一つの家の全体が写っているところから徐々に離れて行き、その家がある街、街がある国、国の全体像が見え地球が写り宇宙へと広がる。その時「全て」だと思っていた事柄が実はほんの一部だった。そんな感覚が好きです。今回はそんな壮大で骨太な一冊。
分からない物事や知らない事柄が好きです。
「ん?」と引っかかり、知的好奇心をくすぐられ「それは何!?」と引き込まれた状態ですでにワクワクするのですが「だからか!!!」と解決した時の快感は何にも代え難い気持ちになります。
それは本を読み終えた時でも、演劇を観終わった時でも同じです。
勿論手放しで笑えたり、何も考えずに楽しめる作品も好きですが「だからか!!!」が自分の中の「面白い」の基準になっていたりもします。
次の出演舞台「メッキの星」稽古真っ只中なのですが、この「メッキの星」の脚本を初めて読んだ時にも「だからか!!!」の発見が随所にありました。その面白さを体現できるように、絶賛稽古奮闘中でございます。
お時間ございましたら是非劇場に観にいらしてくださいませ。
今回のこの一冊は稽古の合間に読んでいたもので、一冊読むのに約2週間かかりました。
勿論自分の読むペースが遅いのもあるのですがガシッ!と心掴まれた冒頭から最後の最後までずーっと物語に触れていたい。しっかりと味わいたい。という気持ちが強く、全く味が薄くならない魔法のスルメイカの如く、読み終えるまで幸せでした。
壮大で骨太。どっぷりと楽しみたい方は必読の一冊です。
- 著者
- 島田 荘司
- 出版日
難しい言葉や理論が出てきたり、ショッキングでグロテスクな描写が出てきたり、一度読んだだけでは「ん?」と引っかかることがあっても、最後まで読み終え全てが繋がった瞬間の気持ちの良い感覚はそんな部分があるからこそ味わえる快感でした。
地球、重力、恐竜、犯罪、刑務所。一見難しそうな題材なのに、とても細かい世界観で描かれているため、まるで目の前に景色の広がるかのように物語が進んでいき、ズンズンと引き込まれていきました。
エピローグを読み終えたあと、『今までに感じたことの無い「面白い」を体感させてくれたこの本に出会えて本当に良かった。』と鳥肌を立てながら本を閉じました。僕にとって、これからもとても大事な一冊です。