分析がうまくいかないマーケターに捧げる「情報活用力」を鍛える3冊

更新:2015.10.27 作成:2015.10.27

ビジネスは問題解決の連続。目標を達成し目的を実現するために、日々直面する問題をクリアすべく業務に取り組んでいるのではないでしょうか。そのために情報を収集して分析し、現状把握や仮説構築などをされていると思います。ただその際、なんとなく情報を集めていませんか?また、いきなり分析を始めようとしていませんでしょうか?そしてその結果、「この分析、意味あったのかな…」などと壁にぶつかることはないでしょうか?そのような状況を打破するために必要な視点を学ぶことができる書籍を、今回はご紹介します!

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ビジネスは問題解決の連続。目標を達成し目的を実現するために、日々直面する問題をクリアすべく業務に取り組んでいるのではないでしょうか。そのために情報を収集して分析し、現状把握や仮説構築などをされていると思います。ただその際、なんとなく情報を集めていませんか?また、いきなり分析を始めようとしていませんでしょうか?そしてその結果、「この分析、意味あったのかな…」などと壁にぶつかることはないでしょうか?そのような状況を打破するために必要な視点を学ぶことができる書籍を、今回はご紹介します!

分析で情報を活かすにも、流儀(基本の型)がある。

著者
上野 佳恵
出版日
2009-03-13

情報量は多いほど良い(情報力が身に付くし、有意義な発見がある)と言われることもありますが、果たして本当なのでしょうか?情報をたくさん集めたけれど、「で、どうすればいいの?」「何が言えるの?」と途方に暮れた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

情報量の多さにも意味はあるかもしれません。しかし、それ以上に大切なのは、情報を読み込んで自分の知識、知恵、洞察につなげること。つまり、情報を活かすことです。その精度を上げるには、やはり基本的な型があります。

マッキンゼー・アンド・カンパニーなどでリサーチ業務を行っていた著者は、問題解決につながる意味ある分析ができるようになるには情報に対する“体質改善(自分のものとして身体に取り込み、血肉に変える力の育成)”を行う必要があると指摘。

そのために大切なのが、「調べるサイクル(“仕組み”“型”と言えます)」と「調べる領域(調べる際の“視点”と言えます)」を理解し、実践することです。

「調べる領域」はイメージが湧くと思いますが、「調べるサイクル」とはどのようなものでしょうか?実際はそれぞれを往復したり同時に進めたりしますが、シンプルにまとめると以下の通りです。

(1)知識・ギャップの認識
 “解”を導き出すために自分が知っていること、知らないこと(知らないといけないこと)を判断する。
(2)情報源リストとのすり合わせ
 知っている情報源のどこにアプローチすれば情報を得られるのか当たりをつける。
(3)情報獲得
 情報源から実際に情報を得る。そこから新たな情報源を見つけられることも。
(4)検証・判断
 集めた情報を鵜呑みにせず、情報の信頼性などを考えた上で判断をする。
(5)伝達
 分析結果をもとにアウトプットをまとめ、人に伝えてアクションにつなげる。
(6)リスト整備
 信頼できる新しい情報源、信頼性が落ちてきた情報源などをリストに反映する。次の分析の際に活かす。

いずれもとても大切なステップですが、私が特に重要だと感じているのが「(1)知識・ギャップの認識」です。何を知る必要があるのかを定めず情報をかき集めてきても、意味のある“解”が導き出せない事は往々にあります。情報の抜け漏れが多く、時間の無駄に終わることもあるかもしれません。

情報を扱うプロフェッショナルでも試行錯誤し続けている情報活用の領域。奥が深いです。自分も都度、自分の情報の活かし方と向き合っていきたいと思います。

時間は有限。まずは解くべき問題を見極める。

著者
安宅和人
出版日
2010-11-24

情報を活かす型を身につけたとしても、それだけで“効果的な解”が導き出せることはありません。そもそも解を導き出すための行動に入る前に、アウトプットとして何を生み出すことに意味があるのかを考える必要があるのではないかと指摘しているのが、本著の著者です。それが、“価値(バリュー)のある仕事(打ち手が成果につながる意味ある仕事と言い換えてもいいかもしれません)”につながるというのです。

