ありとあらゆる物の中で最も速度の速い「光」。では、太陽から地球まで、光はどのくらいで来られるのでしょうか?また、光の速さで移動することは可能なのでしょうか?
光は基本的にありとあらゆるものの中で1番速いものです。しかし、光にも最速度というものがあります。このことが分かったのは17世紀のことでした。それまでは、光は瞬間的に移動すると考えられていたのです。
光の限界を初めて証明したのはオーレ・レーマーという人物でした。レーマー以前にもガリレオが、遠方の丘の上でカンテラを灯すという方法を用いて、光がある一定の速度をもって移動するということを証明しようと試みました。しかし、ガリレオの実験では規模が小さすぎて、理論を十分に証明することはできませんでした。
レーマーが証明に用いたのは、ガリレオよりもはるかに大規模な場所でした。1676年にレーマーは、木星が太陽の周りを回る軌道の様々な地点における木星の衛星の蝕の間隔を記録しました。
地球が木星から離れていく時には、木星の衛星の蝕の間隔は最大7分になり、木星と地球の距離が近づくにつれてその時間が短くなる、ということをレーマーは発見したのです。
この測定を通じて、レーマーは光の速度についてかなり正確な見積もりをすることができました。
レーマーの発見は議論を呼びました。王立天文台の台長ジョヴァンニ・ドメニコ・カッシーニは、これを受け入れませんでした。しかしレーマーはアイザック・ニュートンなどの科学者を納得させ、その理論はレーマーの死後40年経ってから、イギリスの天文学者ジェームズ・ブラッドリーによって証明されました。
光速は、正確には299,792,458メートル/秒で、物理学者の測定が非常に正確になった1975年にようやく認められました。
光年とは1年間で光が移動できる距離を指します。これは約5.88兆マイル(9.5兆キロメートル)です。
光源が遠ければ、光が地球に達するには何十億年もかかるということが分かっています。
今まで観測された中で宇宙の最も遠いところにあるものは、MACS0647という銀河です。この銀河は、133億光年先に存在しています。この銀河からの光は、宇宙がまだ揺籃期(ようらんき)にあった頃、地球に向けて旅を始めたのです。
太陽は地球からたった9450万マイル(1億4900万キロメートル)しか離れていません。つまり、太陽光線が地球に達するには、たった8分20秒しかかからないのです。
太陽の次に地球に近い星はプロキシマ・ケンタウリで、地球からは約4.2光年離れています。
SF作家たちにとって、アルベルト・アインシュタインという人物は、座を白けさせる人でしかありません。彼の相対性理論は、「どうにかすれば光線と同じ速さで移動することができるのではないか」という我々の望みをぶち壊しました。
アインシュタインの理論によって、物体を速く動かせば動かすほど、その物体の相対質量は静止している時に比べて増加するということが証明されました。
光速に近づけば、物体を速く動かし続けるために必要なエネルギーは、徐々にその物体の質量を増加させる役目しか果たさなくなります。質量は無限に増えていき、その物体を動かすためのエネルギーが必要になります。光速で移動するというのは不可能なのです。残念!
Photo:(C)WENN / Zeta Image
Text:(C)The Independent / Zeta Image
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