うすた京介のおすすめ漫画を紹介!代表作品は『マサルさん』だけじゃない!

更新:2021.12.1

うすた京介は、常人とは一線を画するセンスで描かれるシュールな絵柄と描写が特徴的な漫画家。ギャグ漫画界の草分け的存在として高い評価を得ています。代表作である『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』をはじめとして、多くの名作を生み出しています。その他に類を見ないセンスは、まさに天才です。

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うすた京介とは?漫画作品は自由な発想でセオリーを覆す天才!

1973年、愛知県で生まれ、熊本県で育ち。1990年に『ザ★手ぬきくん対物酢御くん』で「週刊少年ジャンプ」のGAGキング特別賞を受賞します。翌年同作品のパート2がジャンプに掲載されたことで、ギャグ漫画家としてのデビューを果たしたのです。

以降、代表作の『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』や、実写映画化もされた『ピューと吹く!ジャガー』、一部ファンから熱い支持を得ている『武士沢レシーブ』など、不条理かつシュールな展開で読者の笑いを誘う人気作品を発表してきました。

奇才ともいえる卓越したギャグセンスと世界観を有するうすた京介ですが、実は大変真面目で紳士的な人物なのです。なんでも自身の作品がアニメ化された際、担当監督に演出内容の細かい訂正を要求。作品のセリフの適当さとは到底結びつかないその様子に、監督も困惑してしまったとか。

また多趣味な面もあり、彼の出身地である熊本のサッカーチーム、さらに大手ホビーメーカーであるセガの熱心なファンだと公言しています。セガに関しては、実在する商品を何度か作中に登場させてしまうほどの熱意。その他に音楽の方面にも造詣が深く、漫画業の傍ら友人とのバンド活動に勤しんでおり、彼自身、漫画家でなければミュージシャンになっていたと語っています。

今回はそんな多才・多趣味なうすた京介が描く、世間のギャグの常識を塗り変えた名作をランキング形式でご紹介します。

1位:うすた京介の代表作!社会現象を巻き起こした『すごいよ!!マサルさん』

作者の連載デビュー作であり、代表作でもある本作。

廃部危機にあるわかめ高校空手部に突然現れた、「セクシーコマンドー」という謎の格闘技の使い手・花中島マサル。彼が空手部をセクシーコマンドー部にすることで集まった仲間達を中心にくり広げられる、学園バトルギャグ漫画です。

作中で使われた言葉や擬音が巷で大流行したことや、主人公であるマサルが見せた「ダバダバ」という動きをヒントにして作ったダンスを有名なプロダンサーが踊ったことで、連載当時世間を賑わせました。

 

著者
うすた 京介
出版日
1996-06-04

本作は、うすた京介自身が初の連載に心身ともに追いつけなかったということが主な原因で、多くのファンに惜しまれながらも唐突な形で最終回を迎えています。

しかし連載から長い年月が経っても、ファンから「マサルさんを超えるギャグ漫画は未だに見つからない」と言わしめ、新規のファンを作り続けるほどの作品です。ただ面白いだけではない、驚異的な魅力を秘めています。

「お前のパンチを喰らって倒れなかったのは…オレが初めてだぜ…!!」(本作中より引用)

このような独特な台詞回しや謎のポエム、キャラクターの突然の奇行など、ちょっと引いてしまう!けど何だか真似をしたくなってしまう!ようなシーンが多くあります。うすた京介流の名言が読める、不朽の名作ギャグ漫画です。

『すごいよマサルさん』については<「すごいよマサルさん」のナイスセクシーな名技、キャラの名言がやばい!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。

 

2位:有名俳優主演で実写映画化!うすたワールド全開の名作『ピューと吹く!ジャガー』

「週刊少年ジャンプ」にて巻末で1回7ページほど、10年間連載されていたうすた京介の超大作。

ギタリストを目指して多くの芸能事務所や育成学校のオーディションを受ける酒留清彦(さけとめきよひこ)と、奇抜な風貌の謎の笛吹き男ジャガージュン市が出会うことからはじまる、青春不条理ギャグ漫画です。

うすた京介の描いた漫画の中で初めて実写映画化を果たしたということもあり、特に知名度と人気が高い作品といえるのではないでしょうか。

 

著者
うすた 京介
出版日
2001-09-04

 

この作品は過去のものとは異なり、ただシュールなだけではなく、人の嫌な部分や痛々しい部分を取り上げてキャラクターなどに当てはめています。「実際にいそうなダメ人間」を登場させ笑いのネタとすることで、読者を漫画の世界により一層引き込ませてくれるのです。

