冬に最適。切なくて心がやられる本

蜜柑

著者
芥川 龍之介
出版日
ある曇った冬の夕暮れ時、人生に疲れた主人公が、偶然汽車で奉公先へ向かう少女と乗り合わせる。最初はその少女の田舎臭い姿に嫌悪感を抱く主人公ですが、彼女が汽車から見送る弟たちに蜜柑を投げる鮮やかな瞬間に立ち会ったことで、少しだけ心持ちが変わっていきます。

芥川龍之介の実体験に基づいて書かれたというとても短いこのお話、何よりも情景の描き方が目に浮かぶように美しい。せつな度 50%

ひかりのまち

著者
浅野 いにお
出版日
2005-06-17
ひかりのまち、という新興住宅地を舞台にそこに住む様々な人々を巡る物語。

いにおさんの作品の中で、なんだかんだこれが一番好きかもしれません。特に最後の方の、幼い赤ちゃんを訳ありの男子二人で育てて暮らすHOMEっていうお話は泣けます。せつな度 80%

ミシン

著者
嶽本 野ばら
出版日
2007-12-04
「世界の終わりという名の雑貨店」、表題作の「ミシン」の二つのお話が入ってます。

野ばらちゃんといえばのロリータな世界観の「ミシン」も面白いですが、おすすめは「世界の終わりという名の雑貨店」。言葉を発することのできないきみ、と雑貨店の店長であった僕が、恋に落ちて逃避行に出るとても悲しい物語なのですが、一度読むと忘れられない作品です。せつな度 90%
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