著者がいう“価値(バリュー)のある仕事”とは、イシュー度(自分が置かれた局面でその問題に解を導き出す必要性の高さ)、解の質(イシューに対してどこまで明確に意味ある答えを出すことができるか)の2つがともに高いテーマに取り組むことです。このテーマ設定が重要。ただ、著者の経験上、どちらも最初から実現することは難しいので、まずはイシュー度の高い問題を見極められるようにすると良いとしています。打ち手がはまったときのインパクトが大きいためです。解の質は、本質的な課題に対して取り組むことで自ずと向上してくるといいます。

イシュー度の高い問題を特定するためには、「何に答えを出す必要があるのか」から議論を始め、仮説を立て、「何を明らかにする必要があるのか」という流れで分析を設計することが大切です。そして、それを見立てる力を鍛えるためには、専門家や知恵者などの良き相談相手が不可欠だとしています。

そして、それらを考えるための材料(手がかりとなる情報)を集める上で、「1次情報に触れること」「(フレームワークや数字、問題意識をもとに)基本情報をスキャンすること」がポイントとなります。

ただ、冒頭でもお伝えしたように情報を多く集めればいいというものではありません。著者も指摘していますが、情報収集にかけた努力・手間とその結果得られるものはあるところで頭打ちになりますし、知り過ぎることで自分ならではの視点がゼロに近づき生み出される知恵が減退していきます。「べき論」に縛られ、柔軟な発想ができなくなることも。ついついやってしまいがちですが、気をつけたいところです。

このような流れを踏まえた上で、解の質を高めるためのストーリーラインづくりや絵コンテ(イシュー分析)、情報発信が活きてきます。そのためのコツなども本著ではまとめられていますが、誌面の関係もあるので詳細は本著に譲ります。

入手した情報は鵜呑みにすべからず!

著者
パオロ・マッツァリーノ
出版日
2004-06-20

世の中には本当に多くの情報が溢れかえっています。しかも、玉石混合。一見、まっとうな情報に見えるものであっても、情報発信者による思い込みや意図的な曲解、データの切り方、集計方法による対象者の偏りなどがあるもの。その情報が目的を果たすには役に立たない(ミスリードを起こしてしまう)ということは十分にあり得ます。自分が扱っている情報がどういった性質のものなのか、それを検証し、把握しておくことはとても大切なことなのです。

そういった力や視点を身につけたりするために参考になる良書は多くあります。ただ、数値の検証などに対して苦手意識をお持ちの方だと、読むのに気が引けるということがあるかもしれません。そのような場合でも肩の力を抜いて気軽に、笑いながら読めると思われる良書が本著です。多少、文章のトーンなどが人によって好き嫌いにつながってしまうかもしれません。ただ、内容はしっかりしており、入門書として読みやすくわかりやすいのは確かです(ちなみに自分はかなり好きです)。

少し前の書籍なので取り上げられている例もやや古いのですが、例えばメディアからの情報や一般論として以下のようなことを聞いたことはないでしょうか?

「少年の凶悪犯罪は増加している」
「日本人は昔から勤勉な民族である」
「メラビアンの法則に従えばコミュニケーションはうまくいく!」

いずれも特に一時期、当たり前のように言われてきたことだと思います。ただ、これらは本当なのでしょうか?しっかり検証はされたのでしょうか?ちょっと視点を変えると別のモノが見えてくるのではないでしょうか?ネタバレになるので上記の質問についてこれ以上ふれることは避けますが、“当たり前”を疑い、そのまま情報を鵜呑みにせず検証することは大切なことです(わかっていても、ついつい鵜呑みにしてしまうこともあるのですが)。そして、それは必ずしも専門家でないとできないというものではありません。まずはチャレンジを!試行錯誤しながら、実践あるのみです。

今回ご紹介した書籍はいかがでしたでしょうか?いずれも、調べること、考えることの本質に迫る内容に触れたものではないかと思います。フレームワークや分析手法ももちろん大切ですが、それらを効果的に使いこなすためには、今回ご紹介したような考え方が重要なのではないかと日頃マーケティングに取り組む中でも感じています。言うは易し行うは難し。ただ、これらを意識して取り組むのと意識しないで取り組むのではアウトプットにも雲泥の差が出てきます。自分も本当にまだまだですが、今後も引き続き情報を活かす力を鍛えていきたいと思います。