新選組副長、土方歳三についてもっとよく知るための5冊の本。

更新:2021.12.15

新選組を作り上げ、幕末を駆け抜けた男・土方歳三。鬼の副長としての姿以外にもさまざまな側面を持っています。有名どころからちょっと専門的な本まで集めましたので、ぜひ歳三の魅力を新発見してください。

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新選組に生涯を捧げ、戦い続けた土方歳三

土方歳三は、1835年武蔵国多摩に生まれました。農家の10人兄弟の末っ子で、「バラガキのトシ」と呼ばれるような乱暴な子どもだったといわれています。各地の剣術道場で修業をしていましたが、転機が訪れたのは1859年。近藤勇と出会い、天然理心流に入門しました。

歳三たちが将軍警護のために結成した壬生浪士組は、その活躍から1863年に新選組という名を与えられました。歳三は芹沢鴨など邪魔になる人物を自らの手で暗殺し、近藤勇を局長に据え、自分は副長として新選組を組織していきました。規律に厳しく、破ったものは幹部でも切腹させる徹底ぶり。ここから鬼の副長と呼ばれるようになりました。

1868年の戊辰戦争では幕臣として戦いましたが破れ、江戸、函館へと移動していきます。戦うことを止めず、1869年函館の五稜郭での最期となります。敵の銃弾によって死亡したというのが通説。最後まで新選組として戦い続けた生涯でした。

土方歳三にまつわる逸話5選!

1:うまくいかない丁稚奉公

1897年に出版された『両雄士伝補遺』には、1845年に歳三が11歳だったとき、江戸へ奉公に出たと記されています。

当時の子供は、江戸への丁稚奉公はステータスとされ、歳三も現松坂屋百貨店である、上野の松坂屋いとう呉服店へ奉公に出ました。しかし、番頭と揉めてその日の夜には日野の実家へ帰ってしまったそうです。

二度目の奉公は17歳で、江戸大伝馬町に向かいました。しかし、奉公先の女中と関係をもってしまい、主家から暇を出されて、日野に戻ってしまいます。このときはさすがに、兄に叱責を受けたそうです。

2:意外な特技があった

短期間ではあるが、江戸での奉公のおかげで、ハサミや物差しを使うのが得意だったそうです。

また、記憶力もよく、親戚の葬式を手伝ったとき、下足番をして、弔問客が帰る際に取り違えずに履物を出したり、壇払いのときも誰がどれだけ飲食をしたかを覚えていたりしたと伝わっています。

3:俳句を嗜んでいた

浪士組の一員として京都へ出立する際、生家に41句の俳句を抜き出した『豊玉発句集』を残していきました。

上洛後、新選組副長となってからは、特に俳句を嗜むことはなくなり、記録に残ることはありませんでした。

4:剣術修行の傍ら、行商をおこなっていた

近藤勇の天然理心流の道場で剣術修行をおこなう傍ら、石田散薬の行商もおこなっていました。朱塗りのつづら箱に剣術道具をぶら下げて、あちこちの道場で試合をしたそうです。

このとき、彼は1人で歩いていたわけではなく、「酒屋のじいさん」と呼ばれていたおじいさんと一緒に行商を行っていたそうです。

5:役者のような顔立ちだった

軍服姿の写真が残っているため、顔は知っているという方も多いでしょう。新選組副長として京都に滞在していたときも、役者のような顔立ちだったとさまざまな文献に残されています。身長は五尺五寸(およそ168cm)で、当時の男性の平均身長は157cmくらいだったので大きいほうでした。なで肩で少し猫背気味だったそうです。

土方歳三に関する3つのクエスチョン

1:歳三が好きだったものとは?

歳三はとにかく熱い風呂が好きで、一緒に入った甥っ子が熱くて逃げだすほどだったそうです。

また、好物は小野路村の親戚、橋本家のおばあさんが漬けていたたくあんでした。これは好きすぎて、樽で担いで持ち帰ったほどだったそうです。

2:いつから軍服を着用したのか?

新選組の初期の隊服はもちろん着物でした。そして、鳥羽・伏見の戦いで幕府軍が惨敗したときも、新選組は羽織、袴の和服姿でした。これに歳三は「これからは銃でなければだめだ」と感じ、江戸へ退却するとともに、銃を持ち、フランス式の洋装に変更しました。

3:歳三の洋装写真はいつ撮影されたのか?

歳三の写真は、北海道についてから撮られたものが2種類ほど残っています。どちらも同じ撮影場所、椅子、服装です。

同じ椅子を使用し、他にも何人かが撮影されている関係から、蝦夷地(北海道)に入った初期、箱館五稜郭に榎本武揚が幹部を集め、総裁以下、陸軍奉行・海軍奉行などを投票が行われて間もなくのころ、1868年12月ごろと推定されます。

とにかく格好いい!みんなが惚れる男、土方歳三の生涯

日本人の持つ土方歳三のイメージは、この本の歳三だといっても過言ではないでしょう。土方歳三の生きざまに圧倒される作品です。田舎者だった歳三が、近藤勇と出会い、新選組を日本一の集団へと導いていく姿に心震えます。

男の中の男だと感じさせる歳三。目的のためには手段を選ばす、自ら率先して人を切り、近藤勇と新選組のためにその生涯を捧げます。

著者
司馬 遼太郎
出版日


「新選組は裏切らぬ、最後のひとりになっても裏切らぬ」(『燃えよ剣』より引用)

