切なさ爆発!のSF恋愛小説
- 著者
- 乙野四方字
- 出版日
- 2016-06-23
切なさ爆発! 2作同時刊行されたSF恋愛小説です。
今作は、並行世界(俗にいうパラレルワールド)の存在が実証された世界のお話。
私がここ最近読んだ本の中でベスト3に入る面白さ! 一押しです。
両親の離婚により、父親と暮らすことを選択した主人公・日高暦。
ある日、父の勤務する研究所にて佐藤栞という少女と出会います。
お互いに恋愛感情を持ち始めた頃、なんと親同士の再婚話が浮上。
このままでは結婚できないかもしれないと危惧した2人は、親同士が再婚しない並行世界への逃避を試みるが……。
といったところから物語が大きく動き出します。
ずばり、とんでもなく切ないお話でございます。
序盤は初々しい恋愛シーンが多く「いやぁー、若いっていいわねぇ」なーんて軽い気持ちで読めるのですが、油断していると中盤からの展開に不意打ちをくらいます。
それまでのほんわかした世界が一変。どうなるかは読んでからのお楽しみ。ふっふふー!
今作『君を愛したひとりの僕へ』(以下『君愛』という)と同時刊行されたのが、次に紹介する『僕が愛したすべての君へ』(以下『僕愛』という)です。
どちらかというと、こちらの『君愛』はSF色が強く、並行世界に関する説明がより詳しく書かれています。
ちょいと頭は使いますが、こちらを先に読んでおけば物語への理解度はかなり上がるはず。
……あ、もちろんどちらから読み始めてもOKなのですが、今作は特に読む順番が重要になってくるのでご注意を。
読後感がだいぶ変わってきます。理由は次の紹介文にて!
- 著者
- 乙野四方字
- 出版日
- 2016-06-23
そしてこちらが、先ほど紹介した『君愛』と対になっている小説。
あちらとは異なる並行世界でのお話です。
SF色が強い『君愛』に対し、こちらの『僕愛』は恋愛色が強め。
ちなみに私は今作の方が好きです。だってめちゃめちゃ感動的なお話なんですもの。
向こうの世界では父親と暮らしている主人公・暦ですが、こっちの世界では母親と暮らすことを選択。
見事に対になっている展開が多々あり、ワクワクが止まりません。
「もしもあの時こういう選択をしていれば……」という過程の話が現実として描かれているため、同じ世界観のまま二度楽しむことができちゃうんです。うほ!
また、クロスオーバー(互いの物語が交わる瞬間)がとても魅力的!
「あの時、裏ではこういうことが起きてたんだ!」とか「こっちの世界ではこんなことが起きていたのか!」など、まるで答え合わせをしているかようで面白いんです。
これぞ対になっている小説ならではの楽しみ方!
これら2作品のイメージをそれぞれ一言であらわすと、こちらの『僕愛』は幸福、あちらの『君愛』は悲劇といった印象。
そのため、読む順番がとても重要です。
私のおすすめは『君愛』→『僕愛』の順。後味がよく、穏やかにエンディングを迎えることができます。
私もこの順番で読みました。特に下調べもせず読み始めたのですが、今思えば良い選択でした。
反対に『僕愛』→『君愛』の順で読むと、切ないエンディングを迎えることになると思います。
……あぁ、記憶をリセットしてもう一度読んでみたいっす。
もちろん、読む順番に正解はありません。どちらを先に読むかはあなた次第! ふふふ。
幼馴染みの男女を描く壮大なストーリー
- 著者
- 江國 香織
- 出版日
- 2012-02-17
江國香織さんと辻仁成さんのタッグ再び!
コラボレーション小説の第2弾でございます。
前作『冷静と情熱のあいだ』と同様、女の視点を江國香織さん、男の視点を辻仁成さんが書き上げています。
ひとつの恋の顛末を描いた前作に比べ、今作は大幅にスケールアップ!
幼馴染みの男女を主人公に、それぞれの半生を綴った壮大な物語となっています。
こちら『左岸』の主人公は、寺崎茉莉。
大好きだった兄・惣一郎の自殺、17歳で駆け落ち、両親の離婚などなど、序盤だけでも波乱の展開。
想像以上の読み応えでした。
彼女の約50年に渡る日々が描かれており、もはやラブストーリーというよりもライフストーリーに近い印象。
出会いや別れ、愛する人の死、長い年月を経て辿り着くラストとは……!