ダーウィンについて学べるおすすめ本5選!生涯や進化論を知れる

更新:2021.12.17

教会の創造論が当たり前とされてきた時代に進化論を唱えた偉大なるダーウィン。今回はそんな彼が残した遺産を知れるおすすめ書籍をご紹介していきます。

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進化論を世界中に広めた偉人、ダーウィンとは?

ダーウィンは私たち人間がどこから来たのかを突き止めてくれた地質学者であり、生物学者です。『種の起源』を発表し、地球上に住むすべての生命の起源がひとつだということを提唱しました。いまではその説が世界中の多くの学者に支持されており、生命の謎を解く鍵を一番初めに発見した人物です。

チャールズ・ダーウィンが生まれたのは1809年のイギリスでした。子どもの頃から博学を好み、自身でも鉱物や貝殻などを収集していました。大学生になると医学と地質学を学び始めますが、血を見るのが苦手だったため医学を学ぶことは断念します。

大学卒業後にビーグル号に乗って航海したことが彼の運命を変えました。この航海を進めると、生物が少しずつ近縁の種に置き換えられることを発見。さらにいまは生息していない哺乳類の化石を発見し、ガラパゴス諸島では南米由来としか思えないほど南米に適した種族が多くいることを発見しました。

この経験から彼は生物が元は同じ種として誕生していても、環境に適応して変化している存在だと考えるようになったのです。その考えを証明するために彼は研究を続け、『種の起源』を発表。創造論者たちにセンセーションを巻き起こしたのでした。

ダーウィンについてあなたの知らない8つの事実!

1:実はライフワークは「ミミズ」の研究だった!

彼が生涯最も長く研究を続けた対象は、進化論ではなくミミズでした。イギリス南部の白亜の土地がなぜ出来たのか興味を持った彼は、自宅の庭で観察研究を重ねること29年、ミミズが土壌を作っていたことを明らかにしたそうです。論文の出版には研究開始から40年以上もかかり、彼の研究の中で最も時間がかかった対象だったようです。

2:イギリスの歴史で最も偉大な人ランキング、第4位!

2002年にイギリスの公営放送局BBCが放送した番組によれば、ダーウィンはイギリスの歴史上4番目に偉大な人物だそうです。ちなみに1位はチャーチル、3位はダイアナ妃と日本人にも馴染みの深い人物が並びますが、2位はブルネルという産業革命期の鉄道技術者だそうです。

3:研究を続けられた背景には、裕福な実家からの支援があった

彼は若くして研究の道に入りましたが、ビーグル号乗船後も療養を兼ねて田舎に引っ越すなど、稼ぎは多くなかったようです。それでも研究を続けられたのは、裕福な実家からの資金援助があったからといわれており、その年額はなんと中流家庭の年収の数倍もあったそうです。父は投資家兼医者であり、母方の祖父は高級陶器で有名なウェッジウッドの創始者という環境によって、ダーウィンは研究に集中できたのでしょう。

4: 現代で言うパニック障害にかかっていた?

ビーグル号に乗って世界中を旅するなど、とてもアクティブな一面を持つダーウィンですが、頻繁な船酔いも起こしていたそうです。また体調不良により寝込むことも多かったようで、そういった行動を最近の研究者たちが改めて調べたところ、実はパニック障害だったのではないか?ともいわれているようです。

5:地名の由来にもなった!その街はどこにある?

オーストラリア北部に、人口12万のオーストラリアの中では中規模の港町「ダーウィン」があります。

この街は彼がビーグル号での世界一周の際に立ち寄ったことを記念して友人のストーク船長が付けた、といわれていますが、実は彼はこの港には立ち寄っていなかったとか。後世の人のダーウィンに対する尊敬や憧れがこのようなことになったのかもしれませんね。

6:とっても合理的!?結婚に対する考え方

彼は1839年にエマという女性と結婚しますが、結婚に対しては迷いがあったようで、その前年に「結婚の損得勘定」に関するメモを残しています。

その中で、非婚のメリットとして「親戚を訪ねる必要がなく、つまらないことに煩わされない」や結婚のデメリットとして「不安と責任。多くの子供がいて、1人1人にパンを与えれば、本を買う金も減る」など、現代人でもありそうな?事柄を挙げています。

結局結婚しますので、それを上回るようなメリットを見出したということなんでしょうね。

7:実は子煩悩だった!?「種の起源」の原稿に残されていたものとは

彼には10人の子どもがいました。3人は幼くして病死しましたが、息子たちは銀行家や天文学者などさまざまな分野で活躍したそうです。

そんな子どもたちとダーウィンのやり取りが垣間見えるものが、アメリカ自然史博物館などが取り組んでいたデジタル・アーカイブ・プロジェクトの中で見つかりました。それは種の起源の原稿裏に残されていた、子どもたちのスケッチ。中には彼の似顔絵もあったそうです。

8:相当な筆まめ!その記録は現在ウェブ上で確認可能

彼は社交的ではなかったものの相当な筆まめだったらしく、生涯2000人との手紙を交換をし、多いときには1日で10通以上も手紙を書いていたようです。そんな彼の手紙のうち5000通はイギリス政府によってデジタルアーカイブ化され、現在もウェブ上で読めるようになっています。

