『コミックビーム』の人気作品おすすめランキングベスト5!

更新:2017.2.20 作成:2017.2.20

「愛と勇気と執念のコミック雑誌」をモットーにする『月刊コミックビーム』。執念という言葉の通り、王道を意識しない、個性的な作品が多いところが特徴です。今回は、そんなコミックビームの中でも人気を博すおすすめ作品を、ランキング形式でご紹介します。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

5位: 現代の漫画家生命やビジネス手法を明らかにする

鈴木みそによる、全3巻の作品『ナナのリテラシー』。職業体験のため、女子高生の許斐七海は、とある事務所に訪れました。そこで働く天才ITコンサルタントのもとで、七海はビジネスを学ぶことになります。

インターネットが普及したことで、今までのやり方ではお金を稼ぐことは難しくなってきている現代。第1巻では売れない漫画家を、第2巻ではゲーム会社を、第3巻では1巻でコンサル対象となっていた漫画家を再びコンサルタントしていきます。そこで七海が知るビジネスの実態とは……!?

著者
鈴木みそ
出版日
2014-01-25

作者の鈴木みそは、電子書籍で作品を売り出し、電子書籍では異例の売り上げを誇った漫画家です。本作では、そのときに学んだ出版社などの仲介に頼らない売り出し方や制作過程が紹介されています。

一見難しく思えるビジネス業界の話も、七海の職業体験を通してストーリー内でわかりやすく解説しているため、読んでいて置いてけぼりされることはなく、むしろビジネスの面白さを伝えてくれる本作。2巻で主なテーマとなるゲーム会社からの依頼では、ガチャなどでユーザーに課金をさせる携帯ソーシャルゲームを良しとせず、デザイナーとの確執を取り上げています。依頼人が「天才を殺す方法」をコンサルタントに聞くシーンは、会社が持つ信念が感じられます。

そういった信念を折らずに柔軟な対応をして売上成績を伸ばしていく過程に、ロマンを感じませんか?無料閲覧等で様々な商品の売り上げが減少している状況を打開する方法の勉強もかねて楽しく読める作品です。

4位: 砂漠に繰り広げられるガン・アクション漫画!

うすね正俊による、1997年から連載が開始した、既刊18巻(2017年2月時点)の作品『砂ぼうず』。2004年にはテレビアニメ化もされました。

舞台は文明が滅んだ関東大砂漠。主人公水野灌太は砂漠の便利屋として働いていました。よく言えば奇策、悪く言えば姑息なやり口で依頼を必ず成功させる灌太。人々は彼を砂漠の妖怪、砂ぼうずと呼びます。その後、美人で狙撃の才能を持つ小泉太湖を弟子にし、2人は騙し合いと殺し合いの砂の舞台へと突き進むのでした。

著者
うすね 正俊
出版日
2001-04-25

誰からも恐れられ嫌われる砂ぼうずの正体は、小柄な17歳の少年。笠を被りガスマスクを装着し、マントを翻す勇ましい姿からは想像できません。加えて、胸の大きい女性には弱く、懲りずに何度も騙されたりします。

とはいえ便利屋をやっている故に、キレイな生き方をしているとはいえないかもしれません。どんなときも正義を主張する主人公はかっこいいものですが、人間がそこまでキレイでいることは難しい点もリアルに描いています。普通の男の子でありながら、生き抜くための執念を持つ強者、それが砂ぼうずの魅力でしょう。

悪人たちが入り混じる世界で自分の身を信じ孤高に戦う姿は、やはり憧れの的、主人公の器を感じさせます。また、主人公がショットガンやリボルバーを使いこなすガン・アクションは、いつの時代も男性の胸をときめかせるものです。

13巻からは小砂が主人公に立ち代わり、物語が進んでいきます。砂ぼうずはどうしたの?と思う方や、弟子が主役になる物語も気になる!という方は、ぜひ本作をチェックしてみてくださいね。

3位: 女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子

志村貴子による、2002年から2013年にかけて連載されていた、全15巻の作品『放浪息子』。2011年にはテレビアニメ化もされました。

小学5年生の二鳥修一は、ある秘密を抱えていました。それは「女の子になりたい」という願望。その願望によって、修一は女装するようになります。ある日、クラスメイトの高槻よしのに、自身の女装癖がばれてしまいます。しかし、よしのも「男の子になりたい」願望を持っていたのです。お互いの性別意識を知り、2人は女装と男装をし合って遊びに行くようになります。

著者
志村 貴子
出版日

周りの同級生との性差を意識し、自分の身体の変化に拒否反応を示すことは、思春期にはつきものです。修一も、よしのも小学校から高校にかけて思い悩みます。男性であったら、声変わりの衝撃は大きく、今までの自分の声は二度と発せなくなることに喪失感を覚えるかもしれません。「女の子=かわいい恰好をする」という価値観の押しつけに、疑問や不快感を覚えた女性は少なくないでしょう。

こういった共感はできるけれど口には出せない、一般的には言葉にしづらいであろうテーマ。幅広い層が本作を手に取ってくれることに期待したいと思います。修一とよしのの、学校という小さな世界で、異性装という大きな願望はどうやって昇華されるのかということが、作品の見所となっています。

