『ラブ★コン』で実写化された中原アヤ作品は、『ダメな私に恋してください』のドラマ化で再び人気を集めています。共通する作品の特徴は、ラブコメ、軽快なトークとテンポのよさです。小さなコマでも笑いを忘れません。おすすめベスト5を紹介します。
中原アヤは、別冊マーガレットで20年近く活躍してきた大阪出身の漫画家です。登場人物のテンポのいい軽快なトークが特徴で、それがよく出ているのが代表作の『ラブ★コン』。笑えるラブコメディの作品として多くの人気を集めました。
中原アヤ作品には関西弁と標準語の両方の作品がありますが、関西弁の関西弁と標準語については、ストーリーの雰囲気で使い分けているそうです。
長年、高校生が主人公の作品を描いてきましたが、『ダメな私に恋してください』のようにアラサー女子以上へ描く対象が変わりつつあります。今後の作品が気になる漫画家です。
お嬢様の花田蘭は父親の仕事の都合で名門女子校から共学校に転校することになります。初めての共学校で王子様探しに燃える蘭ですが、実は両親がすでに許嫁を決めていました。
許嫁である柏木の実家はなんと、離島の農家。両親は仕事の都合ではなく、柏木と同じ学校に蘭を通わせるために転校させたのでした。両親は学校だけでなく、自宅にも柏木を同居させます。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
離島の農家なんてありえないと思っていた蘭ですが、柏木の「オレ、気―長いから。まあ見てな。時間かけてゆっくり花田をその気にさせてやるよ」というセリフにドキドキ。このくだりには、読者もドギマギしてしまうでしょう。
決してオレ様キャラではないものの、ストレートに気持ちを伝える柏木には男気を感じます。最初はお嬢様キャラだった蘭がどんどん壊れていく様子が見もの。蘭は柏木に惹かれているのに、恋愛経験がないため、感情や体の変調を病気と勘違いしてしまいます。
今時こんな純情な人いる?と思ってしまうような反応ですね。ラブコメに欠かせない脇役は、二人がくっつくのを邪魔しようとしますが、おバカで憎めないキャラ達です。
ダスティン・ホフマン主演の映画『卒業』さながら、主人公の菜子は結婚式に乗り込み政略結婚させられる新郎の春樹を強奪。春樹は姉の恋人で、そのまま駆け落ちするのですが、それが原因で春樹の家は破綻します。
菜子の両親は、娘たちの行動に責任を感じて、春樹の弟・小夏を引き取ることに。そこから菜子と小夏の同居生活がスタートします。口も態度も悪い小夏は、誤解を受けやすく評判は最悪。ところが、花見をきっかけに徐々に菜子の小夏に対する見方が変わっていきます。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
- 2008-08-25
この作品の魅力は、主人公の菜子がとても面倒見のいい姉御肌キャラであるところです。自分の気持ちよりも周囲の人の気持ちを優先させるところがあって、自分の気持ちを隠すときにはゴルゴ13のような表情に一変します。
キレイな絵の中で、急にゴルゴが出てくると思わず笑ってしまうでしょう。脇役の楓や楓の世話役も一味あるキャラなので、菜子と小夏以外の人間模様がおもしく感じられる作品です。
麻衣とくるみのユニットロリータアイドルのお話です。ロッカーになりたかった麻衣は、アイドルとしての自分に嫌気がさしています。もう辞めてしまおうかと思っていた矢先に、ファンの水無月くんと出会うことで、少しずつアイドル活動にやりがいを感じるようになって......。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
- 2009-10-25
このランキングで登場した5位と4位の作品は、主人公とその相手との距離感が縮まっていく過程に主眼がおかれています。この作品は主人公のアイドル活動がメインになっていて、毛色の違いが感じられます。
作中に登場するアイドル百人!ishは、すべての萌え要素が入っているグループという設定で、実在のアイドルグループをモチーフにしていることが分かるのでニヤリとしてしまう人もいることでしょう。最後にファンのタマタマ星人が誰だったのか分かるところなどちょっとした伏線があって、先の2作品と比べるとストーリーの幅が感じられます。
会社が倒産して無収入なのに、大学生の彼氏に貢ぎ、借金までしてしまうというダメダメな主人公のミチコ。しかも彼氏だと思っていた大学生には、犬と同等にしか思われていませんでした。
そんな主人公に手を差し伸べてくれたのは、元上司の黒沢主任。元ヤンの黒沢主任は少しキツイけれど、ヤンキーやおばあさんにも慕われている頼りがいのある人です。さらに、家賃の支払いができなくなっていたミチコを父親が経営していた喫茶店の二階に住まわせてくれます。ダメ女ミチコと黒沢主任がどうなっていくのかが見どころの作品です。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
- 2013-08-23
これまで中原アヤの作品は高校生を主人公にしていましたが、この作品は珍しくアラサーが主人公です。アラサーなのに、彼氏なし、仕事なし、色気なしのミチコは同じアラサー世代にとっては、重く感じてしまう面もあります。
それでも、中原アヤ作品共通のノリツッコミとテンポのよさは先を読ませる魅力があります。ミチコは確かにダメ女ですが、頼まれた仕事をきちっとこなして、職場では貴重がられる面も。ダメな人生を送っていても、彼女なりに人生を楽しんでいることが感じられるのです。
この作品は、2016年1月にテレビドラマ化されました。ミチコ役は深田恭子、黒沢役はディーンフジオカでした。他の出演者にはミムラや三浦翔平を迎えた豪華なキャストです。魅力的な配役と脚本で、原作のよさ、おもしろさを引き出しつつ膨らませたものになっていました。この作品はドラマと原作を比べる楽しみがあります。
低身長の男子と高身長の女子が主人公の学園ラブコメディです。主人公のリサと大谷は、最初は犬猿の仲でしたが、音楽の趣味が同じであることや互いに身長がコンプレックスであることなどを知り、次第に惹かれあっていくようになります。
お互いを意識して告白するまでが長いので、感情の浮き沈みを主人公と一緒に楽しめます。二人の高校入学から卒業まで全17巻。既刊の中原アヤ作品の中では一番長いコミックです。最終巻には、スピンオフとして二人の中学時代の話が描かれています。
- 著者
- 中原 アヤ
- 出版日
- 2002-03-25
中原アヤといえば『ラブ★コン』という人は多いでしょう。作者が大阪出身なこともあって、ストーリーは関西弁で進みます。漫才のようなトーク、ボケとツッコミがとても軽快です。大阪の高校生はこんなにみんなおもしろいのだろうかという、大阪人への夢を掻き立てる魅力的な人物がたくさん登場します。
大谷は体が小さいけれど、性格は男前なので「キュン死に」してしまった人はたくさんいるはずです。「キュン死に」とは、リサが作中で使っている言葉です。『ラブ★コン』はコテコテの恋愛ものを読みたい人には期待外れかもしませんが、たまにキュンとしたい人、笑いに飢えている人にはオススメの作品ですよ。
2006年に映画化、2007年にアニメ放送されています。映画化のリサ役は藤澤恵麻、大谷役は小池徹平でした。こちらも原作と映画の違いを比べて楽しめる作品です。
中原アヤの作品は、笑って元気になりたい人にオススメです。絵もキレイなので、とっつきやすい作家です。まだ中原作品に触れたことがない人は、まずは、ドラマや映画から見てみて、原作も読むと作品の魅力が深まりますよ。