「刃牙」シリーズを知らずして格闘技漫画は語れない。格闘技漫画のレジェンドともいえる大作を生み出した板垣恵介の「刃牙」シリーズをはじめとした板垣の世界観溢れる4作品をご紹介します。
幼少期から格闘技に憧れ、少林寺拳法やボクシングなどを経験し陸上自衛隊にも5年間所属していたという異色の経歴を持つ漫画家板垣恵介。
1987年、漫画家を目指し小池一夫主催の漫画教室「劇画村塾」に入塾します。その後1989年、『メイキャッパー』でデビューし、1991年に代表作である、『グラップラー刃牙』の連載を開始。
独特な世界観は格闘技に対する熱い思いからくるもので、筋肉や汗、食事の風景などに強く表わされています。不自然ともいえる表現は、自身も公言している座右の銘「不自然主義」からくるもので、彼の作品は見事にその雰囲気を使い、板垣恵介の世界観をつくりだしているといえます。
板垣恵介のデビュー作である『メイキャッパー』は、基本的には1話完結でメイクをテーマとしている作品です。主人公美朱咬生(みあけ こうせい)は、代々継がれる化粧術の家に生まれます。後継者となるはずでしたが古くから伝わる伝統を嫌って家を出たのちに、生まれ持ったメイク技術で一流女優から一般市民に至るまで多くの女性にその技術を披露。世の中の女性たちを次々と劇的に綺麗にしていくのでした。
- 著者
- 板垣 恵介
- 出版日
人は外見だけでその人生は大きく変わってしまうものです。この作品を読んでいるといい意味で、外見へのコンプレックスや劣等感などは、自分次第で変えることもできてしまうと思わせてくれます。
メイクをテーマにしている作品はあまり多くないので、男性からはイメージしづらいテーマに思えるかもしれませんが、全くそんなことはなく、主人公が強烈なコンプレックスを持った女性をその腕一つで劇的に変えてしまい、人生までも変えてしまう様子は痛快でなりません。
格闘漫画が人気の板垣恵介がメイクをテーマにしたという知られざる名作。ぜひ読んでその独特な世界を楽しんでみてください。
主人公の丹波文七が様々な格闘技を身に着け、多くの強敵と戦う中で感じる強さへの思いを描いた『餓狼伝』。作中で行われる異種格闘技戦はそれぞれ互いのルールの最小公約数の部分で戦うため、ほかの格闘漫画とは一味違った世界観を味わえます。主人公がどれだけ迷っても気がつけば戦いの場に戻ってしまっている……。多くの戦いの後に主人公がどのように成長し、強くなっていくのかが描き出されます。
- 著者
- ["夢枕獏(原作)", "板垣恵介(漫画)"]
- 出版日
- 2011-04-07
「強さとは」「勝負とは」という板垣恵介らしいテーマで描かれていますが、「刃牙」シリーズとは戦いのスタイルや人間模様なども一味違った内容になるため、全く違った面白さを感じることができることでしょう。強さだけを追い求めて日々鍛錬を積む強者たちが、異種格闘技という舞台で繰り広げる戦いの魅力は何とも言えない緊迫感と躍動感があります。
主人公の心模様、人間模様なども見どころで、どんなに逃げても自分には嘘がつけない、挫折しても立ち上がるから強くなる……。現代社会にも通じるシーンも多くあるので、読む者に様々な刺激を与えてくれる作品となっていますよ。
板垣啓介の代表作「刃牙」シリーズの1作目となる本作『グラップラー刃牙』。「地下闘技場編」「幼年編」「最大トーナメント編」の3編で構成される作品です。本作では、最強の生物「範馬勇次郎」の息子である刃牙が、戦いの中で成長していきます。様々な世界や流派の最強達と出会い、戦い、時には絆を深め、目標である父勇次郎を越えることを目指す主人公。いろいろな意味での強さを身に着けていく、格闘技漫画を代表する大作となっています。
- 著者
- 板垣 恵介
- 出版日
非現実ともいえる最強の漢たちの戦いは、作品のメインテーマである地上最強を独特の世界観で表現しています。非現実的とも思える熱い戦いは、息をのむほどの激しいもの。中でも「ッ!」や「ッッ!」などの独特な悲鳴の表現は想像力を刺激し、よりリアルに刃牙の世界へ入り込ませてくれることでしょう。
これほどの激しい格闘漫画にもかかわらず、ギャグ的な要素も含まれているのも魅力の1つです。さりげなくこちらの笑いを誘ってくる表現なども盛り込まれているので、読む側に様々な感情を呼び起こすのです。今や格闘技漫画のレジェンド的存在となった「刃牙」ですが、その世界の奥深さは何年たっても色あせることがありません。
「刃牙」シリーズについては、<漫画「刃牙」の魅力全編ネタバレ紹介!最強キャラランキング、死刑囚編紹介も>の記事で紹介しています。
「刃牙」シリーズにたびたび登場するキャラクター花山薫の日常や、強さを描いた作品『バキ外伝疵面』。様々な敵との戦いの中で、「刃牙」では語られない花山という男の強さやこだわり、生きざまを存分に描き出します。時には最強の刺客、時には戦車などありえない敵に対して一歩もひるまないなど、他の誰とも違う最強の漢への道を歩んでいきます。
- 著者
- 板垣 恵介
- 出版日
- 2005-08-20
コアなファンも多くいる花山薫という漢(オトコ)の魅力がいっぱいに詰まった作品で、「刃牙」シリーズを読んでいない人でも楽しめる作品となっています。意地やプライドとはまた違う、男が守りたいもの、強者に屈するときに捨ててしまうものをこの漢は決して捨てないのです。究極のジェントルマンともいえる漢の生きざまに、読者は魅かれていくことでしょう。
板垣恵介の描く世界は独特で、どの作品も読み始め、読んでいる途中、読み終わった後で違う惹かれ方をします。そのため一度読んだ作品でも、もう一度読めば、また違うものを感じることができるのです。言葉の表現や擬音、動きなど細部まで作者のこだわりが垣間見える作品ばかりですので、数ページめくったころには、彼の作品の中に入り込んでしまっていることでしょう。現実とは違った世界観での戦いに触れて、自分の強い部分と弱い部分を見つめ直してみませんか。