クローズドサークルといえば、吹雪の山荘や嵐の孤島といった一時的な閉鎖空間をよく見かけます。
しかし今回は、長期にわたって閉鎖されている空間が舞台のものに絞って選定!
これらの特徴は、長い間外界との交流を絶ち続けているため、その土地ならではの文化・風習が浸透しているという点。
他ではあまり見かけない独自のルール・しきたりに、訪れる余所者たちは”?マーク"のオンパレード! まさに文化・風習のガラパゴス化でございます。
そんな謎だらけの土地が舞台だなんて、なんとも刺激的ではありませんか……!(震え声)
ちなみに今回選んだ3冊は、どれも個性溢れる……いや、個性の溢れすぎている独創的な作品ばかり。
この一癖も二癖もある物語、ぜひ読んでみてください!
孤島を舞台に展開されるシュールな世界観
- 著者
- 幸太郎, 伊坂
- 出版日
とってもシュールで摩訶不思議!
私が伊坂幸太郎さんにハマるきっかけにもなったイチオシ作品でございます。ヒューヒュー!
仙台沖に浮かぶ孤島を舞台に、なんとも形容しがたい不思議な物語が描かれています。
コンビニ強盗に失敗した主人公・伊藤は、逃走中に意識を失い、目が覚めるとなぜか見知らぬ島に。
「荻島」と呼ばれるその島は、江戸時代以来、150年にもわたって外界との交流を絶ち続けているという、いわば鎖国状態の島。
そんな世間から忘れられた荻島には、なんとも不思議な人々が住んでいます。嘘しか言わない画家や、島の規律として殺人を繰り返す男などなど。
極めつけは、未来を予知し、会話だってできちゃうカカシの優午(もはや人ですらない)。
島の住民たちから崇拝されている優午は、何も知らない伊藤に助言を与えます。
が、なんとその翌日、優午が何者かに殺されてしまうのです(もう一回言うけどカカシね)。
犯人を捜すため、このおかしな島にて伊藤が奔走する、というのが今作のあらすじ。
全体的にシュールでほんわかした展開ながら、途中途中でイヤミス要素が入ってきたりと表情豊かな一冊。
個性溢れる登場人物、詩的な文章などなど魅力が盛りだくさん!
荻島に根付いているちょっと変わった風習も注目ポイントの一つ。
随所に仕掛けられた謎やエピソードが、終盤で一気にまとまっていくさまは見もの!
他に類を見ない独創的な物語、ぜひ読んでみてくださいまし!
容赦のない不気味さが漂う「地図に載っていない村」
- 著者
- 麻耶 雄嵩
- 出版日
驚きのトリックを用いた本格ミステリー。
予想外の結末に衝撃を受けること間違いなし!
今作の舞台は、地図に載っていない閉鎖的な村。
かつて「埜戸(のど)」と呼ばれていたこの村は、電気も外来文化もなく、まるで時間が止まっているかのような佇まい。
大鏡様という現人神によって支配されており、四方を取り囲む山への立ち入りが禁じられているため、村の外に出ることもできません。
他所からやってきた者は「外人」と呼ばれ、忌み嫌われます。うひゃー恐い恐い。
そんな排他的な村にやってきたのが、今作の主人公・珂允(かいん)。
弟・襾鈴(あべる)の失踪と死の謎を追って潜入するも、足を踏み入れた途端、鴉の大群に襲われ負傷。
村の者から介抱を受け一命を取りとめた珂允は、真相を追い続けるも謎は一向に深まるばかり。
そして待ち受ける驚愕のラストとは……!
終始おどろおどろしい雰囲気を放っている今作。
陰鬱とした登場人物や、意味深な名称などなど、不安を助長させる要素が随所に散りばめられています。……ガクガクブルブル。
後味も悪めで、なんだか嫌ぁーな余韻が残ります。
ここまで振り切った作品はそうそうありません。清々しいほどの徹底ぶり!
著者・麻耶雄嵩さんの作品に共通する独特の空気感が、今作でもいかんなく発揮されております。
わたくし、この容赦のない不気味さが妙に好きでしてね。でへへ。
謎めいた物語が好きな方、要チェックですぞ!