この言葉に歳三の人生が集約されているといえるでしょう。

歳三が新選組をいかに作り上げるか、というところは作品の魅力のひとつです。もともとカリスマ性もあり組織する力もあったのでしょう、子供の頃から地図を書いたり、作戦を練ったりするのが得意でした。規律に厳しく、それを破るものや裏切り者はさっさと切り捨て、ただの剣士の烏合の衆だった人々を一大組織へとまとめあげる力量。それは現代の社会でも参考になりそうな手腕です。

結局は負け組となってしまう新選組。しかし、最後まで剣士であり続けた歳三の姿は、こういう人物でありたいと思わずにはいられないものです。幕末ものとしても新選組の話としても、人気のある『燃えよ剣』。小説なので、随所に語られる恋人・お雪など現実には存在しない人物も登場してきます。しかし土方歳三がどんな人物なのか思いを巡らせることのできる、一度は読んでおきたい名作です。

実は出世争いもあった!?新選組の序列とは?

史実をもとに土方歳三の人物像をしっかり表現している作品。歳三についてテレビや小説での知識しかない人にとっては、目から鱗の新発見があるのではないでしょうか。しかし形態としてはフィクションなので、読みやすさも重視されています。

著者
相川 司
出版日
2013-02-23

特に興味深いのは、役職・序列について言及してあるところです。歳三の役職は副長で、これは局長につぐ2番目に偉い役職です。その下にもきっちりと役職が降られており、これが江戸幕府の番方にまで影響していると書かれています。組織表や相関図も多く、出世のための人間関係なども面白く読み進められます。

生き生きと描かれている江戸脱走からの歳三の姿。この時代の歳三の考え方がよく分かるのは、この本の優れたところです。歳三の活躍ぶりにワクワクして読み進められます。そして今まで疑問に思っていたところ、腑に落ちなかったところが、ストンと心に落ちるような説得力があります。新たな歳三の魅力を発見できる小説です。

原文で追う。文字が語る歳三の姿

タイトルを見て、土方歳三が書いた日記が見つかったのか!?と思いそうですが、残念ながらそうではありません。しかし日記と言ってもいいようなレベルの書簡、史料がふんだんに掲載されています。日本中のあちこちから探し出してきた膨大な土方歳三に関する史料。それらを時系列に原文のまま載せ、解説が加えられています。

著者
菊地 明
出版日
2011-10-06


新選組に関する史料の中ではなかなかみることのできない、歳三の幼年時代については一見の価値あり。まだ知らなかった歳三の原点に触れることができます。

原文も読みやすく活字化されているので、ちょっと難しくはありますが、自分で読み解いていくのも面白いはずです。初めて活字化されるものなど、貴重な史料ばかりで自分の中での貴重な発見ができること間違いありません。

幕末を生き抜いた人々の生の声には心打たれます。歳三が記した書簡、周りの人が見る歳三、有名な事件の真相。鬼の副長と呼ばれた歳三の本当の人となりが浮かび上がってきます。

土方歳三の心、豊玉発句集を味わう

さまざまな方面から、いろいろな人物が土方歳三についてまとめているムック本です。小説、エッセイ、マンガなどの読み物はもちろん、資料館長のインタビューやドラマガイド、歳三に迫る10の謎、書体から読み解く歳三など読みごたえたっぷりです。

著者
出版日
2013-05-21

ムックというと軽い感じがしますが、意外にも細かい文字がぎっしり。新選組結成150周年を記念して増補新版として出版されており、発売までの土方歳三研究と彼の兵法が増補されています。

この本でぜひ味わってほしいのは、なんといっても豊玉発句集。これは歳三が書いた句集で、恋愛に関するものも含まれます。京に上がる前にまとめたもので、豊玉(ほうぎょく)というのは歳三の雅号です。

あまり上手いとは言えないものの、その人となりが表れている俳句は、歳三を身近に感じるのにぴったり。全解釈付きで紹介されていて、またその解釈にニヤリとしてしまうものも多いのです。

「しれば迷い しなければ迷わぬ 恋の道」(『豊玉発句集』より引用)

鬼の副長は、こんな恋の歌も読んでいたんですね。歳三の心まで映し出した圧巻のムック本です。

土方歳三を取り囲む10人の組長はこんな人物だった!

『土方歳三と新選組10人の組長』は、そのタイトルのとおり歳三と10人の組長について詳しく紹介してある本です。菊地明氏の最新の研究を踏まえ、多くの情報が盛り込まれています。その他に幹部列伝として、近藤勇、芹沢鴨についての話や、新選組10大事件史がまとめられています。

著者
["菊地 明", "伊東 成郎", "結喜 しはや"]
出版日
2012-08-07


歳三とともに人気のある沖田総司や斉藤一らはもちろんのこと、なかなかピックアップされることのない松原忠司や谷三十郎、武田観柳斎たちも詳しい説明があり、新たな知識を仕入れることができます。それぞれがどのように事件に関わったのかということが分かるのが面白く、新選組初心者でも歳三ファンでも楽しめる内容になっています。

土方歳三との関わりが書かれているわけではなくそれぞれの人物紹介なのですが、隊長の性格、行動から見えてくる歳三がいます。この本で基本的な知識を仕入れて、他の小説を読むとまた違った味わいが出てくるはずです。

知れば知るほど、格好いいと思わせられる土方歳三。イケメンで若いころは女性関係で問題を起こしていたことも知られています。しかしそんなところも魅力の一部。芯の通った歳三の姿は、現代の私たちも見習いたいものですね。

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