うつくしい言語で飾られた世界
親友との約束と、自分の夢と、家族とのお別れという物語の三本の柱を、うつくしい言語表現で装飾した傑作です。内容はもちろんですが、言葉や訳の詩表現だけでもうっとりしてきます。「凍結した炎」という表現はブラッドベリの中でも有名ですが、きめ細やかな感受性が喜怒哀楽を超えた部分に訴えかけてきます。萩尾望都先生の漫画ver.もおすすめです。
ファンタジーやSFならではのリアリティ表現
歌、コロニー、母の形見、クジラ、男の子、女の子、など、ノスタルジックでファンタジックなアイコンたちが物語を進めていくのですが、読み終えたあとには自分のリアルな人生にこころが還っていく、不思議な短編です。架空の世界を旅していたはずが、知らぬ間に自分の芯にあるさみしさに触れていて、読み終えた時には涙が溢れました。
ファンタジーやSFでしか表現できない、到達できないリアリティ表現というものは、あると思います。
作者の頭の中に感じる「宇宙」
輪廻転生と宇宙戦争の物語、未だ続く名作です。1986年から続く超超超大作! 永野護先生が幾多の時代や最新の流行を呑み込み、超えて、続いていくさまは、ガウディのサクラダファミリアを観ているきぶんにすらなります。
登場人物もデザインも、カッコいいを越えて、美しく、どれを見てもお洒落です。歴史も神話も自分のものにして、一筆書きでファンタジーを描き続ける永野先生ののうみそ自身に宇宙を感じますし、ものを作る人間の自分にとって、憧れのような作品です。