世界中にセンセーションを巻き起こした、進化論の考えが書かれた本

生命の誕生と進化論について書かれた学術書『種の起源』。150年以上も前に書かれ、これまでの生命は神が創造したという教会の教えを覆す内容で、世界に衝撃を与えました。現在では当たり前になっている進化論ですが、それを始めて世界に提唱した貴重な資料として今日でも残されています。

著者
チャールズ ダーウィン
出版日
2009-09-20

ダーウィンは世界中の大陸に近種の生物が存在していることに着目しました。そこから同じ種が異なった環境に置かれることにより、そこから環境に適した形に進化しているのではないかという結論に結びつけています。このように種の進化について基本的な考え方がまとめられた貴重な資料となっています。

また光文社古典新訳文庫として新たにわかりやすい訳で書かれている点も魅力です。単に玄人向けのが貴重な学術的資料としてだけでなく、一般向けに翻訳が試みられています。これにより進化論について深い知識がなくても、手軽に読める内容となっています。

『種の起源』を子どもたちにもわかりやすく

『種の起源』は学術的で難しく、時代背景も古く、それ故に特定の読者を選んでいるというイメージが強いです。そんな堅いイメージを覆してくれるのが『超訳 種の起源 ~生物はどのように進化してきたのか』です。

著者
チャールズ・ダーウィン
出版日
2012-03-02

中高生向けに企画された本書は、単に『種の起源』を翻訳しただけの書籍ではありません。書かれている内容をわかりやすく噛み砕き、専門知識がなくても理解できる要素だけを紹介しています。なので、学校などで習っている生物の授業について、より深く知ることのできる内容です。

イラスト、解説、付録などが豊富で、徹底的にわかりやすく『種の起源』をより多くの人に知ってもらおうという努力が見られます。単にわかりやすいだけでなく、面白く進化論について知ることができ、次々と生物についての興味がわいてくる内容も魅力です。

進化論が生まれた背景を学べる

『チャールズ・ダーウィンの生涯 進化論を生んだジェントルマンの社会』は日本のダーウィン研究者である松永俊男によって書かれたチャールズ・ダーウィンの伝記です。彼がどのような環境で育ち、どのようにして進化論に辿り着いたのかが書かれています。

著者
松永 俊男
出版日
2009-08-07

本書にはダーウィンの生活していたイギリスの上流階級の様子が書かれています。医者の父を持ち、ケンブリッジで紳士としての教育を受けた彼が、同じく上流階級の学者たちの交流によって『種の起源』執筆にまで辿り着いた経緯が書かれた資料となっています。

またビーグル号に乗って世界一周をした様子も書かれています。別々の場所で見つけた同種が個々の進化を遂げていたことの発見や、独特な生態系を持つガラパゴス諸島の発見など、進化論に辿り着く興味深い冒険の数々が描かれているのも本書の魅力です。

ダーウィンを手助けした人たち

本書では、ダーウィンが進化論について発表する過程が、彼一人だけでなく、周りの人たちとの交流と共に描かれています。『種の起源』に辿り着いた功績を分析した書籍です。

著者
内井 惣七
出版日
2009-08-20

ビーグル号航海での体験から鳥類学者のジョン・グールドや動物学者のトーマス・ベルなどの意見を参考に、進化論を組み立てていきました。世界に衝撃を与えた『種の起源』が多くの人のサポートにより発表されたことがわかります。

進化論がダーウィンという異端児ひとりが作り上げていないという事実も興味深いです。大学時代にはチャールズ・ライエルが提唱した過去に起こった事象は地層などから現在でも観測できるという斉一説に影響を受けました。またジャン=バティスト・ラマルクは、軟体動物の研究によってダーウィンよりも前に進化論を唱えています。こうした先人たちが彼に影響を与えた功績なども交えて読むことができるのです。

ダーウィンが新たに書いた進化論

『種の起源』の12年後に発表された『人間の由来』では進化論に加えて人間がどこから来たのかが言及されています。生物が同じ種から環境への適応を辿って枝分かれしていると説明したダーウィンが、私たち人類の起源について語りました。

著者
チャールズ・ダーウィン
出版日
2016-09-10

人間がチンパンジーなどの類人猿から進化してきたという説はいまでこそ一般的になっていますが、当時の人間たちからすると衝撃的な内容でした。そんなセンセーショナルな話題を神が人間を作ったとう当時の定説と共に読み比べられるのが魅力です。

環境に適さない動物は絶滅していくという「自然淘汰」を説いたダーウィンですが、本書では「性淘汰」について触れられています。生存に関係なく雄が大きな牙を持ったり、派手な色を持つことに着目。雌に選ばれる魅力を持つ個体だけが種を残せるチャンスを得られると結論づけている本書は、興味深いものです。

進化論を世界に広めた『種の起源』。ダーウィンが記した本や彼を研究した書籍は、進化論についての知識が学べるのでおすすめですよ。

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