修一は「女の子になりたい」自分を隠すことへ、徐々に悩むようになります。読者はそんな修一の姿に、性別にとらわれない、本当の自分とは何かを改めて考えさせられることでしょう。一方、よしのは、周囲の男の子に告白されたり、担任の男である兼田先生にほのかな恋愛感情を抱いたり、否が応でも自分が女の子であることを実感させられます。性差に戸惑いつつ、前に進もうとする姿には「かっこいい」と言いたくなってしまいます。

また2人の他にも、自分の性に疑いは持たないものの、コンプレックスを抱える思春期の登場人物−−女の自分より可愛い男(主人公)を弟に持つ二鳥真穂や、女装している修一を女の子だと勘違いして惚れてしまう瀬谷理久など—が多く登場します。彼らの複雑な心境と人間関係こそが本作を面白くしている要素の1つでしょう。

読み進めるうちに、自分の思春期の頃のことや性別について考えさせられる、悩める学生にも大人にも読んでほしい作品です。

2位: 謎の生命体を倒す必殺アイテムは、男性の精液?

新井英樹による、2009年から2017年にかけて連載された、全8巻の作品『SCATTER -あなたがここにいてほしい-』。

舞台は、人知れず謎の生命体が飛来している地球。死者の魂を受精することで生まれる高い知能を持ったそれらは、人類を奴隷とみなし、政界や経済界に根を張りつつありました。元AV男優の遊佐虹人は毎晩女性を強姦することで、死者の受精を阻んでいました。その遊佐の後を、なんと無職で性欲が異常に強い童貞の23歳、久保ヒカルが引き継ぐことになったのです。

著者
新井 英樹
出版日
2010-03-09

本作の読み始めでは、世界観が常軌を逸しており、多少混乱するかもしれません……。敵対する謎の生命体による組織を倒すために久保たちは戦うのですが、その戦い方は常に下ネタになってしまっています。

下ネタ×悪と戦うヒーローという、男の子が好きそうなものが合体しています。しかし一方がマイナスですからね、王道のヒーロー物であればかっこよく決まるシーンも、大抵下半身を露出しています。大真面目に戦い、使命に耐える姿はやはりヒーローなのですが、変態であることにも変わりないがありません。そのギャップが作品を面白可笑しくしているのでしょう。

この奇妙な矛盾と覆面マスクにマント装備の男で物語は面白くなっていますが、実はストーリー性もしっかりしています。

謎の生命体の狙い、強姦への罪悪感、生殖行為の意義、奴隷としての人生……。すべてが絡み合い、「セックスとは何なのか」と久保が悩むシーンもあります。多少の性的描写や暴力的な描写のきつさに問題ない方は、この壮大で異質な本作を一度手に取ってみてはどうでしょうか。

1位: ローマ人がタイムスリップした先は、日本の浴場!

ヤマザキマリによる、2008年から2013年にかけて連載されていた、全6巻の作品『テルマエ・ロマエ』。2012年には、テレビアニメ化と実写映画化がされました。

浴場を設計する職についているルシウス・モデストゥスは、時代の波に逆らえず、昔ながらの浴場建設を反対されて失業状態に陥ります。落ち込むルシウスを励まそうとする友人のマルクスに、公衆浴場へと連れていかれます。周りの雑音から遮断されるため、浴場の湯に潜ってみたルシウスは、浴槽の一角に奇妙な穴があることに気付きます。近づいてみると異常な吸引力によって吸い込まれてしまったのです。再び水面から顔を出すと、そこは平たい顔の人間ばかりが周りにいる、現代の日本の浴場でした。

著者
ヤマザキマリ
出版日
2009-11-26

ルシウスは時々ローマと日本を行ったり来たり繰り返すのですが、ローマでの生活の描写も細かいところがポイントです。もちろん浴場及びストーリー軸には関係しないのではないかと考える方もいるでしょう。ですが、衣服や食べ物、それに当時の皇帝と政治状況も作中に組み込まれてあります。こういった細かい作品作りこそリアリティある作風を生み出していると言えるでしょう。

ローマと日本の共通点と言ったら入浴文化。実際ルシウスは日本で得た浴場知識をローマでの浴場設計に生かしています。現実ではありえないですが、もし時代と国を越えて文化を共有できたら、それはもう大変夢が広がりますよね!あまり日常で実感していない湯船の魅力も伝わってきます。

ストーリーは浴場を介し、シリアスなシーンを交えて進みます、と見せかけて、すぐにギャグが入ってきます。ルシウスが盗賊たちに囲まれたと思いきや、「臭い」「風呂に入る喜びを知らない」と彼らに異議を唱えたり、皇帝候補であったとある男性が死に際で立派な思いをルシウスに伝えたかと思いきや、ルシウスに大勢の女性あての手紙を託したり……。メリハリがしっかりついているので読みやすく、単調さがないためのめり込むように読んでしまうことでしょう。

絵も丁寧な最高傑作ですから、アニメや映画でしか知らない人は、漫画も読まなければ損ですよ!

以上、『コミックビーム』の人気作品ランキングベスト5でした。どれも他の漫画雑誌では読めない異色さを放っています。これら以外にもコミックビームでは様々な愛あり、勇気あり、執念ありの作品が掲載されています。気になるものがありましたら、試しに読んでみてくださいね。