ハード・ロック/ヘヴィ・メタルと甘美なる「ゴシック小説」

ハード・ロック/ヘヴィ・メタルと甘美なる「ゴシック小説」

更新:2021.4.12

美、闇、愛、憎、悩……様々な要素がゴシックという言葉からはイメージされます。 私もその世界観からは少なからず影響を受けています。私自信の作品でもルックスや曲中に沢山ちりばめられています。その甘美かつ妖艶で深い魅力は、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルとの相性も良く人を惹きつけてやまないのです。 ゴシックとは小説においても、音楽においても、何がゴシックかというのは大変曖昧ですがハード・ロック/ヘヴィ・メタルというイメージや観点から紹介したいと思います。では甘美なる世界へ。

Nozomu Wakai’s DESTINIAプロフィール画像
Guitarist / Art Director
Nozomu Wakai’s DESTINIA
高校在学時、ヘヴィ・メタル/ハード・ロックを聴き、音楽を始める。特にジャパニーズメタル、LAメタル、メロディック・メタルに深く傾倒。小野正利ライブでのローディー時にスカウトされ、進学した洗足学園大学・音楽科JAZZコース・在学中よりプロ活動を開始。いくつかのバンドでCDをリリースし、森川 之雄(現アンセム)率いる「THE POWERNUDE」に加入。脱退後、サポートギタリストなどを経て、 五十嵐 充(ex Every Little Thing)と「RUSHMORE」を結成。2009年、アルバムをリリース。 2010年よりGIBSON USA傘下の「Kramer Guitar USA」と契約。その後は、ゲーム/アニメ音楽への制作や浜田麻里への楽曲提供なども行っている。2014年には、かねてから敬愛する「BLIZARD」の30thに松川“RAN”敏也の代わりとして参加。現在、正統派メロディックHM/HRを体現すべく自身のプロジェクト「DESTINIA」を始動。ジャパニーズメタルの新たな道を切り開く。キングレコードより2014冬1stアルバム『Requiem for a Scream』をリリース。2015年はデビュー作でコーラスとして参加したFukiと榊原ゆいをメイン・ヴォーカルとしたコンセプトEP『Anecdote of the Queens』を発売し、8月にはレコーディングに参加したキャストがほぼ参加した初ワンマン・ライヴ「A Live for a Scream ~One Night Only Requiem」をShibuya O-WESTで行い、チケットはソールド・アウトとなった。
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美、闇、愛、憎、悩……様々な要素がゴシックという言葉からはイメージされます。
私もその世界観からは少なからず影響を受けています。私自信の作品でもルックスや曲中に沢山ちりばめられています。その甘美かつ妖艶で深い魅力は、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルとの相性も良く人を惹きつけてやまないのです。

ゴシックとは小説においても、音楽においても、何がゴシックかというのは大変曖昧ですがハード・ロック/ヘヴィ・メタルというイメージや観点から紹介したいと思います。では甘美なる世界へ。

ラヴクラフト全集1~7

著者
H・P・ラヴクラフト
出版日
1974-12-13
もはや、読むダーク・ゴシック・メタルという空気すら感じるH. P. ラヴクラフトの全集。実際に多くのバンドが題材に取り上げたりもしています。題材にしているバンドは多岐に及んでいて、それぞれのサウンドでラヴクラフトを表してます。それだけ相性がいいのでしょう。

闇。もう、凄く闇です。背筋にじわっと来るホラー感、ハマると病み付きになります。“闇付き”といった方がいいかもしれません。現代に蘇る超越した存在たるクトゥルフ。宇宙的観点から来る人の存在と恐怖。SF、ファンタジー、ホラーすべてを狂気で飲み込んで吐き出す。

情景の描写にも暗さと湿度を随所に感じます。クトゥルフ神話の絡まない作品も実は非常に面白いです。文にクドさや、意味不明だと感じる人もいるかもしれませんが、全体的なカオスも含めてダークなヘヴィ・メタル感。

ヴァンパイア・レスタト

著者
アン ライス
出版日
ゴシックといっても考え方は多種多様で、こちらはシンプルに耽美。アン・ライスのヴァンパイア・クロニクルズ。日本ではその内の一遍「夜明けのヴァンパイア」が映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』として有名です。

基本的にはヴァンパイア・レスタトを中心とする物語。ヴァンパイアの苦悩を描きながらも、分かりやすく少女マンガ的な耽美が展開されております。文から見える感じも美しい。レスタトさん、ロックスターになります。というか、逆に読んでみると、生い立ちを見てもヴァンパイアでありながら既にロックスターの素質をありありと感じます。美しくも悩ましくカッコいいロックスターが好きなハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ファンの方にはぴったり。

荊の城

著者
サラ・ウォーターズ
出版日
2004-04-22
ヴィクトリア朝時代のイギリスが舞台で既にゴシック的。この作品は2人の女性主人公の愛憎劇を中心に描かれるミステリー。女性らしさというか、女性ならではという雰囲気もゴシック・ロマンの部に雰囲気をより強くしてくれているような気がします。

作品として特徴的なのは部ごとに違う視点。同じ事象でも視点が変ると……とまあ、この作品は内容がとてもとても面白いのでご自身しっかりと読んでもらうことをお勧めします。

ラストまで目が離せない展開、19世紀、恋愛の形、心理描写、官能的、そしてロマンスが単純なロマンスにならないあたりにゴシック・メタルの世界観を感じるのです。

オペラ座の怪人

著者
ガストン ルルー
出版日
2000-02-25
ミュージカルとしても超有名なこちら。シンフォニック・メタルの題材などとしてもお馴染み。絶望と愛のゴシックとでもいいましょうか。小説が原点となるわけですが、ミュージカルや映画とは印象が少し違う方がいるかもしれません。ある意味、ファントムは性格的にはより人間らしく描かれており、反面ホラー感の強い表現ともなっています。

それぞれの愛情心理の描かれ方では、小説の方が好きです。正直、ミュージカルや映画の方がゴシカルでより愛憎劇の美しさを味わえるので、未見の方は先にミュージカルや映画で体感してから、より深く味わうとよいかと。

タイタス・グローン ゴーメンガースト シリーズ

著者
マーヴィン・ピーク
出版日
広大な石城を舞台に繰り広げられるナイトメア的ともいえる小説。堅苦しい決まりの城を出たいと願う当主タイタスのお話です。一巻では小間使いから這い上がり城を手中にする野望を描き、さらに野心家のスティアパイクが暗躍する姿が描かれ、ストーリー自体も大変面白いのですが、注目は随所に描かれる城の描写が絶品ということ。まるで絵を読んでるような感じです。

漫画的な登場人物と幻想的な城。面白くないはずがない。城というのはヘヴィ・メタルでも多く取り上げられる社会的象徴ですが、この作品でも城というのが社会や悪夢の裏返したる存在ではないかと考えます。私の曲でも世界観を踏襲したものがあります。

このようなゴシック小説が好きなので、他に沢山紹介したいものもありますが、このへんで。

これらの作品は、ハード・ロック/ヘヴィ・メタル・ファンの方も既にハマっている方や、ハマりそうな方も多いのではないでしょうか。そして私自身の次の作品は、今まで以上にこういった世界観に基づいたものになると思います。

深い闇と美しく甘美な世界の迷宮から、私も既に出られないので……。

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