で、彼女の幼少期、修道院での生活から彼女がどうしてスパイになっていったのかが詳しく書かれています。
著者はアメリカのジャーナリストで、CIAの諜報活動にも通じていた人物でした。そのため著者はフランス諜報機関の報告書などを用いて、彼女がスパイであった証拠を多く並べています。推測はなく、あくまでも証拠から戦時中の彼女の姿を書き記した、珍しい本です。
いかがでしたでしょうか。映画などの題材にも多用される彼女の人生は、波乱万丈という言葉がよく似合います。彼女の生き様というのは、どの時代になっても女性たちの心に強く響くことでしょう。