またギャグの一部として、本編とは独立した謎の作品が突然はじまったりするのですが、その内容も絵柄や構成が適当で不条理なもの。しかしなぜか目が離せず、気が付けば大声を上げて笑ってしまっています。これぞ、うすた作品の真骨頂。考えるな、感じろ!と言われているような気がしますね。

果たして清彦はオーディションに合格し、ギタリストになれるのか?謎の笛吹き男ジャガーとは結局何者なのか?ふたりがこの先どうなって行くのか、目が離せません。また、ふたりの他にも魅力的なキャラクターが盛りたくさんとなっているのも、この作品の魅力です。

 

3位:衝撃的過ぎる奇跡の最終回『武士沢レシーブ』

主人公・武士沢光沢(ぶしざわこうたく)はヘルメットを被り、交通整理などで使用される誘導棒(通称武士沢ブレード)を持ちながらヒーローに憧れているという、これまた不思議な学生です。

この作品はジャンル上バトルギャグ漫画ということになっており、この武士沢と彼が通う牛乳学園のヒーロー部、そして不良グループの「鬼嶋組」をめぐる戦いがくり広げられます。

 

著者
うすた 京介
出版日
1999-08-04

 

この『武士沢レシーブ』を紹介するにあたって、おそらく本作を読んだ誰もが言うであろうこと。それは、とにかく最終回がいろいろな意味で衝撃的過ぎる、ということでしょう。

本作は全20話で打ち切りとなってしまったのですが、思うに打ち切りになっていなければ、ここまで人気のある作品にはならなかったのではないでしょうか。

打ち切りが決まったからこそ生まれた衝撃の最終回であり、この最終回があったからこそ大勢のファンや、うすた京介自身からも奇跡のような作品だ、と言われるようになったのです。

そんな奇跡の最終回とは一体どのようなものなのか?初めて見た瞬間驚き、そして笑いが止まらなくなるはず。ここでは詳細は語りませんので、興味を持たれた方はどうぞ一気に読破し、その強烈な最終回を目にしてみてください!

 

4位:珠玉の読み切り作品短編集『うすた京介短編集 チクサクコール』

2001年に発売された、作者初の受賞作である「ザ★手ぬきくん対物酢御くんパァト1」や、赤塚賞の佳作を獲得した「それゆけ!未確認飛行物体男」を含めた読み切り全10作品からなる初の短編集。

タイトルの「チクサクコール」とは、うすた京介がキャンプに参加した時の、謎の掛け声から取ったそうです。

 

著者
うすた 京介
出版日
2001-03-02

うすたはギャグの形を追求するため、さまざまな実験(当時のギャグのセオリーから外れた内容への挑戦)をしていたことが窺える作品もあり、本作を読むことで彼のギャグのルーツを知ることができるかと思います。

彼の作品は、言ってしまえば適当でいい加減に見えるものが多いですが、それこそが彼の漫画の真骨頂。うすた京介自身もこの短編集を読み返すことで、「いい加減であること」の大切さと難しさを痛感したと語っています。

また本短編集に収録されている話のいくつかに登場するキャラクターが、後述のいずれかの連載作品内に紛れ込んで活躍していることにも注目。1度本作を読み、次に連載作品を読んでみると、きっと面白い発見があるのではないでしょうか?

 

5位:うすた京介が描く、熱いグルメギャグバトル漫画『フードファイタータベル』

大食いで競う「フードファイター」を題材としたグルメギャグバトル漫画です。

奇抜な髪型が特徴の不思議な主人公・神無食流(かんなしたべる)通称たべるが、プロフードファイターの頂点「腹人神」になるべく聖地「テレビ凍狂」を目指して仲間やライバル達とともに奮闘するという物語です。

 

著者
うすた 京介
出版日
2016-01-04

 

つねに突拍子もない行動で周囲を振り回し、所構わずボケたおす自由人な主人公たべる。そして、そんなたべるにツッコミを入れつつ、グルメマニアとして食を楽しむびっちぇること腹田美味満(はらだうまみち)。ふたりはひょんな事から知り合い、何かと行動をともにすることに……。

うすた京介の描くキャラクターは基本的に名前とあだ名のインパクトが凄まじく、その字面だけでも十分に読者の笑いを誘ってしまう力があります。もちろん名前だけではなく、キャラクターのビジュアルや内面も実に個性的で、1ページめくるごとに思わず笑いが漏れてしまう、そんな魅力があるのです。

うすた漫画はほとんどが1話完結のような構成になっているのですが、本作は彼には珍しく、1つ1つの回ごとのつながりが強く、全体をとおしてストーリー性のある構成となっています。そのためうすた京介のギャグ漫画をあまり知らない方には、はじめの1歩として丁度良く読みやすい内容になっていると思います。

 

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