村上龍の女性におすすめエッセイ5作品!斬れ味鋭い作風が面白い!

更新:2021.12.16

日々職場で、学校で、頑張っている女性の皆さん。今度の休日は村上龍のエッセイを読んでみませんか?作者は男性ですが、実は現代日本を生きる女性に向けられたすてきなエッセイが沢山あるんです。今回はその中でも特におすすめ5作品を一挙ご紹介します。

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型破りな日本の誇る小説家、村上龍とは

村上龍は1952年2月19日生まれの日本の小説家です。1976年に『限りなく透明に近いブルー』で芥川龍之介賞を受賞し、衝撃的な作家デビューを果たしたことでご存知の方も多いかもしれません。本人自身がなかなか破天荒な青春時代を送っていたこともあり、作風は「性、現代日本での社会問題、戦争」などを斬れ味鋭く鮮やかに描き切ったものが中心です。

また、自身の小説を元に映画製作も行ない、映画監督としても活躍されています。そして日本の金融・政治・経済・社会現象などに関しても精力的に発言をする彼。中でも中学生向けに514種もの職業を紹介した『13歳のハローワーク』は、将来に悩む少年少女に寄り添った筆致が人気を博し、累計発行部数130万部のミリオンセラーとなりました。

様々な分野のことに対して造形が深い村上龍は、小説家の枠に留まらない日本の著名な発信者と言えるでしょう。では彼の人生哲学がたっぷりつまったエッセイを5つご紹介します!

村上龍がありきたりな自分が嫌な人へ送るエッセイ集

この本は1990年代に雑誌『anan』にて連載されていた村上龍のエッセイをまとめて出版したものです。タイトルに惹かれて本書を開くと驚く方が多いのでは。なぜなら村上龍はタイトルから想像されるテーマに一見関係ないような、キューバやキューバの素晴らしい音楽の魅力について、自身の映画や著書のことについて本文の多くを割いているからです。「普通の女の子」として存在したくない女性へのアドバイスよりも、自身のキューバ旅行の話が大半なので面食らう方もいらっしゃることでしょう。

著者
村上 龍
出版日


ですがそれでもしばしばハッとさせられる金言が散りばめられているのは、さすがといったところ。むしろ一見タイトルと関係ない話題は、説教くさくなく彼の人生観を伝えるのに一役買っています。読者はついつい村上龍の言葉に引き込まれ、彼の物事の本質を突く発言に夢中になってしまうのです。

「ヘラヘラと笑う自分が許せない、こんなことで楽しむ自分が許せない、こんな人間と一緒にいる自分が許せない、こんなところはイヤだ、別の場所に行きたい。 (中略)自分を許せない時期はつらいが、その果てにしか素敵な笑顔はないのだ。」

「あらゆる才能と訓練は正確さを生み出すためにある。私達は正確さに感動するのだ。」(共に『「普通の女の子」として存在したくないあなたへ。』から引用)


「普通の女の子」なんてものじゃなく、「自分」が自分らしく生きるためにそっと背中を押してくれる一冊です。

不幸な恋愛を回避する方法とは?

経済格差の広がりが進む現代日本では、いま恋愛においても格差が生じている、という仮定から始まる本書。今の日本では仕事について昔は存在した「確かな成功モデル」が曖昧になっていますが、それは恋愛でも同じこと。誰もが自分自身で「幸せ」や「良い恋愛」、「良い結婚」を見極めなければなりません。本作は経済を入り口として女性の恋愛について述べた村上龍渾身のエッセイ集です。

著者
村上 龍
出版日


ページをめくると、もうこれからの時代は確証の持てる「安定した生き方」などなく、国や会社や恋人に依存することでなんとかなっていたのは過去の話ですよ、と痛烈な内容が続きます。そしてだからこそ「幸せな恋愛」がしたいのなら経済的な自立が非常に重要だと述べられているのですが、耳が痛い話でありながら説得力のある言葉たちには考えさせられてしまうもの。「経済と恋愛」について利害関係というドライな視点から考察した斬新な内容となっています。

村上龍が語る「ダメな女」の定義

本書は、村上龍が1997から2001年にかけて女性誌に連載していた記事をまとめたエッセイ集です。女性誌に連載していただけあって、村上龍がいま日本で生きる女性に向けて伝えたいことがたっぷりつまった一冊となっています。けれどけっして説教くさい内容ではなく、むしろややテーマを脱線したりしつつ彼のシニカルなユーモアを交えて書かれた本書は、日々頑張る日本の女性にぜひ読んでもらいたいものに仕上がっているのです。

著者
村上 龍
出版日
2004-05-13


「今、決断を迫られる機会が多いのは女のほうだと思う。結婚か仕事かという単純な選択でも、それは世界共通の重大な決断となる。女のほうがより普遍的な悩みを抱えている。だから、普通に生きていれば、ダメな女という種族は日本には存在しないことになる。」(『ダメな女』から引用)

タイトルでドキリとした方、ご安心ください。過激なタイトルですが、内容は女性をただひたすらに叱っているだけではないことが、引用よりお分りいただけるのではないでしょうか?

彼が様々なシーンで出会った女性たちを参照しつつ、どういう女性が魅力的か、現代を生きる女性はこうあらねばならないのではないだろうか、ということについて記しています。酸いも甘いも噛み分けた大人の男性が語る「魅力的な女」像を知りたい方、ぜひご覧になってみてください。

女性の悩みに応える珠玉のQ&A

『わたしは甘えているのでしょうか?27歳・OL』は、月間『SAY』で連載されていた、女性の仕事やお金に関する悩みに村上龍が真摯に答えていくQ&Aをまとめた1冊。長年経済や社会問題について発言し、専門家たちと議論を交わしてきた村上龍だからこその回答は必見です。

適当に慰めたり、耳障りのいい言葉でごまかしたり、楽観論で無責任に甘やかしたり、そんな回答はありません。女性同士の相談では大抵こういったやんわりとした返事が返ってくるもの。それがありがたいときも多々あるのですが、こういう風にバッサリ切ってもらうのも私たちには必要なんじゃないでしょうか?

著者
村上 龍
出版日


「『自分が何をしたいのか』を自分が分かっていないと、答えは出ない。というより、自分が分かっていると自覚するのが怖かったり、面倒だったりするから、答えを出すのがおっくうになっている」

「要は、生き方なんて六本木ヒルズに象徴される価値観の奴隷になるか、で決まる」

「気楽な契約社員だったのにリストラされました。私ってなんだったんだろう」
「間違いなく契約社員だっただけです。契約が終了しただけなんですね」(全て『わたしは甘えているのでしょうか?27歳・OL』から引用)

グサグサきますね。痛烈な言葉が多く辛くなるようですが、どこかで納得してしまう自分がいます。誰かに一刀両断してもらいたい時にはとてもおすすめです。

自分自身の「幸せ」を見つけるために

前項同様、雑誌『SAY』に連載されていた悩める女性に対するQ&Aを書籍化した作品です。「お金編」、「仕事編」、「恋愛編」の3部構成で女性の「人には言いづらいけど切実な悩み」に村上龍がハッキリスッパリ答えていきます。「安い服を着ている」とバカにされるのが嫌でついつい高い服を買ってしまいます、などの相談はみなどこか身に覚えのある悩みなのではないでしょうか?

著者
村上龍
出版日
2008-03-26


「とりえがないというけど、べつにとりえなんかなくていいんです。(中略)必要なのはとりえではなく生きるための技術、スキル、知識だというミもフタもない社会になりつつあります」

「そういえば自分はこういうときに幸福を感じる、というのがあれば、それでいいじゃないですか。『取り残された』とは思わないことです。『自分には何もない』ではなくて、『自分はのんびりと生きる人間なんだ』と思って、ちょっとペースをゆるめて考えてみてはどうでしょうか。」(『それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい』より引用)

自分でもこんなの良くないよなあと思うのに変えられない価値観や思考は、誰にでも多かれ少なかれあるものだと思います。そんな方はぜひ本書を読んでみてください。村上龍の言葉が、変えたい自分を変える勇気をくれますよ。

村上龍はとてもメジャーな作家なので、今回ご紹介したものはお近くの書店や図書館にもきっとあると思います。読んであなたの人生に少しでもプラスになるものがあったなら、とても嬉しく思います。

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